【活動報告】精神障害者向けの交通割引についての取材が記事になりました(東京新聞)

1月23日(日)の東京新聞朝刊1面に掲載されました。
その前週には国会の代表質問で与党の代表質問でこの問題の一端が取り上げられました。
引き続き関係団体と一緒に訴えていきたいと思います。

▼障害の違いで運賃に差…精神障害者向け割引に遅れ 首都圏はJRも大手私鉄も未導入(WEB版)

以下、転載します。


◆障害者手帳の交付開始時期が影響

 昨年4月時点の調査結果をまとめた国交省の資料によると、精神障害者向けの運賃割引を実施している97社の内訳は、東京都営地下鉄や名古屋市営地下鉄など公営鉄道が11社、西日本鉄道など大手私鉄が2社、地方を中心とする中小の私鉄が84社。各社のホームページなどによると、一定の条件で、障害者本人や介助者の普通運賃を半額にするケースが多い。
 一方、JR各社などには身体、知的障害者の運賃割引はあるが、精神障害者はない。精神障害は身体、知的障害と比べ、社会的に分類されたのが遅く、割引を受ける際に提示が必要な障害者手帳の交付開始が身体の1950年、知的の73年に対し、精神は95年だったことが影響している。
 国交省鉄道局の担当者は取材に「運賃は鉄道事業法に基づいて鉄道会社が決めており、割引への協力と理解を求めている」と説明した。一方、JR東日本広報部の担当者は「身体障害者らの割引を含めて本来、社会福祉政策として取り組む必要がある」と、現在は行われていない公的な財政負担の必要性を主張。精神障害者割引について「他の利用客の負担につながる面もある。現在のところ予定はない」と回答した。
 

◆平均月収6万円…「交通費の負担大きい」

 精神障害者の運賃割引を巡っては、2019年に全国精神保健福祉会連合会(通称・みんなねっと)などが衆参両院に提出した請願で「障害者が移動する際に公共交通機関は必要不可欠だ」と指摘。国からJR各社などに身体、知的と同等の扱いになるように働き掛けを求め、衆参ともに全会一致で採択された。
 みんなねっとの小幡恭弘事務局長は「われわれの調査では、精神障害者の収入は月平均6万円程度と少なく、交通費の負担感は大きい。関係者は運賃割引が進むように努力してほしい」と訴えている。
 

◆国と鉄道事業者、費用を巡り溝

 精神障害者の鉄道運賃割引について、国は「民間の判断に委ねられている」との見解を示す一方、鉄道会社側は「必要な財源は国が負担すべきだ」との立場で折り合えていない。障害のため仕事で十分な収入を得られない当事者らは身体、知的障害者と同様の制度の実現を求めている。
 「遠方の親戚に会いに行きたいが、鉄道運賃の負担が大きく、控えざるを得ない」。精神障害者らの交流会などを企画している一般社団法人「精神障害当事者会ポルケ」(東京都大田区)の代表理事で、統合失調症を患う山田悠平さん(37)は肩を落とす。
 山田さんは「都内では割引がある鉄道が限られるため、住居や生活の範囲も沿線に限定されがちだ」と話す。障害者権利条約が移動の自由を保障していることなどを挙げ、「精神障害者が社会への一歩を踏み出すための環境を整えてほしい」と訴える。
 
 
 
 精神障害者向け割引がある鉄道会社は2012年の58社から21年の97社に増えたが、JR各社のほか都市部の大手私鉄の多くは未導入。「障害者人口のカバー率では、普及しているとは言えない」(みんなねっとの小幡事務局長)のが実情だ。
 関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「精神障害者の社会参加に向け、全国一律の運賃割引が求められているが、財政状況が厳しく踏み出せない鉄道会社もある。公共性の高い分野でもあり、財政負担などで国が主導的な役割を果たすべきだ」と語る。(我那覇圭)
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