【活動報告】第100回お話会レポート(集中できない感覚、物事の折り合いをつけることなど)

雨の日が多くなり、東京も梅雨入りの気配を感じる6月5日、節目となる第100回お話会が東京都障害者福祉会館にて行われました。今回は平日夜の開催でしたが、初参加の方3名を含む16名の参加があり、会場の和室は満席近くになりました。

 

◇集中できない感覚

「考えがまとまらない時があって困っている。いろんな情報や刺激に反応してしまったり、頭がもやもやする感覚で、行動に時間がかかってしまって通所先に遅刻してしまうこともあります。同じような経験がある方がいれば、対処などを聞きたいです」という話があがりました。「具体的に嫌なことがあったときにそうなるのではなく、どちらかというとうまく睡眠がとれなかったときや、天気が悪いときなどに起こりやすいように感じています」という説明もあり、これに対して他の参加者から次々に経験からの話が出されました。

まず、運動をするなど体を動かすと良いのではないかという意見がありました。「軽い運動をすると、それ以外のことが考えられなくなるので、自分はウォーキングをしたりします。本当に頭の中の感覚を振り払いたいようなときはダッシュします。主治医から運動は治療の一環だと言われたこともあり、自分にはもやもやに対して運動するのも合っているなと感じています」。「ウェイトトレーニングをしています。市営のジムだとお金をあまり気にせず使えるので助かります。気分転換を兼ねてあちこちの市営ジムに行くのも、それぞれ置かれている器具も違ったりするので、楽しみになっています。」これに対して話題を出した方は「なるほど、運動ですね」とうなずき、生活に取り入れてみたいと言われました。

その他にも、「そういう時は大体寝ていますね。あとおいしいものを食べます」と、まずは心身をしっかり休めるという方もいました。「自分はサウナですね。サウナが好きというもありますが、すっきりします」。それぞれ、見つけるまでの試行錯誤もあると思いますが、自分に合った『整う』方法を見つけて実行しているのはすてきだなと思います。

また、「書き出してみる」という意見もありました。「今日の頭がもやもやする感覚の原因は天気が悪いからだと思っていたけれど、ノートに考えを書きだしてみると、『昨日あったある出来事が引っ掛かっていた』と気が付いたことがあります。そういう場合もあるので、自分は書き出してまずもやもやの原因を考えます」。「カウンセラーさんのアドバイスもあったので、私も書き出しています。書いてみて、何日か経ってから読み返すとふと気が付いたりすることもあります。はじめの頃は思うことを全部書いていたのですが、慣れてくると本当に気になったことだけを書くようになっています。」

「ペンで紙に書きだす」という方法は、今回のテーマに限らず、お話会で折に触れて話題になり、実行してみて良い感じがしているという経験も共有されています。自分の中にあるものを一度外に出してみる、客観的に見られるようにする、という意味でも良い方法のひとつかもしれません。

 

◇物事の折り合いをつけること

「相手とのやり取りのひとつひとつが見逃せない感じで、なんでも追及してしまって、終わりがなくて自分自身が余計につらくなってしまう。納得はいかないけれど流すとか、ここまででやめるという境目など、折り合いをつけるときの考え方を皆さんはどうしているのでしょうか」という質問があげられました。「多くの人は、疲れたら休んである程度は解消するのだろうと思うけれど、自分は休んだら色々考えて余計に具合が悪くなってしまいます」。

例えば友人や家族とのコミュニケーションでも、「今の言葉はちょっと気になるかな?」というようなことはよくあることかもしれません。それをひとつひとつ本当に突き詰めると関係がぎすぎすしてしまうのもわかっているので、なんとなく違うことを話したりしているうちに流れていく、というのが「ふつう」とされているように思います。

ですが、本当につらいことがあったり、心身に余裕がないときには、細かいことにも毎回心が大きく反応してしまって、その引っ掛かりがどうしても取れないというのもしばしばあることです。休んだり、気分転換をしたり、気持ちを切り替えたら良いと人からは言われるし、自分でもわかっているけれど…、という追い詰まった気持ちになってしまいます。

この質問に対してある参加者から、「それは、まだ折り合いをつけられる時期ではないということなのかなと思いました。慌てなくても良いと思います」という言葉が共有されました。

私たちは、苦しいことやつらいことがずっと頭から離れないと、切り替えたり忘れたり、さらには早く次のことをしなくてはいけないというように、「このままではいけない」という気持ちが湧き上がってきて、そうできない自分を責めてしまうこともあります。ですが、「今はまだその時期ではないのかな」といったん自分の現状を肯定的に受け止めることも大事なことだと思いました。

 

◇おわりに

お話会の最後の感想を共有する時間には、それぞれから今回も大事な言葉が場に出されました。

つながりの感覚については、「もうちょっとここにいたいなという気持ちです」「いつも一人なので、いろんな方がいるんだなと感じられる良い時間になりました」「一人じゃないなというのが、いつもお話会に来て良いと思うことです」などがあがりました。またお話会の中で得た感覚について、「どこに行っても自分がいないような感覚になることが多いのですが、ここに来て、そんな感覚の人が他にもいるんだなと分かりました」「否定されない関係、家族とも医療機関とも違う関係があると思いました」という言葉もありました。

次回は7月、あっという間に季節が進みます。今後も皆で安心して語り合える場をつくっていきます。新しい方の参加もお待ちしていますので、いつでもご連絡ください。(相良)

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