情報提供:京都府立洛南病院看護師による入院患者に対する暴力事件について(声明)/全国「精神病」者集団
加盟団体の全国「精神病」者集団では本件について以下のような声明をリリースがありましたので情報提供させていただきます。
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私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
2020年12月17日、京都府立洛南病院は看護師が精神疾患のある入院患者に対して暴力を行っていたと発表しました。
12月10日午後3時半ごろ、男性看護師は患者のナースコールで病室を訪れ、大声で名前を呼ばれた際、ベッドに座った患者の足を3回けったほか、襟首をつかんで前後に3~4回揺さぶり、ベッドに上半身を倒して20秒ほど押さえつけました。患者の右鎖骨付近に3センチの擦り傷があり、この際の暴力が原因の可能性があるといいます。
主治医は看護師が「大声を出され、殴られそうになった」と報告したため、患者は同日午後3時50分ごろから翌11日午後4時25分ごろまで、病室の鍵を外からかけられて閉鎖処遇にしました。11日午後、別の看護師がこの処遇の経緯を記した記録を見た際、病室に設置されたカメラの記録映像に男性看護師が殴られそうになる様子は確認されず、報告が虚偽と判明し、同処遇は解除されました。
これまで行動制限の必要性については、患者が暴れることや患者による医療従事者に対する院内での暴力回避を含む医療安全が根拠として主張されてきました。しかし、その院内暴力の中に医療従事者の虚偽の報告に基づくものが含まれているのだとしたら、全体として真偽のほどが疑われることになります。少なくとも、暴れることや院内暴力の事実は、虚偽申告も含まれるため、真実か虚偽かを見分けるためには個別ケースごとに判断せざるを得なくなり、その意味で、これまで通りに一般化して主張することはできなくなったのだと思います。
これまで、医療従事者は、患者による院内暴力にさらされているかのような言説を扇動してきました。しかし、本当にそのような事実はあるのでしょうか。今回の事件では、医療従事者の言説の信憑性に疑問が生じました。私たちは、従来のような患者による院内暴力という論点を拒絶し、患者に責任を帰属させながら行動制限を正当化するあらゆる言説に対抗していきます。