【活動報告】第78回お話会レポート ~「感動ポルノ」?と精神障害など~
暦の上では立秋を過ぎましたが、とても暑い陽気が続いている毎日で気がつけば夏バテをしているという方も多いようです。どうぞお体にお気を付けください。さて、そんな中2023年8月27日に、第78回お話会が東京都障害者福祉会館で行われました。今回は初めて参加される方6名を含む計16名が参加してくださいました。今回会の中で出されたテーマの一部をご紹介いたします。
◇「感動ポルノ」?と精神障害
ちょうどこの日、丸一日かけて障害をテーマにした某テレビ番組が放映されていたこともあり、このようなテーマが出されました。「身体障害や重度の知的障害のある人ばかりで、精神障害や発達障害のある人を取り上げていない」「障害者が頑張るのを見て感動するということに違和感がある」「リアリティの追及よりも、番組を見て勇気づけられるようなケースにだけ焦点を置きがち」「かえって当事者を追い詰めていないか」などの意見がありました。またそこから、何か事件があった際に精神障害者への理由なき偏見が溢れることに対する懸念を吐露される方もいらっしゃいました。
その中で心に残った発言があります。それは、「その番組は『休むことも必要だ』という精神疾患の治療理念と合わないのではないか」ということです。私たち当事者が自分らしく生活するには十分な休息をとることは極めて重要です。その一方で「ただ怠けているだけだ」と心無い言葉を言われることも少なくありません。その番組に限らず、さまざまな障害に対する偏見を払拭する取り組みが、もっと多様な形で広がってほしいと感じました。
◇就労や雇用
障害者雇用と一般雇用との間での悩み、就労移行支援や就労継続A型・B型の各事業所に関する話題がありました。前者では、そもそも障害者雇用の枠が少ない、障害者雇用は有期雇用が多い、ジョブコーチがいてもトラブルが発生することがあった、などの声がありました。後者では、ある事業所では「はやく働け」という圧を何度も感じた、事業所の職員による無理解な言動があった、などの声がありました。一方で、事業所の職員とつながっていることで安心できるというご意見や、社会福祉士や精神保健福祉士が職場にいたら対人関係や自分の気持ちを相談できるのに、という方もいらっしゃいました。また、職場で自身の障害をオープンにするか迷われているという切実な声もいただきました。
◇友達づくりは禁止?
精神科のデイケアや就労支援事業所、地域活動支援センターで「友達をつくる場所じゃない」と言われたというお話が複数の方からあり、「本人の意思を無視しているのではないか」「何があったら困るというけど、何かあるのは障害者に限らない」というご意見がありました。また、精神科の病院に入院されていた方からは、「友達をつくるかどうかも含め病院側に従うかどうかで退院が決まる。恐ろしいところだ」という声もありました。
私は、これはとても難しい話題だと感じました。一つの答えをうまくまとめてここに記すことはできませんが、心に留めておきたい言葉が会で出されたので記載いたします。それは、「トラブルがあってこそわかりあえることもある」「失敗することも大事」という言葉です。何かを守ることも大事ですが、それに注力するあまりこの言葉のようなスタンスは抜け落ちやすいのではないかと、私は感じました。
◇いただいた感想
・初めて参加して緊張したから疲れたけれど、いろんな視点から話が聞けて良かった
・自分の中に、話したいことがたくさんたまっていたんだなと感じた
・自分の話を聞いてくれるということが力になった
・話しづらいことを話してくれたことを大切にしたいと思う
・心の深いところにある思いを共感できてよかった
・人の話を聞いて、自分はどう感じるかということを体感できた
◇おわりに
答えを簡単に出すことのできない難しい話題が多かったような気がしています。ただ、お話会では答えを出すことよりも、共感することでひとりじゃない実感を得たり、うなずくことで話す人の勇気になったりする、そんな瞬間が大切だと思っています。感想でそのようなお話をいただけて、うれしく思います。ご参加いただき、ありがとうございました。(ソウ)
今年度のお話会の取り組みは、公益財団法人ホース未来福祉財団の助成事業として実施しています。