【報告】第53回お話会/精神障害を抱えて仕事に取り組むこと
4月25日(日)@東京都障害者福祉会館 和室
4月最後の日曜日。暖かい日が増え、気持ちの良い気候になってきましたが、三度目の緊急事態宣言が発令。そのような中でも、今回は10名の方がお話会に参加してくださいました。
今回は、話したいことがある方から以下のような話題を挙げていただきました。
- 精神障害のない人と働く際に、どのような点に留意するか
- ピアスタッフとして働くとき、どこまで配慮を求めるか
- メンタル以外の身体のケアについて
- 気分の上がり下がりのコントロールの方法について
- パートナーが欲しい
- 幼少時代の生きづらさを共有したい
この中からまとめて2つほどご紹介させていただきます。
お話会テーマ①〜障害の有無に関わらず、ともに仕事をすること〜
精神障害当事者は、障害や服薬の副作用により、発病前と比べて取り組める業務量が下がってしまうことがある。そんな中でも仕事をする際には、いわゆる健常者と同じ業務量をこなすことを求められたり、また、苦手な業務が立て続けに入ったり、それが直前で変更になったりすることも少なくない。特に会議は、参加者それぞれが日程を調整して集まるものなので、こちらの都合で変更がきかないし、休むのに気がひけてしまう。そういった困りごとに、どのように対処しているかを話しました。
皆さんの対応策・・・
- まずは主治医に相談する。そして、自分で自分のペースを整える。例えば毎日1時間はスマホなどを手放し対人刺激を全く受けない時間を作る、週に1日は何もしない日を作る。1日3件以上は予定をブッキングしない。気分の上がり下がりのサインに自分や周りが気づいて無理をしない。
- 上司にはには病気のことは事前に伝え、面談を定期的にしてもらう。
- 働く時間は同じでも、仕事量は配慮してもらう。
- 助けてもらえる人など、人を選んで相談する。
- 欠勤したら次の日謝る。
- 休日は利害関係のない趣味の場を大切にする。
- 家事などは完璧を諦める。
- たまには出たくない会議には出ないなど、自分の気持ちも大切にする。
…などの意見が出ました。
障害があることを周囲に積極的に開示をして、配慮を求めたり、セルフケアについての経験を聞くことができました。自分の気持ちを優先するという選択肢があることにハッとさせられました。無遅刻、無欠勤を続けることで職場からの信頼を得たいと少し無理をしていた私には、誰でも体調、気持ちに合わせて休むことは当然なんだと、目から鱗な意見でした。
お話会テーマ②〜ピアスタッフとして働くこと〜
精神障害当事者(ピア)として支援施設で働きたいけれど、どこまで配慮を求めればいいか、という話題が出ました。障害者採用でない募集に障害者であることをオープンにして応募し、書類選考に通り、面接を控えている状況。薬の副作用などがある中で、精神障害のない専門職と同じだけの技量、知識量などを求められるのか?比べられるとなるとどうしてもしんどくなる。施設の利用者には当事者であることを開示して接したいと思っている、というご相談。
これらの相談から、実際にピアスタッフとして働いている人や、これまでに何かしらピアのサービスを受けた人に話を聞く流れになりました。
まず、ピアスタッフとしての採用面接の経験を持つ人が特に印象的に覚えていたのが、病気を含めた自己理解ができているのかという面接官からの質問でした。答えていく中で、自分で自分に厳しくし過ぎてしまうのでは?と面接官に読み当てられ、そこに気をつけて、例えば無理をしてしまったときに、自分でSOSを出せるかが一つ採用のポイントになったようです。また、どのくらいの配慮を求めるかについては、職場によって差は大きいと思われます。グループホームで働く、とある参加者の場合は、一緒に働く仲間が有資格か無資格か、実務経験が有るか無いかなど、様々な人でチームになってそれぞれの視点、専門性を活かして働いており、ピアは当事者の気持ちを汲んだ発言をするなどして補い合ったり、自分の苦手なことを予め伝えておくことは支障にはならず自然と配慮になったと話しました。
一方で、ピアスタッフからの支援を受けた経験だも寄せられました。ピアカウンセリングを利用した方によると、「主治医の言うこと聞いてる方が早いな」と、期待値が上がりすぎていたのかもしれないけれど、当たり障りのないことしか聞けなかったとの声がありました。
他にも、参考になりそうな本を紹介すると声をあげてくださった方もおられました。
終わりに
今回の参加者の感想を少しご紹介します。
- 自分の話もできたし、自分の聞きたいことも聞けたのでよかった。
- 体調があまりよくなかったが、皆の話が聞けて活力になった。
という感想をいただきました。
緊急事態宣言下での開催ではありましたが、皆さんにとって心休まる場、収穫のある場であれたなら嬉しいです。またのご参加をお待ちしています。(安藤)