【活動紹介】精神医療(第5次)第3号に寄稿しました

精神医療(第5次)第3号に当会の山田が寄稿しました。冒頭の書き出しをご紹介します。多くの人に手に取っていただければと思います。


 「精神障害・精神科医療とはそもそもなんなのだろうか」―精神科医療を初めて受診してからいまだにぼんやりで出ては消える想念である。これは精神科医療ユーザーの私の実存的な問いともいえる。みなさんはどのように答えるだろうか。日本の近代精神医学の創設者である呉秀三の有名なフレーズに「我邦十何万ノ精神病者ハ実ニ此病ヲ受ケタルノ不幸ノ外ニ,此邦ニ生レタルノ不幸ヲ重ヌルモノト云フベシ。精神病者ノ救済・保護ハ実ニ人道問題ニシテ,我邦目下ノ急務ト謂ハザルベカラズ」がある。 [呉秀三, 1918]呉が当時問題にしたテーマの基本は、今もなお続く、身体拘束、長期入院の問題にしろ、現代の日本の精神医療の実態にそのままあてはまる。だが、忘れないでほしい。一方で、呉は精神病者を不幸な存在と評したのだ。思うに、人の幸不幸を決めつけることほどパーターナリズムに満ちた態度はない。

精神医療国家賠償請求訴訟は歴史的取り組みである。国の責任を明らかにするとともに、これまでの精神医療の在り方それ自体を問うものになることを期待したい。


精神医療(第5次)第3号

「特集:精神医療国家賠償請求訴訟―その背景と現段階」

責任編集:古屋龍太・中島直

 

【 巻頭言 】

○精神医療国家賠償請求訴訟が問う国家の不作為

-問われる精神医療政策の歴史、この国のかたちと私たち-

古屋龍太

【 特集 】精神医療国家賠償請求訴訟-その背景と現段階-

○座談会:精神医療国家賠償請求訴訟の位置と意義-ここまでとこれから-

伊藤時男・織田淳太郎・野村忠良・東谷幸政・古屋龍太

○精神国賠原告弁護団の立場から

長谷川敬祐

○ハンセン病国賠訴訟の場合

八尋光秀

○患者たちはもう黙っていない!!

精神医療ユーザーが創る精神医療の未来

佐藤光展

○国賠 そこまでいかなければならなかった日本の精神医療

~きわめて私的な体験をもとに精神保健福祉士として考える~

門屋充郎

○問われるべき人権と精神医療

~個人の内面化と社会の規範化を見据えて~

山田悠平

○精神医療国家賠償請求-意義、臨床との関連、疑念-

中島 直

○尊厳なき精神医療政策が生む人生被害

有我譲慶

 

【 視点63 】

○精神医療に期待されるヤングケアラーへの対応

森田久美子

【 視点 】精神現象論の展開〈14〉

○私たちは〈時代の子〉(3)

森山公夫

【 連載エッセイ 】バンダのバリエーション〈3〉

○やや節操をかいたバンダ(その 3)

塚本千秋

【 連載 】リエゾン精神看護事例検討会〈3〉

○コロナ禍におけるコンサルテーション

-covid19クラスターを体験して-

山崎陽子・中安隆志

【 リレー連載 】精神医療人権センターから〈3〉

○大阪精神医療人権センターから

藤原理枝

【 書評 】

○岡村正幸編著(ミネルヴァ書房)

『精神保健福祉システムの再構築 非拘束社会の地平』

國重智宏

【 紹介 】

○古屋龍太・大島巌編著(ミネルヴァ書房)

『精神科病院と地域支援者をつなぐ みんなの退院促進プログラム

~実践マニュアル&戦略ガイドライン』

添田雅宏

【 投稿 】

○三枚橋病院私史

~歴史と向かい合い、検証し、語り継ぐために~(前編)

中田 駿

 

○編集後記

中島 直

 

編集:第 5 次『精神医療』編集委員会

https://www.facebook.com/seishiniryou05/

発行:M.C.MUSE Inc.

https://www.mcmuse.co.jp/psychiatric/

価格:1,870円(税抜価格1,700円)

ISBN:978-4-904110-26-3

※全国の書店、Amazonや楽天等のネットから注文できます。

※定期購読(1年単位)ご希望の方は、下記事務局にご連絡ください。

 第5次『精神医療』編集委員会事務局 Mail:tachikawa-ss@nifty.com

↓シェアをお願いします↓