【活動報告】2024 日本・韓国 精神障害当事者共同宣言

2024年10月10日の世界メンタルヘルスデーにあわせ、韓国・ソウル市で開催された「第7回ビューティフルマインドフェスタ」において、日韓の精神障害当事者団体が国連障害者権利条約第19条の実施を柱とする共同宣言を発表しました。本記事では、その日本語版と英語版を掲載します。

日本・韓国 精神障害当事者共同宣言
(2024年10月10日 世界メンタルヘルスデー)

私たちは、2024年10月10日「世界メンタルヘルスデー」を迎え、精神障害者を隔離・監禁の対象として扱ってきた古い時代を終わらせ、精神障害のある人びとが主体的に生活できる社会を実現するために、革新的な精神保健政策の実現をめざします。

韓国精神障害者連合会と日本の精神障害当事者会ポルケは、声を一つに結集し、当事者の権利回復のために全力を尽くすことをここに宣言します。

国連障害者権利条約(CRPD)第19条について

CRPD第19条「自立した生活及び地域社会への包容」は、締約国に対し、障害のある人が他の人と平等に選択を行い、地域社会に暮らす権利を完全に享有できるよう、効果的かつ適切な措置をとることを明確に求めています。

現状への問題意識
しかし現在の日本・韓国における精神保健システムは、精神科病院への非自発的入院や長期入院、住まい・就労など生活のあらゆる領域からの排除、尊厳を損なうようなリハビリや治療に偏った対応を特徴とし、社会の構成員としての権利を剥奪してきました。私たちは「人生を生きる権利」を奪われてきたのです。

私たちの訴え
私たちは、このような現実を終わらせることを強く訴えます。
国や医療の権力による隔離や監禁といった前近代的な方法を直ちにやめることを求めます。精神障害当事者が人生の主体となり、尊厳を回復して生きていけるよう、すべての社会的・政治的な仕組みを整えることを要請します。日本と韓国の当事者は、互いに声と力を合わせ、暴力的かつ抑圧的なあらゆる困難に抵抗し、共に声を上げ、意見を集め、全方位的な闘いを進めていきます。

決議事項
1.精神障害当事者の自己決定権を、治療・職業選択などあらゆる領域で優先的に保障すること。

2.当事者が主導し、当事者が望む「当事者中心のサービス」を量的・質的に拡充すること。

3.日本・韓国に存在する非人権的な精神保健福祉システムを改善し、当事者の基本権を侵害するすべての要因に抵抗すること。

4.精神障害当事者の声を集め、必要とされる政策と制度を改善・開発すること。

5.地域間格差を考慮し、全国的に協力して均等に権利が保障されるようにすること。

6.当事者が社会の構成員として基本権を保障されつつ、ピアサポーターなどの役割と誇りを高める仕組みを整えること。

7.強制的な治療・入院ではなく、自立生活の理念に基づき、地域社会での自立生活の権利を確保すること。

8.障害者手帳の所持者だけではなく、精神疾患を経験したすべての人びとが権利保障されるよう、制度・サービスを改善すること。

9.本人の意思に反して強制的かつ長期に入院・入所させることをやめ、脱施設化を通じて自立生活を拡充すること。

10.精神障害当事者が地域社会で堂々と調和して暮らせるよう、社会を変革すること。

結び

以上の10の決議に基づき、韓国精神障害者連合会と日本の精神障害当事者会ポルケは、声を一つにして、精神障害当事者の権利回復のために総力を尽くすことを宣言します。

Japan–Korea Joint Declaration of Persons with Psychosocial Disabilities(PDF)

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