【活動報告】第105回お話会レポート(主治医に「話せない」こと、訪問看護の利用についてなど)

冬の訪れを感じる11月23日、東京都障害者福祉会館にて第105回お話会が開催されました。外の空気は冷たく、皆が集まった暖かい室内との温度差がはっきりとしてきました。今回は、初参加の方2名を含む12名の参加がありました。
◇主治医に「話せない」こと
「睡眠がうまくとれないので精神科の主治医と相談し、これまでいろいろな薬を処方されてきた。ところが内科の先生からは「この薬は血糖値が上がりすぎるのでやめたほうがいい」と言われ、そのことを主治医にまた伝えるのに苦労した。何度も話してようやく止めてもらったが、内科で指摘されダイエット中」。「確かに、主治医にどう言うのかとても気を遣う。反対に他科で精神科の受診状況について話せていないこともある」。
診察の中でもやもやしてしまうことを私たちの多くが経験しており、程度などは様々ながらいつも抱えている気持ちでもあります。
「今の主治医は話を聞いてくれないので不満。人によって医師に求めることは違うとは思うが、今、私は主治医にはできるだけ話を聞いてほしいと思っている。だがいつも主治医の方がたくさん話して診察時間が終わってしまう。クリニックを変えることも検討はしているが…」。
これを受けてまず、最近転院をしたという人から経験が共有されました。「医師の対応がつらくて、紹介状を出してもらうのも『不満だから出ていくのだろう』と思われるのではないかと、どう書いてもらうか随分悩んだのだが、なんとか転院した。しかし転院先も合わず、色々あり疲れてしまって、解決になっていないが元の病院に戻り、つらいままの状態が続いている。自分の症状に合うドクターを見つけるのは本当に難しい」。

診察時に主治医に「話せない」―診察時間の短さも皆感じながら、残念ながらあきらめようとしてしまうことがあるという言葉が、複数の参加者から出されました。「診察は5分、聞いてくれて10分とか、まあそれぐらい」、「書類と薬で良いと割り切る」、「ある支援者が、ふだんの診察時から、診断書を書いてもらうときに必要になるような情報を意識して話すと良いと言っていた」。
本来、書類のために受診をしているわけではないはずですが、あきらめたり割り切ったりしないとよりつらくなってしまう現状を、変えていかなければならないと改めて思います。
◇訪問看護の利用について
「話したいが話せない」というテーマから、訪問看護の利用で話せることもあるかもしれない、という話題になりました。最近、精神科訪問看護ステーションが増えているようです。訪問看護は、私たちの生活を支える医療サービスとして大事なものの一つになっています。
「知人が訪問看護を利用し始め、『とても良いから利用を検討してはどうか』と私も勧められた。今まで利用を考えたことは全くなかったのだが、どうしようかと考えているところ。皆の利用経験を聞いてみたい」。
これを受けて、利用している人から実感が共有されました。「自分の場合は、血圧などを測って、日記を書くように言われているのでその日記を見て少し雑談したあと、さっと帰る感じ。決まっている時間より早めに帰る人もいる。正直なところ効果はよくわからない」、「私は利用してとても良かったと感じている。今のステーションと相性が良く、数人がローテーションで訪問するが、どの人にも愚痴を聞いてもらったり、雑談したりできている」、「自立支援の範囲で利用しているので、費用負担は実質なく利用している」。
これらの話を聞き、利用したことがない人から「医師とはいつも話す時間がないので、そういったサービスがあるのなら、次の受診で利用を相談してみようかな」という言葉も出されました。

一方で、利用の相談をためらう要因についてもあがりました。「部屋に入られるのに抵抗がある。自分の部屋を見られるのかと思うと…」。「自分もはじめは自室を見られるのがとても嫌だなと思っていたが、利用し始めたらそれはだんだん慣れてきた」。「決まった時間に自宅にいなければならないというのがどうしてもきついと感じてしまい、まだ利用したことがない。変更を連絡するのがその都度できるならまだ良いが、自分の場合は電話をかけたりメールをしたりするのも、特に体調によっては負担に感じてしまうことが多くて。利用にはハードルがたくさんあると感じてしまった」。
自分に合う訪問看護ステーションが見つかると、定期的に体調や気持ちを客観的に見てもらえることで、生活のリズムが整ってきたり、前向きになることもありそうです。お話会でも、医療サービス利用についてこれからも私たちの実際の気持ちを共有していきたいと思います。また、お話会で出されたこうした声を、今後は医療や支援の現場にも届けていきたいと考えています。
◇おわりに
お話会の最後には、皆で感想を共有しています。
「家族や職場の人へは『これを言っても良いのかな』というようなことも、ここで話せて良かった」
「実は嫌なことがありここに来られるかも心配だったのだが、来たことで切り替えもできたと思う。ありがとうございました」
「自分のあげたテーマ以外のことも、当事者の皆の話を聞けて参考になった」
次回は年の瀬の12月。寒さがますます厳しくなりそうですが、お話会では皆で暖かい時間を過ごせます。みなさんの参加をお待ちしています。
この取り組みは、公益推進協会釋海心基金の助成により実施しています。(相良)

