【活動報告】第85回お話会レポート(家族との関係、支援職の当事者として、回復と寛解)
2024年3月3日に、第84回お話会が東京都障害者福祉会館で行われました。ちょうど東京マラソンが開催されており、来る途中にたくさんのランナーを見かけました。今回は、初めて参加された5名を含む、16名の方にご参加いただきました。会の中で話題に上がったトピックをいくつかご紹介いたします。
◇家族との関係
家族との関係について、多くの方々がお話をしてくださいました。親に暴言を吐いてしまうぐらいに怒りを抑えることができずにつらいというお話、家族から自立したいと思っているけれど一人暮らしに反対されているというお話、いつも他のきょうだいと比べられては折檻を受けていたというお話、病気を抱える子供が自分に依存していることにしんどさを感じているという話、パートナーとの別居や離婚についてのお話、などです。
そんな中で多く話題に上がっていたキーワードがあります。それは「距離」という言葉です。例えば、自分が入院することになり家族との距離ができたことで関係が変化したというエピソードや、「子供との依存関係から抜け出すためには物理的な距離が必要と感じている」というご意見、一度一人暮らしをしたけれど精神的に離れることができなかったというお話がありました。
距離には、物理的距離と精神的距離があるといいます。また、距離を取ることがひとつの「自立」でもあり、距離を置くための場所が、家族以外の人間関係がある「居場所」でもあるように思いました。そしてその居場所として、趣味のサークルやデイケア施設、福祉施設、行きつけのお店、オンラインゲームの世界、そして当事者会などがありますが、暮らしの中でいろいろな居場所があると良いなと思いました。
◇支援職の当事者として
支援職をしている当事者の方々からは、その立場におけるつらい心境について吐露されました。具体的には、自身の障害のことを周りに言えていないという状況や精神障害のある人への対応で自身が追い詰められてしまった中での複雑な胸の内などについてお話しされる方がいらっしゃいました。精神障害があることを周囲に言えないという様々な理由があると思います。ひとりで抱え込みがちになってしまうことを分かち合えたことが、よかったと思います。
◇回復と寛解
主治医から寛解と言われ、周りからは「もう回復しているんでしょ?」と言われるが、今も服薬を続けており、回復の実感が湧かないと語る方がいらっしゃいました。それに関して「仕事に行くのが精一杯なのに周りからは平気だと見られる」「家族から『あなたには期待しないから』と言われている」というエピソードが寄せられました。
私自身も、一体何が回復なのかと考えることがあります。病を抱える前の自分に戻ることが回復なのであれば、私は回復していない。ただ前の自分よりは肩の力を抜いて過ごすことができている。これは寛解と呼べる状態ではない気がするけれど、自分のペースでこの先の自分がどうなっていけたらいいか想像することが寛解につながるのではないか。お話を聞きながらそんなことを感じていました。
◇寄せられた感想
- そのままでいい 生きていることが大事ではないかと思った
- みなさんから否定されることなくお話しできて良かった
- SNSで非難されそうなことでも話せて少しホッとした
- 成功談だけでなく、失敗談や紆余曲折が聞けた
- お話を聞けて孤立感が和らいだ
- みなさんの視点からの体験談が学びになると感じた
久しぶりにたくさんの方にお会いすることができました。初めての方も、2回目で来て下さった方も多く、また何度も来てくださっている方もいて、温かな雰囲気と合わせ、春の訪れのような華やかな会になったと感じました。
ご参加いただき、またこのレポートをお読みいただきまして、ありがとうございました。(ソウ)
今年度のお話会の取り組みは、公益財団法人ホース未来福祉財団の助成事業として開催しています。