【情報提供】当事者の視点で支援の日常をふりかえる―虐待防止チェックリスト公開

精神障害のある人の暮らしを支える現場では、日常の小さな言動や対応が、当事者にとって「虐待」となり得ます。急かす、無視する、意思を尊重しない──こうした何気ない行為が積み重なることで、本人の尊厳や安心が脅かされてしまいます。

一般社団法人精神障害当事者会ポルケには、「支援の中でつらい思いをした」「声をあげづらい状況にある」 といった当事者からの相談が数多く寄せられています。そうした切実な声を出発点に、当事者自身の立場から「支援の日常」を振り返るためのツール としてまとめたのが、「当事者の視点で支援の日常をふりかえる―虐待防止チェックリスト」 です。

このリストは、身体的・心理的・性的・経済的虐待、ネグレクトといった主要類型、意思決定の尊重、ストレス管理、組織体制などの横断的視点を含み、支援者が自らをふりかえるセルフチェックの機能と、職場全体の仕組みを見直す環境整備の視点の両方を兼ね備えています。

さらに設計面では、回答を「はい」「いいえ」にとどめず、「気づきチェック」欄を設け、気づいたことを自由に記録できるようにしました。 これにより、個人のふりかえりだけでなく、研修やグループワークの中で支援者同士が学び合う場面でも活用しやすくなっています。

本チェックリストは、国連障害者権利条約の理念を踏まえて作成しました。特に、第16条(搾取・暴力及び虐待からの自由) ― 虐待防止の仕組みを整える義務、第19条(地域社会で生活する権利)― 施設内での不当な制約をなくし、本人の意思に基づいた暮らしを保障することを意識し、2022年に日本政府へ出された国連総括所見の実施にも資する実践ツールとして位置づけています。

先日、福島県相馬市で開催された虐待防止研修でもこのチェックリストを用い、地域の支援者とともに具体的な事例をもとに考える場を持ちました。今後も当会は、各地域や事業所からのご依頼に応じ、当事者の視点を活かした研修の実施に取り組んでいきます。

このチェックリストは、誰もが活用できる資料として公開しますが、当会の活動を継続し広げていくためには、皆さまのご支援が欠かせません。ご利用いただく際には、ぜひネットワーク会員の入会や、カンパ・寄付による応援をあわせてご検討ください。本チェックリストが、虐待防止にとどまらず、本人の意思と尊厳を尊重した「本人中心のより良い支援」の広がりにつながっていくことを心から願っています。

チェックリストは下記よりダウンロードできます。

当事者の視点で支援の日常をふりかえるー虐待防止チェックリスト_精神障害当事者会ポルケ(PDF)

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