【情報提供】第56回POTA全国研修会(11月20日-21日)

精神科作業療法協会が主催する第56回POTA全国研修会に当会メンバーが登壇することになりました。一般参加も可能とのことです。どうぞお誘いあわせのうえご参加ください。


11月20日(土)

山口創生 「リカバリーの再考:リカバリーを『ちょっと』理解するために!『陰ながら』応援するために!」

精神障害者支援の領域に「リカバリー」という言葉が登場して20年以上が経ち、現在では支援のキーワードとなっています。他方、「リカバリー」という言葉自体は多義的で、様々な解釈ができます。本講演は、「リカバリー」の意味を整理し、リカバリーを応援する際に、優先される支援内容を紹介します。

〈プロフィール〉
精神保健福祉士。地域精神保健(福祉)サービスに関する研究に取り組んでいます。特に、就労支援などを専門としています。研究を続ける過程で、素晴らしい研究者や実践者、尊敬する当事者・ご家族の方に出会える機会が多くあり、日ごろからその方々に支えてもらっているので、少しでも恩返しがしたいと思う毎日です。

川口敬之 「リカバリーを応援するために作業療法士ができる関わりとは」

「リカバリーを応援する」とは、作業療法士のどのような関わりのことを指すのでしょうか。この講演では、作業療法の視点の一つである「作業機能障害」とリカバリーの関連を調査した研究から見えてきたことを紹介し、リカバリーを応援する関わりについて再考したいと思います。

〈プロフィール〉
作業療法士。民間精神科病院、養成校教員を経て、現職。研究の傍ら兼務している訪問看護の実践では、自分の関わりがリカバリーを応援することにつながっているかについて思い悩んでいます。当事者や実践家、研究者の仲間との共同研究により見えてくるものに可能性と期待を抱きつつ、日々取り組んでいます。

山田悠平 「当事者が考えるリカバリーとは」

「リカバリー」という言葉が支援のキーワードになっていることについて、当事者はどう思うのでしょうか。前段2つの講演内容に対する指定発言として、一当事者の立場から感じたことを共有し、「リカバリー」について当事者と研究者のクロストークを行います。

〈プロフィール〉
学生時代に精神科医療のユーザーとなり、15年ほどが経ちます。これまで入院は4回経験しました。精神障害ってなんだろう?そんな思いを抱えて当事者活動に関わるようになりました。最近では、代表を務める精神障害当事者会ポルケのプロジェクトからリカバリーカレッジを立ち上げるなどしています。

壁屋康洋 「医療観察法のリスク要因研究と生活機能」

医療観察法入院から通院移行後の暴力や問題行動に関わる要因を研究した結果、衝動性と並んで【金銭管理】【家事や料理をしない】といったADLの影響が明らかになった。入院中の暴力の研究でもICF【日課の管理】【社会的ルールに従った対人関係】等の影響が示され、ADLは他害行為などのリスクを防ぐ上でも重要である。

〈プロフィール〉
壁屋康洋 臨床心理士・公認心理師。2000年に肥前精神医療センターに就職。精神科急性期病棟でDr・Ns・PSW・OTとの5職種での統合失調症のクリニカルパス作成から職業人生が始まる。2003-2004年には同僚の中野OT、NCNPの三澤OTらとともに医療観察法医療準備のためのイギリス研修。2014年に榊原病院に異動し現在に至る。

児嶋亮・匿名希望(引きこもり経験者)
「ひきこもりとその支援のあり方 ~経験者、支援者の立場から~」

ひきこもり経験者に体験談を講演頂き、その後様々な生きづらさから生じるひきこもりとその支援について共有し、対処として臨床におけるひきこもり支援と、予防的観点としてひきこもり支援OTチームをご紹介する。それらを通して、今後の社会とひきこもり支援のあり方について皆様と深めたいと考えている。

〈プロフィール〉
児嶋亮
作業療法士。精神科病院を経験後、現職で就労支援・ひきこもり支援に携わる。関連活動として、京都府作業療法士会ひきこもり支援OTチーム代表、社会福祉法人ねっこの郷福祉会理事、京都精神科分野勉強会執行部、京都精神障害者フットサルクラブ運営、山城地域ひきこもり支援会コアメンバー等に携わる。

匿名希望(引きこもり経験者)
中学校時にひきこもり、その後入院し、OT、DCを経過した後に就労継続支援B型に所属。さらなるステップアップを検討中。

11月21日(日)

増川ねてる・佐々木理恵 「(当事者にとって…)『コロナ禍』とは、何だったのか?」

COVID-19… 2020年になって、日本でも大変なことになって、2021年。ワクチン接種が始まって… これから、どうなるのだろうか?当事者にとって、「コロナ禍」とは何だったのか?

僕は、神経過敏で調子を崩しました。WRAPを使っても、リカバリーが出来なくなりました。また、「ナラティブが通じない」ということも起きました。…強烈でした。

コロナ、、下手をすると、命がなくなる??
コロナ、、自分の感染というよりも、自分が感染を拡大させるのかも知れない…? それが、怖いことでした。
ワクチン、、打つか打たないか? 何よい選択か?
とても、とても考えました。

お話ししたいと思います。

〈プロフィール〉
増川ねてる
1974年新潟生まれ。将来の夢は、詩人になること。
15歳の頃より強い眠気に悩まされる。治療の過程で薬物依存となり、2005年、通所施設にて「当事者活動」を知る。2006年WRAPを知り、2007年よりWRAPファシリテーターの活動を開始。2011年、37歳の時に約7年受給していた生活保護を返上し、自立生活を始める。現在は、精神科領域で仕事をしている。著書に「WRAPを始める」(青と緑の二冊)(精神看護出版)。「精神科看護」誌に「どん底からのリカバリー」を連載中。

佐々木理恵
東京生まれ、神奈川育ちのB型山羊座。年末の大掃除よりも日々の小掃除にハマり中。
20代後半に精神的な大きな崩れを経験。通院やデイケア通所、複数回の入退院における当事者仲間との出会いや、2009年に出会ったWRAPがリカバリーの手掛かりとなり、WRAPファシリテーターの活動を始める。リカバリーの旅路の中で沢山のご縁に導かれ、現在は都内大学病院の精神神経科に勤務しピアスタッフの育成に携わっている。

田中庸之 「『コロナ禍における精神科作業療法』COVID⁻19クラスターを経験して」

昨年の緊急事態宣言解除後、当院は都内初のコロナクラスター発生病院として注目される。異様な緊張と周囲からの差別…。リハ再開は構造を一変、感染対策と大幅な制限に苦慮しながらも現在に至る。今回の経験をお伝えし、改めてコロナ禍での精神科作業療法のあり方を考える時間にして頂けたら幸いに思う。

〈プロフィール〉
武蔵野中央病院 作業療法士。
2003年多摩リハビリテーション学院専門学校卒業。
外来・入院者への精神科作業療法、精神科訪問看護・精神科デイケアに従事。傍ら老人保健施設、訪問看護ステーション、放課後デイ他、地域リハビリテーション事業等、分野問わず在宅・地域支援に携わる。趣味は青梅マラソン。

五十嵐未歩・大崎真実 「COVIT-19クラスター発生後における作業療法の実践〜精神科救急病棟での経験から〜」

当院の精神科救急病棟では、2021年1月にクラスターが発生し、作業療法実施方法の検討を余儀なくされた。今回は①クラスター発生期間中の経過と作業療法士の取り組み②クラスター収束後の作業療法実施方法③感染対策に留意した現在の運営方法について報告する。

〈プロフィール〉
五十嵐未歩
作業療法士。2016年医療法人社団翠会成増厚生病院 入職
慢性期病棟を経て、救急病棟配属となる

大崎真実
作業療法士。2020年医療法人社団翠会成増厚生病院 入職
今年度より、救急病棟配属となる

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