【報告】2020年度精神障害当事者会ポルケ写真展企画について(一般財団法人タチバナ財団助成事業)

■企画の目的と概要

障害者権利条約の批准をきっかけにして、様々な障害者に関する法律や制度の運用は改定されています。東京都においては2018年に障害者差別解消条例が施行され、ますますの障害理解の取り組みが必要となっています。他方で、精神障害に関しての障害理解には遅れがちな状況があります。たとえば、昨今の凶悪な事件の被疑者に精神科病院への通院歴が報道機関によって暴露されるなど、精神障害と犯罪を関連づけるような風潮はいまだに根深くあります。

このような状況を少しでも変えるための精神障害に関わる法律や制度に変更を加えることと併せて、精神障害についての理解を進める市民レベルの交流の機会が必要だと考えています。この間、当会は地元大田区で開催される「おおたユニバーサル駅伝大会」への実行委員会、デジタルストーリーテリングテリングという映像制作手法を用いた自分語りの動画づくりプロジェクトや曹洞宗の僧侶の方々との啓発研修資料作りなど多様な関係者との交流を通じて、精神障害理解に努めてきました。さらに推進するアプローチとして、精神障害のリアルをテーマにした写真展を実施すべく、2020年4月より取り組んでまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

■撮影はフォトジャーナリストの柴田大輔さん

今回の企画実施に当たり撮影に協力をいただいたのは柴田大輔さん(ブログ)です。コロンビア、エクアドル、ペルーの先住民族、コロンビア難民の取材の他に、活動拠点である茨城県内の自立生活センターでの活動の様子や移動支援サービスの啓発活動である”ガイドヘルパーから始めよう”キャンペーンといった障害者関連の人たちへの撮影にも関わってこられました。

企画にあたり運営メンバーとの打ち合わせも入念にしていただきました。新型コロナウィルスの影響が心配され始めた頃でしたが、感染対策を取りながら日頃の活動も撮影いただきました。

 

 

 

 

 

 

 

■被写体としてポルケのお話会参加メンバーに協力をもらいました

被写体には、これまで月例で実施している「お話会」企画の参加メンバーにお声掛けをさせていただき、協力をいただきました。まだまだ偏見や差別の問題が根深い中ですので、メンバーの中には日頃の生活圏への悪影響を懸念する人もいました。そのような葛藤を抱かせてしまう状況を少しでも変えたい、そんな思いで撮影に臨みました。

 

 

 

 

 

 

■お披露目兼ねた写真展を実施

新型コロナウィルスの感染状況の影響も心配されましたが、撮影は9月までに無事に終了しました。感染対策を取りながら下記の日程で実施しました。規模を縮小してのご案内となり、今後の活用についても意見交換しました。

〇日時:2020年10月25日(日)11:00〜15:00

〇場所:ギャラリー・ツープラス(東京都中央区日本橋2丁目1−19)

 
 
 
 
 
 
なお、プレ企画として渋谷ヒカリエで実施の“Defence/Difference” Komaba Film Festival 2020A/Wで取り組みのご紹介の機会をいただきました。その折には、写真を通じた多様性理解の試みについてと題して公開収録を実施。ゲストには、会場提供に協力いただいた井筒節さん(東京大学)と柴田大輔さん(フォトジャーナリスト)をお迎えしました。

 


“Defence/Difference” Komaba Film Festival 2020A/W (渋谷ヒカリエ8階 8/ATELIER)
芸術・文化を通してダイバーシティと包摂を促進し、違いを価値に「協力者カミングアウト」を進めるEMPOWER Projectが主催。


■今回のプロジェクトは、一般財団法人タチバナ財団の助成のもと実施しました。

写真展企画実施に係る撮影の費用等について、一般財団法人タチバナ財団様からご支援をいただきました。今後、写真展を活用したイベントなどを今後いろいろな地域で行っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

▲中村事務局長(左)とともに

■柴田大輔さんからメッセージをお預かりしました

『精神障害当事者会ポルケ』さんとのプロジェクトで、精神障害への理解啓発を目的に、今年の春から撮影を進めてきた写真展を、主に関係者向けに開催しました。『精神障害当事者会ポルケ』は、毎月開催する当事者同士による交流の場「お話し会」のほか、精神障害を取り巻く環境を変えるために幅広い活発な仕事をされています。

 この企画をご一緒させていただいたのは、友人でもあるポルケ代表の山田さんからお話をいただいたのがきっかけでした。何をどのように撮影していけばいいのか、山田さんはじめ、ポルケの方々とミーティングを重ねていく中で、改めて僕自身が「精神障害」について何もわかっていなかったことに気づきました。
 
 また、ポルケの方々が日常的に感じている「差別と偏見」、実際に直面している実例を知ると、僕自身が何よりも「偏見」を抱き、無意識に「差別」する側にいることにも気づかされました。個人的なところでは「山田くんのことを、実はよく理解できてなかったんじゃないだろうか?」という、無知から来る身近な人への無理解は、大きな反省になりました。
 
「精神障害ってなんだろう?」という疑問の答えに近づくことが、僕自身のスタートでした。日常生活の中て、メティアを通して伝えられる「心の病」とされる情報は、あらゆる場所に溢れています。てすか、多くの情報を前にあえて立ち止まることはないまま、過剰に強調された表現が印象として無意識に頭に焼き付き、それが「精神障害」の姿だと認識していることが多くあると思います。

 誰もが日々生活し、それぞれか、それぞれの人生を歩んでいます。「精神障害」のあるなしにかかわらず、仕事、家庭、学生生活、それぞれの形があるのだと思います。当たり前にある日々の姿を知ることが、偏見を取り去る第一歩になるのではと感じます。その上で、それぞれの異なる背景に思いを寄せることができるのではないでしょうか。

 撮影では、被写体となってくださった一人一人からお話を伺い、大切にしているものに焦点を当てました。それは家族であり、新しい人生を切り開こうする今であり、精神障害者を取り巻く環境を変えようとする活動であります。また、「今ある姿を大切にしたい」と葛藤の中にある姿をみせてくれた方もいました。差別と偏見のある中で、顔を出し、カメラに向き合ってくださった皆さんの勇気ある姿には、僕自身、心動かされました。今年は色々な制限があり思うように人が集まる場所を作りにくい状況にありますが、また改めて、『ポルケ』さんのご活動を通じて、写真を見ていただける場ができればと思います。

【ご紹介】柴田大輔写真展『土と奏でるブルース』

・2020年11月13日(金) – 11月17日(火)   0PEN:11:00 – 18:00
・場所:cafe+zakka+gallery MINERVA
 
 
 
↓シェアをお願いします↓

コメントを残す