【コラム】障害者虐待防止法改正をめぐっての動向

日本障害者虐待防止学会学術集会が12月26日に開催されます。
第2部では「精神科医療機関における虐待防止・通報義務を考える-精神保健福祉法改正を見据えて-」という企画があります。

現行の障害者虐待防止法では、医療機関・教育機関・官公署での通報義務が規定されていないという問題があり、その改正を望む声が障害者団体からは多く挙がっています。それは、通報者保護の規定がカバーされないという問題にもつながり、虐待防止の実効性にも響く問題となっています。
 
業界の一部では精神保健福祉法改正でお茶を濁すような要望も挙がっているようですが、これまでの枠組みの限界を鑑みるに実効性含めて大きな疑問に思います。
神出病院での虐待事件から、神戸市議会をはじめ多くの地方公共団体で障害者虐待防止法改正を国にもとめる要望書が挙がっています。
 

都内では渋谷区議会で以下のような意見書が採択されました。
障害者虐待防止法改正に向けて障害者団体や地方公共団体の声を国は真摯に向き合ってほしいと思います。(山田)

 

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の改正を求める意見書

 
「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」は、平成24年10月1日の施行から9年が経過した。
障害者に対する虐待は障害者の尊厳を損なうものであり、ダイバーシティ&インクルージョンを標榜する渋谷区として、いかなる時いかなる場所であっても断じて許すことはできない。
法律の施行により、障害者虐待の防止に関する理解は着実に進み、相談・通報件数は年々増加傾向にある。しかし昨年には、神戸市内の精神科病院における看護師らによる患者への卑劣な集団虐待事件の発覚に端を発し、恒常的な虐待が明らかになるなど、看過できない痛ましい障害者虐待事件がいまだに発生している。これらを防止するためには、虐待発見時における区市町村への通報義務が欠かせないが、現行の対象は養護者、障害者福祉施設従事者等及び使用者による障害者虐待であり、医療機関従事者等による障害者虐待は対象となっていない。

よって、渋谷区議会は国会及び政府に対し、障害者虐待防止法を改正し、障害当事者の人権に配慮し、医療行為と虐待行為を区別できるよう環境整備に努め、虐待発見時の区市町村への通報義務の対象に、医療機関従事者等による障害者虐待を加えるよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和3年10月13日
渋谷区議会議長名
 
 

【参考】障害者虐待防止法改正について(要望)/日本障害フォーラム
JDF障害者差別解消委員会のメンバーとして当会の山田が関わったJDFの要望書です。

 

加盟団体の全国「精神病」者集団から立法過程から現在に至る概況についてのレポートです。
 
 
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