【活動報告】第94回お話会レポート(障害を伝えることについて、困った時の相談先など)
2025年、新しい年となりました。本年のお話会もよろしくお願いいたします。さて、昨年は12月22日に2024年最後の第94回お話会が東京都障害者福祉会館で行われました。アイスブレイクとしてそれぞれから話された「お正月にしたいこと」では、「録画しているドラマをゆっくり見たい」「好きなお節を食べる」などがあり、また「いつもと違うことで調子を崩しがちなので、ペースをつくって過ごしたい」という方もいらっしゃいました。今回は12名の参加がありました。
◇障害を伝えることについて
精神障害について周囲の人にどのように伝えるかについて参加者からの経験がそれぞれ寄せられました。
この話題について提案をしてくれた人からは、「障害をまわりの人たちにこれまで伝えてこなかったが、入院を機に自分の障害をどう伝えるか試行錯誤してきた。これまでに仲間たちの経験も聞いていたので、病名に力点を置かないようにし、『躁うつで、自分の場合は具体的にこういうことなのだ』と友人たちに伝えたところ、分かってもらえたと感じられる反応があったので良かった。また、言う必要がないと思う人には言っていない。自分の障害を伝える選択権は自分にあるのだと考えるようになった」とお話がありました。
このお話に対して、「自分の場合は、自分が病識を持ちたいということが動機の一つにあり、手帳を取得し自分の障害をインターネットでも公開して全てオープンにした。そのことで今のところ困ったことは特にない。一部の友人は自分のことをきっかけに、病気や障害のことを調べてくれたようで嬉しかった。また、まわりの人たちから体調を尋ねてもらえるようになった。これからの課題は、最近症状が落ち着いてきたので、これから出会う人に伝えるかどうか、どう伝えるかということ」という経験も寄せられました。
また、「障害のある当事者の友人が、最近パートナーに障害を伝えたところ、友人にとって良い受け止めだったようで嬉しそうだった。一方で『偏見が強いと分かっているので親には絶対に言えない』という友人もいる。私もこれから自分の障害を伝えることについて考えたいので、皆さんの経験を教えてほしい」というリクエストもあがりました。
「自分の場合は家族の理解が得られず、体調が悪いときも寝込むのを許してもらえない。それが苦しかったのもあり別の親戚にカミングアウトしたところ、門前払いだと感じられる対応をされてしまった。普通であるように擬態しなくてはならない状況にある」というつらい状況を話してくださった方がいました。それを受けて別の方から、「私も家族から『うちの家系にそんなものはいない』といった反応をされた」という経験が語られ、さらに「自分も今日当事者会に来るのに、家族に悪いイメージを持たれることが分かっていて、あえて言う必要もないので『当事者の会に行く』とは言っていない」という話もありました。
また、「これまで色々なところで自分の障害を伝えてきたが、伝えてみて良かったという経験はない。障害者雇用で働いていた時には『○○障害の人には判断させたらダメ』など言われて居心地が悪かった」と言われた方もいました。
私たちは当事者として、自分の障害をまわりに伝えていくことは社会的にも大切な意味を持つことだと思います。一方で、今回のみなさんの経験談からは、まだ多くのハードルが現にあることも感じられました。自分が自分の障害を伝えたいと思ったときに、より伝えやすい社会となるよう取り組んでいきたいと改めて考えさせられるテーマでした。
◇困った時の相談先
「これからA型事業所で働くことになった。それに伴って今まで利用していたサービス事業所を離れるので、そこの支援員さんに相談することが難しくなる。自分に向き合って熱心に対応してくださっていたので、大きな相談先がひとつなくなるのが不安。皆は相談先をどうしているか参考にしたい」というお話がありました。
これに対して、「地域活動支援センターはどうですか?相談できる曜日や、センターの場所などを調べて、合いそうなところにアクセスしてみては」というアイディアが出されました。「自分も地域活動支援センターを利用していて、自分のところは電話相談もできるので助かっている」という経験談もありました。自治体やその施設によって細かな条件は違いますが、経済的な面でも、地域活動支援センターは相談先のひとつの候補として共有されました。
その他に、「有料なので回数は限られるが、通院先のクリニックの心理士との相談も利用している」「自治体の事業のピアカウンセリングは、無料でもあり、経験を共有できてありがたい」というお話もありました。また、「仕事に関することであればこれからのA型事業所の職員にも相談できるのでは」と、テーマを出された方へ、今は不安もあると思うが新しいステージを応援しているという気持ちも含めたメッセージも寄せられました。
「お話会のような当事者同士の語り合いの場も大きな存在である」という声も数名から出されました。仲間の話を聞くことによって、直接的ではなくとも自分の悩みがほぐれる感覚があったり、新しい視点を得られたりすることもあります。相談できる人や場を探すのは、苦しいときには特に難しいことでもありますが、安心できる場所は必ず身近にあることを忘れずにいたいと思いました。
◇おわりに
今回のお話会の最後には、「久しぶりの参加でした。それぞれのテーマが自分の知りたいと思っていたことでもあり、参加して良かった」とのご感想もありました。
毎回のことではありますが、2024年もお話会のような経験や希望を共有できる場にいられたことで、気持ちの落ち着きや温かさを感じられました。
もうすぐお話会も100回目の節目を迎えます。参加を迷われている方や、体調などでなかなか来られないという方もいらっしゃると思いますが、引き続き場づくりの活動を行っていきますので、ぜひご自身のタイミングでご参加ください。(相良)