コラム:京都における障害者の嘱託殺人事件について、全国「精神病」者集団声明を発表
加盟する全国「精神病」者集団では、下記の通り緊急声明を出したのでご紹介します。漏れ聞くところでは、逮捕された医師のうちひとりは、精神神経科領域を担当していたようです。この事件を機会に「命の選別」をめぐる動きが社会で進まないように、当事者団体としても動向を注視したいと思います。
▼ 緊急声明―京都における障害者の嘱託殺人事件について(全国「精神病」者集団)
https://wp.me/p9jlgD-hS
2020年7月23日、京都府警察は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性から頼まれ薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人の疑いで呼吸器内科医の大久保愉一容疑者(42)と、医師の山本直樹容疑者(43)を逮捕しました。
このうち1人の医師は、驚くほどの優生思想の持ち主で、津久井やまゆり園事件の犯人とは比較にならないほどの持論・実践を展開してきた人物です。嘱託殺人で医師が逮捕されたのは、射水市民病院事件以来12年ぶりのこととなります。
この事件を機に、この医師への人物評価がなされないまま、医師が医師を庇い、結果として安楽死・尊厳死法制化の議論に傾いていくのではないかと深刻に憂慮します。
私たちは、障害者団体として尊厳のある死ではなく、誰もが尊厳をもって生きられる社会を求めます。
▼難病ALS女性を安楽死 医師2人を逮捕へ、嘱託殺人容疑 京都府警(追記・リンク切れ)
https://news.yahoo.co.jp/…/17bab764c4188cde883d8ecb11a28d67…
▼逮捕された医師は元厚労省官僚 「高齢者は社会の負担」優生思想 京都ALS安楽死事件
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/314432…
逮捕された医師のうちひとりは、「高齢者は見るからにゾンビ」などとネットに仮名で投稿し、高齢者への医療は社会資源の無駄、寝たきり高齢者はどこかに棄てるべきと優生思想的な主張を繰り返し、安楽死法制化にたびたび言及していたようです。(下記記事2つめより)
今回の事件が安楽死の問題として扱われること自体に違和感がありますが、死にたいと思ったら死ねばいいというのはあまりに乱暴な話と思います。死にたい(存在を亡くしたい)と思う時に、ひとりぼっちではないと思えたことにどれだけ救われたことかとも思います。(山田)