【コラム】知的障害者の自立生活声明文プロジェクトとの関わり

【コラム】知的障害者の自立生活声明文プロジェクトとの関わり

プロジェクトの取り組み

知的障害者の自立生活声明文プロジェクトが、俄かに注目されています。発足間もなくして弊会の山田も精神障害当事者として、関わりを持ってきました。このコラムでは、プロジェクトの紹介とともに、なぜ精神障害当事者が知的障害者のことに関わっているかについて気持ちの部分も含めてお伝えできれば思います。

プロジェクトは、2016年頃に東京城南エリアの知的障害者支援を営む支援者等を中心に発足しました。活動の趣旨は、知的障害がある人も住み慣れた地域で、一人で暮らすための生き方を支援者等が積極的に提案していきましょう、というものです。現行の福祉サービスのメニューの重度訪問介護や居宅介護支援といったサービスを活用することで、単身独居での暮らしは営むことができます。

しかし、知的障害があるということで入所施設やグループホームといった場での暮らしが専門職から提案されることが多いようです。住み慣れた地元を離れて、遠い地方での暮らしを余儀なくされている人たちがいます。その一方で、数はまだ少ないのですが、地元の大田区でも、福祉の支援を活用した暮らし方を送っている重度知的障害の青年もいます。その中心的に支援に関わる関係者からは「むしろ重度の方こそ、共同生活・施設環境への負担も強いので、単身でのマイペースな生活環境が大事なんです」とのことです。(※取り組みを紹介するイベントがあります。「重度知的障害の自立生活 TRANSIT YARD げんちゃんの記録」主催:おおた社会福祉士会

長期間にわたる精神科病院入院の課題

他方で、精神科病院での社会的入院(本来の入院治療治療や退院を前提としない長期間にわたる入院)は長らく人権課題として取り上げられてきました。
昨年の毎日新聞社の調査報道では、なんと精神科病院に50年以上にもわたり入院している人が国内にはおよそ1800人もの方がいるとのことでした。


障害があるという理由で、またその遠因で住みたいところに、住みたい人と住む機会を奪われしまうことは、大きな問題だと私は思っています。しかし、なぜ、社会的入院や施設収容が減らないのでしょうか。住宅や福祉など地域の受け皿不足、社会の差別偏見の問題が挙げられてきました。確かにそういう要因も否定しがたいものですが、今の施設収容や精神科病院の在り方をそのまま肯定しているきらいがあることも事実です。

自身も入院を経験する中で、長期入院する当事者仲間との出会いもありました。精神障害がある人もいましたが、知的障害がある人もいました。病院収容・施設収容の問題に障害名の垣根はありません。障害がある人も住み慣れた地域で暮らし続ける選択ができる、そして病院・施設から戻るための枠組みの支援や仕組みづくりは、障害者自立支援法以降、福祉のアプローチで徐々にですが構築され始めています。

人権・権利の問題

2014年に日本が批准した障害者権利条約19条には自立した生活及び地域社会への包容という項目があります。引用します。

この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含む。

(a) 障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。
(b) 地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。
(c) 一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。
引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000899.html

※条文を補足する一般的意見はこちら

条約はこれからのビジョン、人として当たり前に享受さるべき権利が書かれています。そして、それは国内法にも影響する位置付けも有しています。現にある施設・病院の需要を以てして、今の在り方がすべて肯定されるべきものではありません。時間はかかるかもしれません、お金が必要になるかもしれませんが、大きなパラダイムシフトが必要です。

最後に

プロジェクトを通じて、知的障害の分野での地域生活の意義を改めて学ばせていただいています。学びと自身の経験などがインスパイアされた形でなにか関われればと思っています。それは少し遠回りに思えるかもしれませんが、プロジェクトの関わりから、精神科病院の様々な社会的課題への切り口を自身の中でもさらに増やせればなとも思っています。ご注目いただけますと幸いです。

 

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