統合失調症薬物治療ガイドライン改訂委員会の委員を務めることになりました(2019~
ご縁をいただいて、統合失調症薬物治療ガイドライン改訂委員会の委員を務めることになりました。
どのような役割を果たせるか悩みましたが、お引き受けをすることにしました。
自分自身が多剤多量処方の経験で随分と苦しみました。
しっかりとした情報をもとにして、医師と相談できることは大事だと思っています。
今回の役割で私は初めて統合失調症ガイドラインのことについて学ぶ機会がありました。
自分の理解の範囲でレポートさせていただきます。
統合失調症薬物治療ガイドラインをご存知ですか?
統合失調症の薬物治療をどのように進めるかを示した一般向けのガイドラインを、日本神経精神薬理学会がネット上で2017年から公開をしています。これまでも医師向けのガイドラインはあったようですが、患者や家族、支援者向けに分かりやすく読めるよう工夫したようです。
「統合失調症薬物治療ガイド―患者さん・ご家族・支援者のために―」で、同学会のサイトで読むことができる。同学会は2015年、多数の論文を解析し、科学的な根拠をもとに推奨される薬物治療法をまとめた医師向けのガイドラインを作成したのですが、患者にとっては難解という声も聞かれていました。
統合失調症の治療は薬だけでなく、心理社会的な療法と組み合わせていく必要があるともいわれていますが、まずは臨床研究の成果が蓄積された薬に限ってガイドを作ったようです。
今回このガイドライン改定の役割をお引き受けしようと思ったのは、先述のように私自身が多剤多量処方で苦しんできた経験があるからです。例えば、セカンドオピニオンをしようにも、医師によっては、それ以降の治療を遠回しに拒否されたりもしました。
服薬についての疑問を口に出せないような雰囲気には随分と悩みました。
もともとの3分程度の診察時間も短いこともありますが、いったい誰に相談しようかホントに悩みました。
ガイドラインはなぜ必要なの?
統合失調症の薬物治療は実際に服薬をしてみないとその効果がわからないともいわれています。
個体差があるため、薬の効き目や副作用などは、専門家の医師を以てしても予測が困難のようです。
一方で、服薬による「益」と「害」は統計的にはある程度証明されたものがあります。
その蓄積データをもとにしたものが、ガイドラインとなります。
たとえば、医師に治療方針や服薬について相談する際に、ガイドラインが役に立つこともあるようです。
自分の悩みを明示しやすくなるのは大きいところです。
たとえば症状が安定してきて、減薬を希望する際にも参考になると思います。
繰り返しますが、あくまで統計なので、それがそのまま自分の症状や予後に当てはまるばかりではありません。
が、やはり現場の医師のマインドを変えるためにも、このようなガイドラインを患者共に共通言語にすることは大事な気がします。
もとより、薬物治療以外のアプローチへの広がりにも期待して。
ガイドラインは、なぜ改定するのか?
このガイドラインも科学の進歩とともにその証明の程度も日進月歩で変化もするようです。
2015年に創られたガイドラインは幾度か改定をされています。
直近公開されているガイドライン(2017)はコチラになります。
今のところ、なんとなく思っているところ
さてさて自分が言える意見はなんなのかというところなわけですが、一言で言えば、わかりやすく明示されているかのチェックだと思っています。
そして、患者として期待されるであろう疑問点や説明について、しっかり書かれているかだと思います。
たとえば、減薬を進めるにあたり安全圏の余地はどこまで証明されているか?などなど。
他の当事者委員の先輩もいるので、これは関わる中で試行錯誤とは思っています。
そして、そもそもでこのガイドラインを現場でちゃんと活用している医療者がどれぐらいいるのだろう?というのは気にはなっています。
若手の医師がこれから勉強することにはなるのでしょうけど、、今度こっそり聞いてみようと思いました(山田)