東京大学精神看護学の授業でゲストスピーカーをする機会に恵まれました。
緊急事態宣言発令中ということもあり、zoomを活用したオンラインでの授業となりました。
・当事者活動の取り組み
・神出病院の虐待事件
・10年で倍増している身体拘束の問題
・障害者権利条約に関連して
などについて話題提供しました。
限られた時間でしたが、事実をもとにして、変えるべきベクトルをお伝えしたかったです。
そして、今後どのようにこれを変えていけるかー
これからの現場や研究のお立場で活躍する若い学生のみなさんにとってなにか少しでも残るものがあればなと思いでお話をしました
学生さんからは授業終了後にコメントを寄せていただきました。
掲載のお許しをいただきましたので、ご紹介をさせていただきます。
■個々人の意識のあり方を変えることは確かに重要だが、制度・社会的な環境条件が人権を軽視できる・せざるを得ないような環境を作っているという所にニワトリとタマゴ的なジレンマがあるように感じました。結局、地道な関係者・社会一般の人たちの意識改革を積み重ねることが最も王道な解決への道なのだと思いますが、理念的な倫理観と現実との間にできるギャップをどのように埋めていくかを同時に考えていく必要があると考えました。
■Integrationとinclusionの違いが興味深かったです。これまでその違いを意識して使ってきませんでした。また、身体拘束の体験談を読んでいると、非常に辛い気持ちになりました。一方で医療の人手不足や業務過多などを念頭に入れた議論をしないと、実際に現場で苦労している医療者を糾弾するような風潮になってしまうだろうと思いました。
■朝倉病院の動画、事件を知らなかったのでかなり衝撃でした。あれを見たら誰もが良くないことと思うだろうに、それでも拘束が増え続けるのは、医療現場の構造的な問題なのかなと思いました。
■身体拘束に関して無くしていけたらいいなと思う反面、人手的な側面や社会の意見・価値観など、多様な事情が絡み合っていますぐにでも無くしていくというのは難しいんだろうなと感じました。法をはじめとした社会的な拘束を作ることで世の中の価値観をけん引していく必要があるのかもしれないと思いました。
■神出病院の看護師による虐待も、朝倉病院の事件も、とてもショックだったし、医療者としてとても恥ずべき行為だと感じます。その背景に何があったのか、根本的な原因が何であったのか追求し、構造的に解決していかなければならない根深い問題であると思いました。
■朝倉病院事件、とてもショックでした。そして、神戸の事件など、これはまだまだ続いている問題なのだと思いました。精神科病院自体の構造の問題、ヒエラルキーの問題…色々ありそうだなと思いました。倫理教育だけでは足りないと思います。身体拘束に関しては、友人が経験し、暴れてもないのに拘束されてオムツを履かされたということで大きな傷になったようでした。
■身体拘束の話題が出るたびに、そもそも精神科の入院は誰の為に行われているのかということを考えてしまいます。もちろん患者さんの精神を落ち着かせることに有効だとは思いますが、全てが治療目的ではなく、他に受け入れてもらえる場所がなく、仕方なく入院し続けている例も多々あるのではないかと。身体拘束も、治療というより病院側の人員配置が足りない苦肉の策、という風に見えてしまいます。必要のない身体拘束を減らすには、精神疾患の入院制度そのものを見直さなければならないのではないかと思いました。また、身体拘束以外でも、看護師の間では常識的なケアが、看護に触れたことがない人にとっては屈辱的に思えるものもあると思います。自分自身が「役にたつ」と思い込んでいる知識が、本当は患者さんにとっては不必要かつ不快な面もあるということを頭に入れて、より澄んだ視点で患者さんに接することができるようにならねばと思いました。
■神出病院での事件、朝倉病院での事件、身体拘束の体験記…どれも衝撃的であり、聞いているだけでも辛かったです。あのような明らかな人権侵害に看護師が主体となって関与していることが何よりも信じられませんでした。もしかしたら看護師をそうならざるを得ない環境要因が働いているのかもしれませんが、人として許されないと思いました。身体拘束に関しては難しいなと思いました。病院にだけ非がある訳ではないと思うので、そうなってしまう原因が解明されることを願います。
▲授業終了後に教職員の先生方と振り返り
うんうん、と大きくうなずく感想ばかりでした。
学生さんってすごいな、、、
柔軟であり、俯瞰的に考察したコメントも多くやりがいを感じました。
実は、虐待の話などを看護学の授業で話しても大丈夫かな?
という一抹の不安もあったのですが、今回機会をいただいた宮本有希先生にもお褒めの言葉をいただき安堵しました( *´艸`)
今後も学校等でお話をする機会がいただければメンバー一同喜んでまいります。
どうぞお気軽にご連絡ください。(山田)