【活動報告】研究倫理を語る会で、障害当事者の研究参画について報告しました
3月7日に都内で開催された「第11回 研究倫理を語る会」にて、障害当事者の研究への参画をテーマに代表理事の山田悠平が話題提供の機会をいただきました。昨年の障害学会でのシンポジウムと同じメンバーでご一緒する場ともなり、継続して議論を深める貴重な機会となりました。
当日は、「障害当事者の研究への参画―精神障害当事者会ポルケの取り組みより―」と題して、当会の実践を紹介しながら、研究における当事者参画の意味や位置づけについて報告しました。活動の実践例、患者・市民参画(PPI)の基本整理、当事者参画の規範性、そして活動知見から研究倫理への示唆という流れでお話をしました。
実践例として、国立精神・神経医療研究センターのみなさんと協働して進めてきた「DIARYプロジェクト」を触れました。この取り組みでは、被災経験のある精神障害のある人や支援職への調査、各地での防災ワークショップ、啓発映像資料の制作、提言活動などを、研究者と共同創造する形で進めてきました。こうした経験は、研究において当事者がどのように関与しうるのかを具体的に考えるうえでの原体験なっていいます。
発表では、PPIのありようについても整理を試みました。関与のあり方を、情報提供、意見聴取、協働、当事者主導という強度の違いで捉えています。また、当事者が「研究参加者」であることと、「助言者・共同研究者として研究プロセスに入ること」は区別して考える必要があることを特に強調しました。
障害者権利条約、とりわけ一般的意見7号を手がかりに、当事者参画をどう位置づけるかについても考えを述べました。一般的意見7号では、当事者参画は単なる意見聴取ではなく、政策・意思決定における手続要件として位置づけられており、早期関与、透明性、情報アクセス、合理的配慮、資源の確保などが必要であること、また当事者主導の障害者団体と支援団体の位置づけを区別して考える必要があることが示されています。当日の発表では、こうした観点を研究倫理との関係でも考えました。研究はしばしば、公的資金、公的機関、倫理審査や各種指針など、国の制度や責務の枠組みのなかで行われます。その意味で、障害者権利条約の規範は、研究の実施環境や倫理のあり方にも関わってくるのではないかという点を論として立てて、障害者権利条約に依拠するPPIのあり方として、議題設定の段階からの参画、説明責任、合理的配慮と資源保障、少数意見を消さない設計などの論点も提示しました。
研究の現場で当事者参画が語られることは増えてきましたが、それが形式的な「参加」で終わらず、意思形成や制度設計にどうつながるのかは、引き続き丁寧に検討していく必要があると感じています。今後は、今回整理した内容をさらに深めながら、今後の具体的なアクションにもつなげていきたいと考えています。研究における当事者参画のあり方について、引き続き実践と対話を重ねていきたいと思います。



