【報告・パブコメ】東京都差別解消条例

東京都では、東京2020大会を見据え、社会全体で障害者への理解を深め、差別を無くす取組を一層推進するための条例案を検討しています。
東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例(仮称)に、下記の通りパブリックコメントを提出しましたので、ご報告します。


(教育の推進)

学校教育の人権学習の一環で、障害、障害者及び障害の社会モデルについての学習機会が提供されることを望みます。障害は「個人が克服するの」とされたものから「社会を変えていく」という視点の変化を、若い子どもの頃から自然と学ぶことは、障害、障害者をめぐる偏見や差別に関する問題のみならず、共生社会を推進するにあたり非常に有益になると思います。ぜひ推進していただきたいです。特に、発見型を基調としたワークショップ形式の障害者との対話を図るスタイルの研修がより教育効果が高く相応しいと思います。

また、障害や障害者は多様であり、とりわけ見えない障害とされる精神障害、発達障害の理解啓発は難度があります。特に、それらの理解啓発は、障害の個人モデルや個性論に依拠した、本人の課題克服や活躍を是とする価値観に基づき、社会モデル的なアプローチにほど遠いものが散見されます。身体障害の事例を多用したイギリス発の障害平等研修(DET)や内閣府が推進する20020東京オリンピック・パラリンピックに向けての心のバリアフリーの研修モデルを援用するなどして、多様な障害理解の切り口を整備するための環境整備が特に必要に思います。障害者団体、当事者団体を中心に公募をはかり、地域一帯となった推進を切に望みます。

(障害を理由とする差別の禁止)

2016年4月に障害者差別解消法が施行されましたが、障害者団体からは大きな改善目標として提示されてきたものが、「民間事業者への合理的配慮の提供を法的義務」にすることでした。東京都が国の動向に先駆けて上積み条例を定めることは、東京都のみならず、日本各地へ波及を見据えた大きな意義があると思います。日本の首都であり、オリンピック・パラリンピックを開催する都市として、ぜひ推進していただきたいと思います。

他方で、障害者差別解消法成立時と同様に、民間事業者のなかには戸惑いの声があるとも聞きます。心ある企業ほどコンプライアンスのみならず、ダイバーシティの観点で、丁寧な調査と研修実施を進めているとも聞きます。条例が定められた時に、この条項が実態をもって、かつ無用なコンフリクトを生まないための環境整備も併せて必要に思います。具体的には、社会モデル理解の啓発研修の実施やハード施設改築の助成を行うこと。障害福祉領域のみならず、生活にかかわるすべての行政部署での助言相談機関を設けることが特に必要に思います。


 

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