【報告】ポルケ学習会 「 精神障害者がもっと無理なく楽しく働くために ‐私たちが提案すべきことってなんだろう?‐」

(企画趣旨・概要)

2018年4月、障害者雇用促進法改正に伴い、障害者の法定雇用率に精神障害者(精神保健福祉手帳保持者)が新たにカウントされるとことになりました。今後ますます企業での障害者の雇用促進が進もうとしています。特に精神障害者には、5年間の時限措置として、精神障害者の雇用率カウントの特例措置が始まります。一方で、精神障害者の障害者雇用の数そのものは他の障害と比較して、絶対数が少なく、精神障害者の雇用の定着率も他の障害と比べても低い状況が続いています。

 

この状況の改善のためには、精神障害者の労働環境の整備が求められます。とりわけ、障害者雇用の趣旨に根差した障害理解と合理的配慮が求められます。しかし、精神障害が見た目でのわかりにくさ、コンディションに波があること、そして根強い偏見の問題から、精神障害に対する理解それ自体や合理的配慮のあり方が課題であると私たちは考えています。

この学習会の前に、私たちの組織で定期的に開催するお話し会では、「はたらく」をテーマにしたワークショップを行いました。そこでは、当事者団体としても合理的配慮の好例を集めたり、学習を重ねる必要性を再確認しました。

 

今回は、支援職の立場からゲストを招いて、障害者雇用の今の課題は何か、そもそも働くとはなんだろうか、様々な角度から講師の鶴田さんにぶつけさせていただきました。前半では、鶴田さんから情報提供をいただきました。(資料を提供いただきましたので別添します)後半は、参加者からの質疑を挟みながら事例検討を交えて、合理的配慮についてのポイントを議論しました。

(実施日時・会場)

日時:7月8日(日)14:00~16:00

会場:東京大学駒場キャンパス 駒場国際教育研究棟3階教室

 

(講師)

鶴田 雅英さん

プロンフィール所属

東京都大田福祉工場就労支援課課長(主に就労移行支援・就労継続B型担当)

大田区自立支援協議会就労支援部会 部会長、原爆の図丸木美術館副理事長

ピープルズプラン研究所運営委員、知的障害者自立声明プロジェクト

OCNet(外国人とともに生きる大田市民ネットワーク)

 

 

(参加者)

参加対象精神障害当事者に限定せず、関心者も含めたものとしました。

日頃から実施をしている当会主催のお話会(精神障害当事者を参加限定とした交流会)の参加者や市民活動に関わる方、ピアスタッフとしてお勤めの方、就労支援関係者、行政職員、学生などさまざまな方に参加をいただきました。本企画のために埼玉や遠くは北海道から参加もありました。

18名の方にご参加いただきました。ご来場ありがとうございました。

 

(参加者アンケート回答抜粋)

・もう少し制度や用語としての資料がそろっていると良いと思った。

・甘えと合理的配慮のちがいについて話せたらよかった(当事者同士だからこそ、困難さを理解したうえで話せると思うので)

・窓口対応するにあたって、どの様に説明したらよいかと迷うことがあり、参考になりました。

・発達障害の場合、何を話しているのかわからなくなったりします。いくつも意見がとびかうと??となります。私は大丈夫ですが、視覚化しながら(ボードを使うなど)がよいですね。

・時代もどんどん変わっていくので規則もゆるくなっていくと思いますし、働き方の自由度も上がっていくと思うので、全ての人にとって苦しくない社会生活が実現できていくと思います。柔軟性のない人間が管理者であると働く側が(健常者であっても)大変だと思うので、企業側としてどういう人間が管理する立場に置くかはよく考えていく必要があるし、そのようにしてもらいたいですね!

・ありがとうございました。精神の方の新たな視点を頂けた気がします。

・自分自身もこのような会に積極的に参加することで事業所内の流れも変化すると再確認しました。もう1時間ほど長く設定してもよいと感じました。

・法改正で働くことを当たり前に感じていたので、会社の受け入れ方が問題とだけ思っていたので驚きました。言語化をしていくことで、どのように仕組み化できるのでしょうか。

・それぞれの立場で素直な声が聞くことができよかった。

 

(今後に向けてー運営メンバーより)

会場全員でのディスカッションが印象的で、そこでは職場へ欠勤の連絡の手段として電話以外の方法の是非や職場への合理的配慮の伝え方などが議論されました。欠勤時の電話以外での連絡手段として定型フォーマットで連絡を行うのは、コミュニケーションに不安がある働き手には良い方法だと感じました。また、合理的配慮は働き手の申し出し辛い状況があります。その申し出を行い易い空気感をつくるというのも、これからの職場づくりに必要な事ではないでしょうか。

どちらの議題も障害者の働き手が職場へ意思表示の困難ということが起因しています。適切な意思表示は、職場には定着率の向上、働き手には安心した働き方が出来るなど双方メリットがあります。そのため、今後は就労制度の中で意思表示のし易い仕組みを作ることが急務であると改めて思いました。(木伏)

 

学習会を企画する際に常に思うことが、テーマとそのタイミングです。今年度4月の障害者雇用促進法改正は、日本の精神障害者にとって転換点になると考え、本企画を実施しました。わたしたち精神障害の当事者も積極的にこの流れに参画することが重要だと思っています。

精神障害の合理的理解を巡っては、当事者側からどのような主張をしてよいのか、難しいという声も聞かれます。それは、自分の障害はなにか、から始まり、どのような配慮を求めるか、そしてどのように雇用側に理解を促し実現させるかが難しいというものです。社会がまだまだ精神障害と合理的配慮への理解の乏しさがその大きな原因ではありますが、実は当事者側の合理的配慮を権利主張する経験の不足もあると思っています。

先般の当事者会では「はたらく」をテーマにワークショップを開催しました。事例も含めて、私にとてもとても貴重な場となりました。「そういうことも求めても良いんだ」「それはどういう伝え方をすれば、より実現するのだろうか」など、思いと戦略についても当事者会で共有できたことはとても意義あることであったと思っています。

今回講師として、地元大田区で大変お世話になっている鶴田さんをお招きしました。2つ返事で了解をいただき、無事に学習会を開催することができました。胸を借りる気持ちで、学習会当日は意見を交わさせていただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。鶴田さんからは日頃からの人権や権利について造詣ある言葉に大いに刺激をいただいています。

障害者権利条約の批准の流れで、国内の障害施策は大きく動き出しました。障害者の人権事項が理念として、そして実態がそれに近づこうと徐々にですが、法律やシステムが進み始めています。そして、それを履行させるのは私たち障害当事者ひとりひとりの行動、つまり権利行使だと思っています。そのためには、当事者のエンパワーメントが欠かせません。

とかく学習会というと、難しいという印象を持たれてしまいがちです。それをどうにか、わかりやすくとうのが、ここ数年のモットーですが、当日は司会進行の中ではフォローが足りず、一部の人には分かりにくさにつながってしまったようです。その点はまだまだ自分の課題として向き合っていきたいです。そして多くの方にご来場いたけるよう、今後も仲間と頑張っていきたいと思います。最後になりましたが、日頃お世話になっている東京大学の井筒さんにも改めて感謝申し上げます。会場のご提供本当にありがとうございました。(山田)

(運営)

◇主催:精神障害当事者会ポルケ

◇協力:東京大学教養教育高度化機構国際連携部門国際機関プログラム

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