【活動報告】寄稿『医学のあゆみ』286巻6号~特集 統合失調症の未来 ─研究と治療
『医学のあゆみ』286巻6号、当事者の声─臨床医と研究者に伝えたいことと題して寄稿の機会をいただきました。今号特集タイトルは統合失調症の未来 ─研究と治療です。どうぞお手にお取りください。(山田)
内容紹介
・本誌で統合失調症の特集は, 2017年の「統合失調症UPDATE――脳・生活・人生の統合的理解に基づく“価値医学”の最前線」以来であり,前回は現在進行形の取り組みを“価値医学”という新しい展開として紹介した.
・本特集では「統合失調症の未来――研究と治療」をテーマに,分子病態,トランスレーショナル研究,脳ネットワークについての革新的な研究動向を紹介し,その視点から臨床と総論を考え直すきっかけになればと考えている.
・臨床家にとって統合失調症は日々接する疾患であるが,そうした機会の少ない研究者の方々にとって統合失調症の実際は,当事者や家族が一般向けに書いた切実な体験から知ることができ,本特集でも紹介している.
目次
はじめに(福田正人・村井俊哉・笠井清登)
総論
当事者の声─臨床医と研究者に伝えたいこと(山田悠平)
統合失調症とはどういうことか(村井俊哉)
統合失調症のスティグマと社会参加(山口創生・大石 智)
統合失調症の脳病態解明の到達点・未達成点─取り組むべきこと(柳下 祥・笠井清登)
分子病態
統合失調症の分子遺伝学(富岡有紀子・沼田周助)
ドパミン受容体を標的とした統合失調症治療薬─構造生物学からの洞察(林 到炫・岩田 想)
統合失調症のエピゲノムを標的とした治療薬(向井 淳・福田茉由)
トランスレーショナル研究
統合失調症の分子生物学・トランスレーショナル研究(南学正仁・他)
統合失調症の動物モデル・トランスレーショナル研究(熊谷友梨香・神出誠一郎)
統合失調症のMRI脳画像トランスレーショナル研究(田中謙二・阿部欣史)
脳ネットワーク
統合失調症の階層性データ解析(小池進介)
サリエンスと精神症・統合失調症(宮田 淳)
統合失調症における脳内意味ネットワーク異常と連合弛緩(松本有紀子・髙橋英彦)
計算論的精神医学─統合失調症の病態理解のための新たなフレームワーク(山下祐一)
臨床
統合失調症の神経認知機能と社会認知機能(橋本直樹)
ライフステージに注目した統合失調症への心理社会的支援─AYA期を中心に(金田 渉)
統合失調症の空間疫学─都市性の環境要因(澤井大和・中谷友樹)
統合失調症の治療ガイドと学会の未来─共同創造を通じた研究と治療の橋渡し(福田正人・他)
次号の特集予告
サイドメモ
精神症とは
スティグマ
社会的接触
22q11.2欠失症候群
用語解説
クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)
エピジェネティクスとエピゲノム
DNAメチル化
日本医療研究開発機構(AMED)戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)
神経基盤と神経相関
精神病と精神症
ニューラルネットワークモデル
まざまな回復
AYA(思春期・若年成人)期への精神保健教育
疫学
障害