令和2年度第1回東京都障害者差別解消支援地域協議会における 不動産分野に関する相談事案における差別を助長しかねない記述についての削除・対策を求める要望について

2021年2月10日付で東京都福祉保健局障害者施策推進部共生社会推進担当課宛提出の意見書について公開いたします。


 

令和2年度第1回東京都障害者差別解消支援地域協議会における
不動産分野に関する相談事案における差別を助長しかねない記述についての削除・対策を求めます

日頃より障害者施策の推進をいただきありがとうございます。さて、令和2年度第1回東京都障害者差別解消支援地域協議会(令和2年10月9日開催 資料03-2主な相談事例・報道事例)における不動産分野に関する相談事案(当事者:精神・発達障害からの相談)において、障害者差別を助長しかねない記述を確認しました。これについて、深刻な憂慮を表明するとともに、速やかな削除及び当該ホームページ等での詳述説明を行い、関連業界に文書連絡を行うなどして不要な混乱が起きないよう対策を講ずるとともに相談者への然るべき救済措置を行うことを求めます。

〇当該事案及び東京都の見解についての意見

 障害者差別解消法の基本方針等において示されているように差別的別的取扱いとは、「正当な理由なく、障害又は障害に関連することを理由として、不利な区別、排除及び権利の制限をすること、障害者が権利を行使する際に条件を付けることその他の障害者でない者と異なる取扱いをすること」である。このことから、明らかなように不動産業者が不動産契約に際して障害者にのみ診断書の提出を求めることは、障害者でない者と異なる対応であることから不当な差別的取扱いに該当する。また、障害者の入居に係る審査のみ結果が示されることに数か月を要することは、障害者の権利行使の遅延を招き権利の制限につながることから、その点においても不当な差別的取扱いに該当する。

他方で、東京都の当該事案の見解では、「障害者に合理的配慮を提供するために、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない」とのことであるが、合理的配慮は、障害者差別解消法第8条2に「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」とあるように本人の主訴に基づいて行われるものである。また、障害の合理的配慮をめぐる建設的対話において、障害の状況確認と称して区市町村や主治医からの第三者からの意見を求めることは、合理性や妥当性の面からしても馴染まない。なお、本事案から読み取れる限りの当事者からの主訴からは合理的配慮を求めた結果の一連のやりとりとしては見受けられない。
 当該事案は障害の合理的配慮の提供を装いながら、不当な差別的取扱いをはたらく悪質性が極めて高い。東京都の当該事案を巡る記述は、不当な差別的取扱いにあたるところをむしろ問題なしとして誤認するのみならず、合理的配慮について誤った認識を流布するものとして深刻に憂慮するものである。速やかな削除撤回と当該ホームページ等での詳述説明を行い、関連業界に文書連絡を行うなどして不要な混乱が起きないよう対策を行うとともに、相談者への然るべき救済措置を行うことを求める。

〇資料(下記当該資料記載の抜粋)
令和2年度第1回資料 03-2主な相談事例・報道事例より
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/chiikikyougikai01.html

■不動産分野に関する相談(当事者:精神・発達障害からの相談)
<相談概要>
 不動産事業者より、単身で精神障害を持つ者は、場合によっては診断書を出してもらうことがある。審査に数か月時間がかかる場合があると説明された。これは差別的な対応ではないのか。

<センターの対応概要>
○ 当該事業者へ連絡したところ、下記のとおり回答があった。
本件の診断書提出についても、入居を妨げるものではなく、精神障害や知的障害があり単身で入居する方に、円滑な入居に配慮するために障害の状況や入居後の支援体制などをプライバシーに配慮しつつ確認し、行っているものである。障害の状況の確認に際し、区市町村など第三者からの意見を求めているが、把握できない場合は、主治医からの意見を求めるため、費用負担が発生してしまう場合がある。
○ 相談者に対し、事業者の返答内容について伝え、対応終了した。
(対応のポイント) 障害者に合理的配慮を提供するために、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、「不当な差別的取扱い」には当たらない。

以上

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