【情報提供】注目!パブリックコメント「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針(案)」(締切:12月21日)
一般社団法人精神障害当事者会ポルケではこれまで、加盟団体の全国「精神病」者集団を通じて、代表理事の山田悠平が「情報通信機器を用いた精神療法を安全・適切に実施するための指針」の検討に関わる委員を務めたほか、日本精神神経学会の企画等でも、普及に向けた課題提起や提言を継続して行ってきました。
オンライン診療については医療アクセスを保障するための選択肢として位置づけ、障害者権利条約第25条にも照らし、初診を含めて有効なオプションとして整備する必要性を訴えてきました。当会が実施してきたアンケートでも、オンライン診療には一定の需要が確認されており、懸念点を解消しながら普及を期待する声が寄せられています。また、慶応義塾大学の岸本泰士郎特任教授の研究報告によると対面診療同等の診断精度・対面診療に劣らない治療効果の有用性については確認されているところです。(精神科領域オンライン診療のエビデンスとニーズ・2025年3月10日 第5回 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会資料)
2025年12月開催の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第12回)」においても、構成員を通じて、当該指針(案)についてパブリックコメントを実施することを提案してきました。こうした経緯に加え、2025年12月4日の参議院厚生労働委員会における山内かなこ委員の質疑なども背景として、今回のパブリックコメントが実施されるに至ったと受け止めています。オンライン精神療法は、当事者にとって医療アクセス・プライバシー・危機対応などに直結する重要なテーマです。締切(2025年12月21日 23:59)までに、e-Gov等からぜひ意見を提出してください。この記事では、提出方法と当事者の立場から出しやすい論点(初診の選択肢確保/初診への過度な条件付け回避/カメラ常時ONの柔軟化/安全・緊急時対応/地域連携など)をご案内します。
■「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」(案)
案件名:「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」(案)
公示日/受付開始:2025年12月16日
受付締切:2025年12月21日(日)23:59
所管:厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課
提出方法は下記のリンク先よりご確認ください。
「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」(案)に関する御意見の募集について(外部リンク)
■当事者の立場から改訂が必要と思われるポイント例
1つだけでも十分です。もちろんほかのポイントでも大丈夫です。書きやすいものを選んでください。可能であれば、指針の文言の変更イメージを書いてみましょう。
① 初診を“対面だけ”に固定しない
「初診予約が取れない状況は深刻。また病院内での虐待などの事件報道のため、精神科にネガティブなイメージをもちやすい人もいる。初診でのオンライン受診も柔軟に緩和してほしい。」
② 対面診療ありきではない選択肢を
「対面の代替としてのオンラインの受診だけではなく、体調が落ち着いている場合などは積極的にオンラインの受診環境も選択肢として示してほしい」
「介護や子育てなどの家庭の事情や仕事の調整がつきにくい場合もある。それでも安定的な通院環境は不可欠。対面ありきではない制度設計に変更を。」
④ 初診の条件付けは慎重に。
「保健師等同席を“必須”にすることは運用上、なかなか合理性が疑わしい。まずは医師と本人だけで開始→必要に応じて支援につなぐ段階設計を念頭においた運用を。」
⑤ カメラ・マイク常時ONの“例外”を認める
「映像が苦痛で受診回避につながることは避けたい。原則は映像でも、症状や希望により音声のみ/チャット併用等を許容してほしい。」
⑥ 「物理的に隔離された空間」を形式で縛らない
「安全に話せる“部屋”がない人もいる。部屋の形状ではなく、漏聴防止など現実的に確保できるプライバシーを重視してほしい。」
⑦ 遠隔地の専門医につながる道を閉ざさない
「医師本人が速やかに対面できる体制に限定すると、専門医がいない地域で治療機会が失われる。緊急時は地元の連携先が対応する等、役割分担で担保してほしい。」
⑧ 思春期・若年層の秘密保持を明確に
「家族共有の確認が強調されると受診をためらう。本人の秘密保持を守り、本人が望めば家族に知られず受診できる運用を明記してほしい。」
オンライン精神療法の指針(案)は、当事者の医療アクセスと安全をどう両立させるかを左右する重要なルールです。締切(2025年12月21日 23:59)までに、初診の選択肢確保や過度な条件付け回避、プライバシー、危機対応、地域格差など、当事者の実感にもとづく意見を届けましょう。

-「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針(案).png)
