【活動報告】障害年金「不支給増」問題への見解

2025年4月の報道以降、精神障害の新規障害年金申請における不支給の増加が問題となっています。6月11日に公表された「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」を受け、当事者団体としての評価と提言を公表します。私たちは、就労=支援不要とみなす偏見の是正と審査過程の透明化を強く求めます

報告書では「基準に沿った運用」と結論づけられていますが、実際には職員による等級案の提示が認定医に影響し、下位等級から不支給への判断が増えた可能性があります。判断過程の記録や透明性は不十分です。また、「週4日働けているから軽度」といった就労主義的な見方は、ガイドラインの趣旨(就労の有無だけで支給を決めてはならない)に反しています。

さらに、認定理由が簡略にとどまり、本人の語りや生活実態が審査に十分反映されない構造が続いています。その結果、社会参加がむしろ不支給の理由になるという逆転現象が生じ、制度への信頼を損ねかねません。

私たちは次の改善を求めます。

  • 不支給とされた事案を再点検し、適切な救済措置を講じること。その際は、本人への通知と説明責任を果たすこと。

  • 本人の生活実態や声を伝える仕組みを正式な手続きとして制度化し、任意の添付にとどめず、標準化された「本人申立てフォーム」を策定すること。

  • 審査プロセスや判断理由を可視化し、当事者参画による継続的モニタリング体制を整えること。

  • 就労と障害認定の関係を見直し、「働いている=軽い」という単純な評価を改め、働きながら支援を受ける正当性を明確にすること。

障害年金制度は、生活の基盤を守り、社会参加を支えることを目的としています。就労や地域参加を促進しながら、必要な支援を確保できる制度へと転換するために、透明性・説明責任・当事者参画を柱とする改革を強く求めます。

2025年9月1日
一般社団法人 精神障害当事者会ポルケ
代表理事 山田悠平

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