前恣意的拘禁作業部会の委員長のホンさんをお招きしての院内集会レポート
政府関係者を招聘しての意見交換会から、諸事情により、2年ぶりとなる来日となる前恣意的拘禁作業部会の委員長のホンさんをお招きしての学習会となりました。(主催:全国「精神病」者集団)
ホンさんからのレポートからは、まずはじめに米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設への抗議活動に伴い、山城博治氏が器物破損などの疑いで長期勾留されている件も同作業部会から恣意的拘禁とする勧告がだされたことの経緯について解説がありました。
作業部会としては、当然ながら政治判断には介入せず、刑事手続きや仕組みの問題を問うていることが理解できました。
いくつかの「恣意的拘禁」を判断するカテゴリー分類に則り、 同作業部会はそれを判断します。
同作業部会は、2018年、日本の精神医療をめぐる恣意的拘禁について2つの勧告を提出しています。
勧告は、精神保健福祉法に基づく措置入院制度を精神障害に限定した人身の自由の剥奪であることを根拠に、差別に基づく拘禁(同作業部会のガイドラインに基づくカテゴリーⅤ)であると認定し、政府に法改正などを求めています。
精神科医療に関する手続きや仕組みの問題として、、
○カルテ開示や診断の判断の根拠に患者がアクセスできているか
○入院中に外部との通信が担保されているか
○拘禁へのルールや高度な基準が定められているか
などがとりわけ人権上大きな課題としてホン氏は認識されているようでした。
日本政府は、国連人権理事国でありながら、勧告に関してもっぱら「恣意的拘禁に当たらない」とする反論に徹しており、同作業部会による公式の訪問は未だに実現していません。
国際的に協調して恣意的拘禁をなくすという方向性をとれずにいます。
他方で、同作業部会は、複数回にわたり日本政府に公式な訪問を受け入れるように要請しているようですが、その返事がない状態であるとのことでした。
そもそも、今回の2つの勧告については、外務省のホームページ等で公になっていません。
同作業部会では、回答とともに勧告それ自体の公開性を人権のアドボカシーとして、推奨しているといいます。
情報の公開担保を含めて、政府から独立した国内人権機関の創設の必要性を感じました。(文:山田)