【活動報告】第86回お話会レポート(身近な人からの理解、働き方の多様性、文字文化のコミュニケーション)

新年度になりました。東京では昨年より2週間ほど遅い桜の満開も迎えました。お花見は楽しまれましたでしょうか。ただ、何かと変化も大きくそわそわする時期でもありますので、自身のペースを大事にしたいものです。さて、2024年4月6日に、第86回お話会が東京都障害者福祉会館で行われました。今回は、初めて参加される方1名を含む13名が参加がありました。

◇身近な人からの理解

「身近な人の自分の障害への理解が乏しく、体調が悪くて動けないときも『気持ちの問題』のように言われてしまう。他にも自分のような思いをしたことがある人はいるだろうか」という投げかけがありました。参加者それぞれから、自分の経験とも照らし合わせたコメントが寄せられました。その中で、「自分の障害について、親の『育て方』の問題にされてしまったことがあった」「知人は、主治医から直接説明してもらう機会をつくったところ、一定の理解が得られたそうだ」といったお話がありました。

障害の理解が得られないということにもさまざまな理由や背景があると思います。社会に根強くある偏見の問題と親族関係がゆえの感情のしこりを少し冷静に捉えてはどうかという意見も寄せられました。いずれにしても親族関係など付き合いを続けざるを得ない関係性というのも往々にしてあることだと思います。問題を自分の中で整理して客観的になることで、少し楽に向き合えるかもしれません。

「傷ついたり理不尽な目にあったりする可能性の高い人とは距離を置きつつ、今大事にしたい人との関係性を育てていきたい」という気持ちを応援したいと思いました。

◇働き方の多様性

コロナ禍もあり、在宅ワークなどの働き方の選択肢が広がったと言われています。しかし、障害者として働くとなるとまだまだ難しさもあります。「私が障害者雇用で短時間働きたいと言っても、企業側は障害者雇用のメリットがないと働くことはなかなか難しかったように思う」と、自身を取り巻く現状からの経験談が寄せられました。在宅ワークやフリーランスの働き方についての思いや経験の共有がされました。

私たちは障害特性上、通勤の負担が非常に大きい場合があります。電車通勤の場合は朝のラッシュなど人ごみも通らなくてはなりません。また、朝30分長く眠れることが体調維持に大きく寄与することもあります。職場での雑談や細かい気配りで、心労がかかるという人も多くいます。その意味でも在宅ワークは、今後の私たちのひとつの働き方として、可能性が大いにあるのではないでしょうか。障害者雇用の在宅ワークで生活できるだけの給与をはじめ労働環境の仕組みが整うように私たちも折に触れて訴えていきたいと思いました。

◇文字文化でのコミュニケーション

「仕事でのコミュニケーションでチャットを使うことが多くなった。どのぐらいフランクに書いていいものか悩む。固く見えてしまうようで、『もっと相手に興味をもって!』と言われてしまう」といった悩みに対して、「仕事なのだから固くていいのでは?」、「自分も他人に興味は基本持てない」、「絵文字は家族としか使っていない」と共感する声が上がりました。対面、メール、チャットと文化やマナーが微妙に異なり、移り変わりも早いため世代間でも“常識”が異なるようです。仕事であれば業務に支障が出なければいいはずが、人間関係が業務に影響してしまったり…。

ある意味で、コミュニケーション方法の多様性に振り回される時代なのかもしれません。人一倍考えて選んだ言葉が、他の人にはうまく伝わらず疲弊してしまうだけ、といったことも私たちにはよくあります。自分のコミュニケーションスタイルで堂々と言葉を発する経験を育む機会を増やしていきたいなと思います。

◇おわりに

今回もさまざまな深いテーマが出され、それに対し皆が真剣に考えた言葉を場に出してくださいました。一言ずつ感想を述べるときに、「うれしい・楽しいこと」も添えてみようということで、最後にそれぞれの最近の良かったことや楽しみの分かち合いもできました。ほっこりとした気持ちで締めくくれたことで、幸先の良い春を感じられました。終了後には、有志で会報の発送作業を行いました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。(相良)

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