【情報提供】第1回対日審査 障害者権利条約 事前質問事項に係る政府回答仮訳

障害者権利条約の第1回目となる締約国審査がいよいよ本年8月に実施されることとなりました。2022年5月31日に日本政府が障害者権利委員会に提出した事前質問事項に対する回答が2022年6月8日公開されたのでご紹介いたします。日本語訳は自動翻訳サービスを活用したものです。正確性の保証がない旨、ご承知おきください。

Replies of Japan to the list of issues in relation to its initial report

Replies of Japan to the list of issues in relation to its initial report 仮訳

 

障害者の権利に関する委員会第27回セッション

2022年8月15日~9月9日

暫定議題5件

条約の締約国が第35条の規定に基づき提出した報告書の検討
第35条の規定に基づく条約締約国の報告書の検討

             第一次報告書に関する論点整理に対する日本の回答*, **

[受理日:2022年5月31日】]

  1. 目的および一般義務(1-4条)

                       課題リスト(CRPD/C/JPN/Q/1)第1パラグラフ(a)に対する回答

  1. 日本政府は、障害者団体との幅広い協議等を通じて、我が国の法律が障害者権利条約の目的及び趣旨に合致するよう継続的な努力を行っているところである。具体的には、2021年5月に「障害者差別解消法」を制定し、事業者に障害者のための合理的配慮を義務付けるなど、法整備を進めています。
  2. さらに、日本語の 「心神喪失」という言葉は、日本では一般的に「精神異常」と訳されている。この用語は、刑法、心神喪失の状態で重大な事件を起こした者の医療及び治療に関する法律(以下「医療観察法」といいます)及びその他の関連する法律において使用されています。純粋に刑法上の責任能力の有無を判断するための法律的な文脈で「精神上の障害により善悪の判断能力を欠き、又はその判断に従った行動ができない状態」を意味し、侮蔑的な用語ではありません。

                       課題リスト第1パラグラフ(b)に対する回答

  1. 2011年に障害者基本法が改正され、条約の目的・趣旨をより反映させるため、法律内の障害者の定義に「障害の社会モデル」の概念が盛り込まれた。 また、障害者差別解消法においても、同様の障害者の定義が採用されている。
  2. 各支援制度の目的・目標の違いによる差はあるものの、障害者基本法のもと、各制度に「障害の社会モデル」の考え方が取り入れられている。

                       課題リスト第1パラグラフ(c)に対する回答

  1. 日本政府は、障害者基本法第11条に基づき、日本政府が障害者に関連して講ずる施策の中核となる基本計画として、障害者基本計画を策定することとしている。
  2. 2020年4月時点で、すべての都道府県と指定都市、および全国の自治体の91.3%にあたる1,571の自治体で都道府県障害者計画が作成されている。
  3. 2020年4月時点で、すべての都道府県・指定都市、全国の自治体の40.2%にあたる691の自治体で、障害者基本法に基づく審議会や合議制の機関が設置されています。

                       課題リスト1項(d)への回答

  1. 日本政府は、法律及び政策の立案及び実施に障害者が効果的に参加することを確保する。具体的には、例えば、障害者政策委員会、社会保障審議会障害者部会、労働政策審議会  障害者雇用分科会等に障害者及び障害者団体のメンバーが参加し、障害者との協議・検討を踏まえて立法・政策の検討がなされている。

                       課題リスト1項(e)への回答

  1. 相談援助業務従事者事前研修、精神保健指定医事前・定期研修(5年毎)に、条約と人権に関する必要な情報を盛り込む。精神保健福祉士養成講座のカリキュラムにテキストを掲載するとともに、社会福祉士養成講座のカリキュラムに条約の学習が含まれることを明記した ガイドラインを策定する。
  2. 刑務官、検察官、弁護士、警察官、法執行官等の詳細については、パラグラフ12(b)に対する回答及び附属書1を参照のこと。

                       課題リスト第2項への回答

  1. 日本政府は、障害者権利条約選択議定書に規定されている個人通報手続は、同条約の実施 を効果的に担保し得るという意味で注目すべきものであると考えている。受入れについては、我が国の司法制度や立法政策との関係で問題が生じないか、また、仮に受入れた場合、どのような組織体制が考えられるか等、検討すべき課題があるものと認識している。日本政府としては、各方面からの意見も踏まえつつ、引き続き真剣に検討を行っている。
  2. 特定の権利(5条〜30条)

                   平等と非差別(第5条)

                       課題リスト第3項への回答

  1. 障害者差別解消法では、雇用の分野を除くあらゆる分野において、行政機関及び事業者が障害を理由として不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利又は利益を侵害してはならないと規定している(同法第7条第1項、同法第8条第1項)。
  2. また、この法律は、行政機関及び事業者に対し、障害者が行政又は事業に関連する機能を果たすために社会的障壁の除去の必要性を表明した場合には、必要かつ合理的な便宜を図らなければならないことを義務づけている。ただし、当該社会的障壁の除去が行政機関又は事業者に過大な負担を課するものでないことを条件とする。当該合理的配慮を行わない場合は、障害を理由とする人の権利又は利益の侵害とみなされる(同法第7条第2項、第8条第2項)。
  3. 2020年6月に障害者政策委員会が取りまとめた「障害者差別解消法の施行後3年における見直しに関する意見」において、事業者による合理的配慮の義務化については、関係各所へのヒアリングをさらに進め、事業者の関与を含むより 幅広い社会的努力として             障害者合理的配慮を推進しつつ、条約への適合性をより高める観点から検討する必要があるとされたこと。日本政府は、これらを踏まえて検討を続け、2021年3月に開催された第204回通常国会において、事業者に障害者への合理的配慮を義務付けるための同法の改正案を提出しました。この法案は衆参両院で全会一致で可決され、2021年5月に法制化されました。その後、同年6月4日に改正法が公布されました。

                       課題リスト4項への回答

  1. 差別により権利を侵害された者に対しては、訴訟・仮処分による禁止命令や不法行 為による損害賠償請求等の民事上の手続が用意されている。また、法務省の人権擁護機関が相談・調査を行い、関係機関の連携・協力の下、事案に応じ て適切な措置がとられている。
  2. 2018年には、暴力的虐待、社会福祉施設内での人権侵害、差別的取り扱い、強制などの事項を含む障害者の人権侵害に関する相談が2,857件寄せられ、人権侵害事例の調査・救済手続が合計345件確認されています。

                   障害のある女性(第6条)

                       課題リスト5項(a)に対する回答

  1. 障害者基本法では、障害者の自立と社会参加を支援するための施策は、障害者の性別その他の記述に応じ、連携した枠組みにより体系的に策定し、実施しなければならないとされている(同法第10条第1項)。さらに、2018年には第4次障害者基本計画が策定され、女性や子ども、高齢者などの障害者が抱える問題の背景にある複雑な事情を考慮した、横断的な視点によるきめ細かな支援策が打ち出されました。
  2. 2020年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画では、障がい者対策を含む幅広い分野での男女共同参画推進施策が規定されています。

                       論点整理5(b)に対する回答

  1. 教育分野では、2013年に学校教育法施行令が改正され、学校配置の枠組みが見直されたほか、文部科学省による財政措置や「特別支援教育補助者」等の専門職員への支援が行われている。また、文部科学省は、”特別支援教育における教職員の資質向上事業 “を実施している。日本政府は、障害のある児童生徒の自立を図り、社会参加を促進する観点から、児童生徒一人一人の教育的ニーズに的確に対応した学習機会を提供するため、通常学級、特別支援学級、特別支援学校等、多様な教育空間の整備に取り組んでいる。
  2. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律では、性別に関係なく、障害者が自立した生活を営み、社会参加するために必要な福祉サービスや相談支援事業について規定している。

                   障害のある子ども(第7条)

                       課題リスト6項(a)に対する回答

21.日本政府は、                障害のある子どもたちの幼児期における一貫した支援の重要性を強調するため、地方教育委員会が障害のある子どもたちの学校選択を決定するための文書「障害のある子どもの教育支援に関するガイドライン」を改訂しました。           また、2013年に学校教育法施行令を改正し、従来の学校選択の枠組みである、基準を満たした障がい児は特別支援学校への入学が原則であったものを廃止しました。この改正により、障害のある子どもの学校選択について、本人や保護者の意見をできる限り尊重し、地方教育委員会が総合的に検討・決定する新たな枠組みを構築しました。

  1. 児童発達支援センターは、地域社会における障害児支援の中心的な役割を担っている。児童発達支援センターでは、障害のある児童の最善の利益を図るため、児童発達支援を行うとともに、ガイドラインを作成し、専門的な支援に努めている。また、保育所等訪問支援制度を設け、乳児院や児童養護施設にも訪問を拡大し、福祉施設での療育指導を充実させています。

                       論点整理6(b)に対する回答

  1. 教育については、2013年に学校教育法施行令を改正し、基準を満たした障害児が特別支援学校に入学することを原則とした従来の学校選択の枠組みを廃止し、障害児や保護者の意見をできる限り尊重し、地方教育委員会が総合的に検討・決定する新しい枠組みを創設しました。新しい枠組みの下では、障害のある子どもたちの意見は、保護者を通じて表明されることが多い。日本政府は、障害のある子どもの意見表明の権利を保障するため、一定の場合には、子どもの障害や発達の状況に応じて、個別に意見を考慮することが望ましいと地方教育委員会に通達しました。
  2. 健康及び福祉については、児童福祉法第21条の5の6及び第24条の3に基づき、支 援金・サービスの利用等について、障害児及び障害児の保護者の意向を踏まえて判断してい るところであるが、健康及び福祉については、障害児及び障害児の保護者の意向を踏まえて、 支援金・サービスの利用の必要性を判断している。また、児童相談所運営指針において、援助に当っては、当該障害児に直接質問す ること等を定めている。さらに、2019年に導入された改正児童福祉法では、障害のある子どもたちが自らの意思で発言する機会を確保する方法について、さらなる検討の道筋が示されました。
  3. 家庭裁判所は、障害の有無にかかわらず、裁判手続に関与する児童の意思を、児童の陳述により確認することが義務づけられている。また、家庭裁判所は、審判又は和解に当たり、子の年齢又は発達の程度に応じて、子の意思を考慮するよう努めなければならない(家事事件手続法第65条、第25条参照)。(検察庁においては、犯罪の被害に遭った障害のある児童を含め、検察庁、警察、児 童相談所の担当者が緊密に連携し、児童の供述特性に配慮しつつ、繰り返し行われる取 調べの心理的負担を軽減し、供述の信用性を確保するための取調べを行うよう努め ているところであるが、このような取調べは、児童の心理的負担の軽減や供述の信用性の 確保に資するものと考えている。

                            意識改革(8条)

                       論点整理7項(a)に対する回答

  1. 「障害者週間」は、障害や障害者に対する国民の関心と理解を高め、障害者の社会参加の促進を図ることを目的として、毎年12月3日から9日まで実施されています。
  2. 教育に関して、GOJは、障害者に対する適切な理解を促進するため、以下を含む様々な措置を講じている。

           (a)学習指導要領を 改訂し、障害のある子どもと障害のない子どもが同じ教室で共に学ぶ「共同活動・共同学習」を推進すること。

           (b)       テキスト「バリアフリーマインドセット」等の教材の開発・出版

           (c)障害に関する問題の理解を促進するため、各自治体における優良事例を       収集・公開する。

           さらに、「インクルーシブ社会の基本理念推進事業」として、障害者福祉関係者及び事業主に対し、インクルーシブ社会の理念を再認識し、実践するための研修を実施している。これは、障がいによる差別を受けることなく、すべての住民の人格と個性が   相互に尊重されるインクルーシブな社会の実現を目指すものです。一般市民への普及・啓発を目的としたフォーラムを開催しています。

  1. また、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」第7条に基づき策定された「人 権教育及び人権啓発に関する基本計画」において、人権課題の一つとして障害者の人権 が取り上げられており、啓発活動の充実・強化が明確に打ち出されているところである。法務省の人権擁護機関では、「障害を理由とする偏見と差別の解消」を人権啓発活動の重点目標に掲げ、パンフレットの配布や人権啓発活動を実施しています。

                       論点整理7項(b)への回答

30.課題リスト   7(a)への回答で述べた一般市民への普及・啓発のためのフォーラムは、障害者団体の関与のもとで開催されている。

  1. 障害者週間の前後には、日本政府主催のものだけでなく、自治体や関係団体が連携した様々な取り組みが全国で行われます。

                   アクセシビリティ(第9条)

                       論点整理8項(a)に対する回答

  1. 政府は、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)に基づく交通や施設利用の利便性・安全性の向上、自治体が作成する基本構想案に基づく各地域に応じた優先的かつ総合的なバリアフリー対策の推進、聴覚障害者等のための電話の利用の円滑化に関する法律に基づく電話リレーサービスの運用に一層取り組んでいる。2020年制定、2018年制定「ユニバーサル社会の実現に向けた総合的かつ一体的な施策の推進に関する法律」に基づくユニバーサル社会の実現に向けた施策の策定・実施など。
  2. オンラインアクセシビリティを向上させるための一歩として、GOJは、高齢者居住者や障害者を含むすべての人が公共機関のウェブサイトを利用しやすくするために、公共機関が従うべきガイドライン(みんなの公共サイト運用ガイドライン)を制定しています。

                       論点整理8項(b)に対する回答

34.建築士法では、建築士にバリアフリー法の内容を含む定期的な講習の受講を義務付けています。

                            生命に対する権利(10条)

                       論点整理9項(a)に対する回答

35.現時点では、                自殺幇助罪、同意殺人罪を規定した刑法第202条を除き、臨終幇助に特化した法令がなく、また、そのような法案が日本政府や国会で検討されているわけでもない。

                       論点整理9項(b)への回答

  1. 日本政府は、非自発的入院または身体拘束中またはその後に発生した死亡者数を把握していない。
  2. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する同意なし入院制度は、患者が精神障害者であることのみを理由として適用されるものではない。精神障害のため、自傷他害のおそれがある場合( )、自傷他害のおそれがない場合であっても医療・保護を必要とし、入院の必要性について本人が適切に判断することができない場合などに適用される。実務的には、精神保健指定医が患者の診察を行い、入院措置が必要であることを書面で患者に通知することが義務付けられています。
  3. また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、身体拘束は、精神保健指定医が必要と認めた場合にのみ行うものと規定している。自殺又は自傷のおそれがある場合、著しい多動又は不穏の状態にある場合、放置することにより生命に危険が及ぶ場合等、代替手段が見出されるまでの間、やむを得ず使用しなければならない措置として規定されています。

                   危険な状況および人道的緊急事態(第11条)

                       課題リスト第10項(a)に対する回答

39.災害時には、                障害者等社会的に不利な立場にある人々への配慮が特に必要である。           このような状況を踏まえ、日本政府は、障害者が利用する施設の避難体制の充実を図るとともに、避難計画の作成や避難訓練の実施を義務付けている。また、避難経路のバリアフリー化も進んでいます。自治体では、要救助者支援ガイドラインを策定するなど、地域社会のニーズに応じた防災への取り組みを進めています。

           厚生労働省では、災害発生時の障害者支援として、救助・救援活動を行う自主的なリーダー の養成や、障害者対応に精通した災害対応リーダーの養成を行う事業を実施。 また、民間企業・団体による福祉支援ネットワーク構築事業への助成を行いました。

                       課題リスト第10項(b)に対する回答

41.日本政府は、                2018年3月に、駅や空港、ホテル等の施設において、災害の通知を効果的に伝え、障害者を屋外に避難させるため、関係者がディスプレイやスマートフォンアプリを活用した避難誘導の見える化に関するガイドラインを作成しました。           また、同ガイドラインをまとめたリーフレットを作成し、施設での避難訓練時に配布するなど、啓発に努めました。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の会場では、音響通信技術を活用し、聴覚障がい者向けの災害通知やアナウンスを文字化することで、避難の円滑化を図っています。

                       課題リスト第10項(c)に対する回答

  1. 地方公共団体は、障害者団体等の関係者からの意見を踏まえ、国が策定した指針に基 づき、避難所の確保・運営を行うとともに、障害者等配慮を要する者のための福祉避難 所の確保に努めることとしている。地方公共団体は、福祉避難所等の避難所について特別の配慮を行うことを推進し、日本 政府は、地方公共団体に対して財政的支援等を行うこととしている。

43.男女共同参画の視点    からの防災・復興ガイドライン~災害対応力強化のための女性の視点~(2020年5月)の作成にあたり、障害のある女性の代表           団体へのヒアリングを行い、女性のニーズに対する特別な配慮をガイドラインに盛り込んだ。

                       課題リスト第10項(d)への回答

  1. 仙台防災枠組では、障害者を含む関連ステークホルダーとのエンゲージメントを強化している。2019年の台風による被害を視察するためのチームが結成された。このチームは、障害者団体/障害者向け団体から寄せられたフィードバックを検討し、取り組むべき課題を特定した。今後も必要に応じて、防災政策の準備・実施に関して、障害者を含む関係者との意見交換に努めていきます。

                       課題リスト第10項(e)に対する回答

  1. 自然災害(台風、洪水等)により生活に大きな被害を受けた人に対し、都道府県が拠出する共済金を財源に、生活再建のための資金援助を行う制度がある。
  2. さらに、東日本大震災で発生した津波により住居を失った方々や、福島原発事故により帰宅困難者となった障がい者の方々への個別支援策も用意されています。これらの施策は、震災からの復興の一環として設立された復興庁を中心に行われています。

                   法の下の平等な承認(第12条)

                       論点整理11項(a)に対する回答

                       民法に基づく制度

           我が国の民法は、「私権の享有は、出生に始まる」(民法第3条第1項)と規定しており、 すべての者は、その権利を享有する能力を有するとされている。   この点については、障害者の権利について、障害を理由とする制限はない。

  1. 成年後見制度は、民法に基づき、成年被後見人の判断能力の程度に応じ、成年被後見人の意思を尊重し、司法機関による審査を確保するものである(成年後見制度の詳細については、別紙1参照)。日本政府は、成年被後見人の自己決定権が十分に尊重されるよう、成年後見人による成年被後見人の意思決定のための支援を促進するための取組を推進している。政府は、2022年3月に閣議決定された「成年後見制度の利用の促進に関する基本計画」に基づき、障害者及びその代表団体の関与のもと、成年後見制度の総合的な見直しを進めている。

                       論点整理11項(b)への回答

           障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づく相談支援に ついては、「基本相談支援」として、障害者、障害児の保護者及び障害者の介護者等から の相談の内容に応じて必要な情報・助言を行う体制を整備している。           また、成年後見制度の利用に伴う費用の助成事業(成年後見制度利用支援事業)、法人の活動を支援する事業(法人後見人成年後見制度支援事業)を実施しているほか、「成年後見制度利用支援事業」「法人後見制度利用支援事業」「法人後見制度利用支援事業」「法人後見制度利用支援事業」を実施しています。

  1. 2018年1月に全面施行された改正総合法律支援法により、日本司法支援センター(法テラス)は、高齢者や認知機能が不十分な障害者であっても、福祉機関等から連絡があれば、本人からの依頼を受けずに訪問弁護士や司法書士による法律相談を実施できるようになった。

         法務省の人権擁護機関では、すべての法務局、地方法務局及び支局において、障 害者に関する人権問題を含む人権問題についての相談に応じている。また、法務省の人権擁護機関では、支援施設に           臨時の人権相談所を設置している。また、法務省の人権擁護機関では、人権侵害が疑われる事案について調査 を行い、関係機関との連携・協力の下、事案の状況に応じて適切な措置を講じている。

                       論点整理11(c)項への回答

  1. 2017年3月に「障害福祉サービスの提供に係る意思決定支援ガイドライン」を作成・配布し、意思決定支援の意義を定義・概説し、標準的なプロセスや留意事項を取りまとめた。 2020年度からは、このガイドラインに基づく指導員の養成を日本政府が開始し、都道府県でも意思決定支援に基づく研修が実施されている。
  2. 地方自治体では、障害を理由とする不当な差別的取り扱いや合理的配慮の提供義務について、リーフレットの配布などの啓発活動を実施している。また、障害者週間を啓発の機会としている。
  3. 弁護士、裁判所職員、裁判官、検察官、及び警察官、刑務官、その他の法執行機関を対象とした啓発活動の詳細については、以下の問題リストのパラグラフ12(b)に対する回答及び附属書1を参照のこと。

                   司法へのアクセス(第13条)

                       論点整理12項(a)に対する回答

  1. GOJは、裁判所が「裁判所における障害を理由とする差別の撤廃の推進に関する指針」を概説し ている ことも理解している。これは、各種裁判手続において、障害のある当事者や証人が適切な意思疎通の手段 を用いることにより、円滑な権利行使を行うための指針を示したものである。手話通訳者の配置やノートテイクによる進行、補聴器の支給、点字による裁判資料の作成など、本人の障害の内容や程度に応じて、裁判官の裁量で決定されます。また、裁判官に対し、本人への尋問や裁判の説明の際には、本人の障害の程度や裁判の進め方に配慮するよう求めている。
  2. 日本政府は、障害のある子どもへの質問において、裁判官がその裁量で、子どもの発達段階に応じて質問の内容や質問の仕方を調整することができると理解している。
  3. 民事事件または非訟事件の当事者が、聴覚もしくは言語の障害、または知能の不足により、裁判手続きを十分に行うことができない場合、当該当事者は、裁判所の許可を得て、補助人を伴って裁判所に出頭することができる(民事訴訟法第60条、非訟事件手続法第25条)。

58.民事          事件の口頭弁論に参加する者、または非訟事件の審理期日に(当事者として、または証人として、その他の形で)聞き取りや会話ができない場合、本人に代わって通訳を立ち会わせ、または書面によって陳述書を記載する手続きをとることができる(民事訴訟法第154条第1項、非訟事件手続法第48条)。

  1. 刑事訴訟法および刑事訴訟規則では、以下のように規定されています。

           (イ)  被告人又は被疑者は、障害の有無にかかわらず、弁護                 人を選任することができる(刑事訴訟法第30条第1項)。勾留状が発付されている被告人又は被疑者が、困窮その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任を請求することができる(同法第36条、第37条の2)。また、裁判所は、被告人が聞き取り又は話すことができないとき(同法37条3号)、被告人が心神喪失又は心神耗弱のおそれがあるとき(同法37条4号)、その他必要があると認めるとき(同法37条5号)、職権で公選弁護人を選任することができる。また、裁判所は、勾留状が発付されている被疑者について、弁護人がなく、かつ、被疑者が精神上の障害その他の事由により弁護人の選任の要否を判断することが困難であると認められるときは、職権で弁護人を選任することができる(同法37条の4項)。

           (b)    裁判所は、聞き取りまたは話すことができない者に陳述をさせる場合には、通訳人に当該陳述を通訳させることができる(刑事訴訟法第176条)。

           (c)    証人が聞くことができないときは、文書により質問し、証人が話すことができないときは、文書により回答することができる(刑事訴訟規則第125条)。

60.次に、      捜査当局は、障害のある被疑者・証人の取調べを行う場合、障害の特性を考慮した適切な取調べ手順を用いることの重要性を認識しなければならない。    その際、知的障害者の証言の特性を考慮し、わかりやすく質問することなどが挙げられる。また、必要に応じて、証言の形態に詳しい心理・福祉関係者に相談する、あるいは同席してもらうなどの配慮も必要である。また、聴覚や言語に障がいのある方への手話通訳や筆談、必要であれば自宅や病院を訪問しての聞き取り調査などにも配慮しています。

                       論点整理12項(b)への回答

  1. 弁護士、裁判所職員、裁判官、検察官、警察官、刑務官等を対象に、障害者の権利、 理解、配慮等に関する研修を実施し、意識啓発を行っている。(詳細は附属書1参照)

                       論点整理12項(c)に対する回答

           検察・警察における障害者処遇、裁判所・裁判における障害者対策については、 上記パラグラフ12(a)のとおり、      司法手続へのアクセスが確保されている。

                            人の自由と安全(第14条)

                       論点整理13項(a)に対する回答

  1. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する同意なし入院制度に関する論点整理第9項(b)に対する回答を参照願います。 (行動制限については、別添1の69項参照)。

心神喪失の状態で重大な事件を起こした者の医療及び治療に関する法律(以下「医療観察法」)においても、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律と同様の枠組みが規定されている。具体的には、医療観察法第92条において、当該患者の看護及び保護を確保するために必要な限度において、必要な制限を加えることが規定されている。指定医療機関の管理者は、同法第93条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める基準を遵守しなければならない。この基準は、管理者に対し、入院患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に十分配慮しつつ、適切な精神科医療を提供し、社会復帰に資することを求めている。また、治療のために入院患者の自由を制限する必要がある場合においても、その制限について入院患者に十分な説明を行うとともに、その制限は入院患者の示す症状から必要最小限の制限にとどめるよう努めなければならない。

  1. 殺人、放火等の重大な犯罪を犯したと認められる精神障害者については、当該者が犯行時に心神喪失又は心神耗弱の状態にあったと認められる場合に、医療観察法の定めるところにより入院等の治療が適用される。公訴を提起しない処分や無罪判決等の確定判決を受けた者は、犯罪行為時に診断された精神障害の状態を改善し、社会復帰を促進するため、必要と認められる場合には、同法に定める医療を受ける必要がある。なお、治療については、精神障害者であることのみを理由としては適用されない。処遇の必要性及び内容については、裁判官及び精神保健指定医で構成される合議体が、対象者の鑑定を行い、弁護士及び精神保健福祉専門家の関与の下に、対象者に弁明の機会を与えて審理した上で、決定するものとする。(同法第2条、第33条、第42条)。

                       論点整理13項(b)に対する回答

  1. 精神障害者の入院者数は増加しておらず、1年を超える長期入院者数も増加していない(別添4統計表参照)。

                   拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由(第15条)。

                       論点整理14項(a)に対する回答

  1. 行動制限については、付属書1をご参照ください。
  2. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第38条の4は、精神病院に入院している者又はその家族は、都道府県知事に対し、患者の退院を求め、又は精神病院の管理者に対し、患者の退院若しくは処遇改善のために必要な措置を命ずることができると定めている。
  3. また、「精神障害者に対する良質かつ適切な医療の確保に関する指針」(平成26年厚生労働省通達第65号)において、精神障害者の保健、医療及び福祉に関わるすべての関係者は、インフォームドコンセント等の原則に基づく精神障害者の治療等の目的の達成に努めるものとされている。
  4. 同様に、医療観察法第92条では、入院患者の治療又は保護に必要な範囲内で、入院患者の行動に必要な制限を加えることができるとしている。

また、医療観察法第95条に基づき、同法に基づく決定により指定入院医療機関に入院した者又はその保護者は、厚生労働大臣に対し、指定入院医療機関の管理者に対し、入院患者の処遇を改善するために必要な措置をとるよう命ずることができることとなっています。

70.また、      電気けいれん療法は、速やかな治療効果を必要とする場合、副作用が生じ薬物療法に反応しない場合等において、改善率や安全性が確立している場合に有効であるとされている。          原則として、患者の同意を得た上で、治療対象となる疾患、考えられるリスクとベネフィット、人権の保護などを十分に考慮し、総合的に判断して実施される。

                       論点整理14項(b)に対する回答

  1. 都道府県には、精神保健指定医と法律の学識経験者からなる独立した第三者機関である精神医療審査会が設置されている。
  2. 精神病院の管理者は、非自発的入院患者の症状その他の状況について、定期的に都道府県知事に報告しなければならない。また、入院患者やその家族は、都道府県知事に対し、治療の改善や退院を求めることができる。

これらの報告や要望は、精神医療審査会で審査され、入院の要否や治療の適否が判断される。都道府県知事は、審査の結果、入院の必要がないと判断された者について退院させ、または病院の管理者に退院等の措置をとるよう命ずるものとする。

  1. また、厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神病院の管理者に対し、入院患者に関する報告若しくは文書の提出を求め、又は病院に対する立入調査を行い、入院患者の処遇が法令に反し、又は著しく不適当であると認めるときは、当該精神病院の管理者に対し、処遇の改善を命ずることができるものとされています。

                       論点整理15項への回答

  1. 2018年3月以降、現在は廃止されている優生保護法に基づく不妊手術に対して、以下のような 対策がとられています。

–  都道府県、保健所設置市町村、特別区を対象に関連資料の保管状況調査を実施(同年9月に結果を公表)。

–  医療機関、福祉施設、保健所以外の自治体を対象に、優生手術に関する個人記録の保管状況を調査(結果は同年10月に発表)。

75.優生保護法に基づく優生手術を 受けた者に対する一括補償に関する法律(以下、「優生保護法一括補償法」という)は、その前文において反省とお詫びを表明し、政府が一人当たり320万円の一時金を支払うと定めている。     優生保護法に基づき優生手術を受けた者に対し、1人当たり200万円を支給することとし、2022年4月30日現在、994人への支給を認めている。

76.また、      すべての国民が相互に人格と個性を尊重し、病気や障害によって分け隔てられることのない社会の実現を図る観点から、優生手術に関する調査等を実施することを定めています。

  1. 2020年4月1日時点で20年を経過していれば、原則として、現在は廃止されている優生保護法の被害者による請求権は失効することになります。ただし、現在廃止されている優生保護法の被害者の賠償請求権が失効したかどうかは、個別の事案ごとに裁判所が判断することになります。

                   搾取、暴力、虐待からの自由(第16条)

                       論点整理16項(a)に対する回答

  1. 障害者虐待の防止及び養護者に対する支援等に関する法律第3条では、障害者 虐待の禁止を定めており、この法律は、障害者虐待の防止及び養護者に対する支援等 に関する法律である。 その中で、支援事業を実施し、虐待が発生した場合に都道府県又は市町村が迅速か つ適切に対応できるような体制を整備している。
  2. 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、児童虐待の防止等に関する 法律、児童福祉法、民法、刑法において、障害者を含む虐待及び暴力の禁止並びに被害 者の救済について規定されている。
  3. 労働基準監督署は、労働者からの相談など各種情報に基づき、労働基準関係法令に違反する疑いのある事業場を監視・指導し、違反があれば是正を指導しています。

                       論点整理16項(b)への回答

  1. 上記課題リストのパラグラフ16(a)に対する回答は、女児や障害のある児童にも適用されるため、こちらをご参照ください。

                            個人の完全性の保護(17条)

                       論点整理17項への回答

  1. 現在は廃止されている優生保護法については、障害者の権利を実現し、障害者を差別する優生思想を排除するため、1996年に国会議員の発議により改正が行われた。具体的には、遺伝性精神疾患を理由とする優生手術(不妊手術)に関する規定をすべて削除し、母性の生命と健康を守ることを目的に「母性健康法」と改称された。

同年、地方公共団体に対し、改正法の趣旨を周知した。詳しくは、課題リスト15項への回答をご参照ください。

                   移動の自由と国籍の自由(第18条)

                       論点整理18項への回答

  1. 精神上の障害により、善悪の区別がつかないことが常態である者又はその理解力が著しく欠如している者で、指定された補助者を伴わない場合(入管法施行規則第4条)、上陸を拒否されます(入管法第5条第1項第2号)。 この判断は、精神障害の有無ではなく、精神障害に伴う社会への影響に基づくものです。知的障害または精神障害のみを理由として、土地の利用を拒否されることはない。
  2. また、出入国管理及び難民認定法第5条第1項第2号に               該当するか否かの判断は、医学的判断を要し、慎重を期する必要があることを踏まえ、医学的診断(同法第9条第2項)を経て行われている。

                   自立した生活と地域社会への参加(Art.19)

                       論点整理19項(a)への回答

  1. 2018年10月1日時点の障がい者総数は964万7千人、うち在宅は914万人、施設は50万7千人と推計されています。
  2. 障害者福祉事業実施報告書の結果による。 2020年に実施した「地域生活への移行に関するアンケート」では、2019年度に障害者支援施設を退所した約1,600人が地域生活に移行している。このうち、主な移行先を居住地別に考えると、グループホームに入居していたのは約700人、家族と一緒に入居していたのは約900人となっています。また、地域生活移行者の主な日中活動は、生活介護サービス(約500人)、就労継続支援B型(約300人)、一般就労(約200人)である。
  3. 2019年の調査結果に基づき、2019年10月1日現在の障害者支援施設及び障害児入所施設の入所者数を年齢別に別表1の統計表1及び表2に示す。 2019年の調査結果に基づき、2018年10月1日から2019年9月30日までに障害者支援施設を退所した者の退所後の居住地は、別表1の表3のとおりである。
  4. 精神科入院患者の性別、年齢層、都道府県別の状況は、資料3を参照されたい。

                       論点整理19項(b)への回答

           障害者福祉サービスの提供は、「障害者の日常生活及び社会生活の総合的な支援 に関する法律」第88条及び第89条に基づき、都道府県及び市町村が策定する障害者福祉 計画により確保される。           これらの計画は、日本政府が定めた基本指針(障害福祉サービス及び障害児通所支援の円滑な実施を確保するための基本的な指針)に沿って策定されている。基本指針では、障害者の自立支援の観点から、福祉施設からの移行や地域生活継続のための支援提供など、地域の社会資源を十分に活用した支援提供体制の整備を推進しています。

90.法に定められた地域生活支援(グループホーム)、自立生活支援、地域移行支援、地域定着支援を通じて、   さまざまな支援サービスが提供される。

  1. 精神障害者の医療機関からの退院について、さらなる地域移行を促進する観点から、2017年より、政府は “精神障害者地域包括ケアシステム “を推進しています。この制度では、精神障害者の治療、福祉・介護、住居、社会参加(就労)、共助、教育が全面的に保障されています。

                   パーソナルモビリティ(第20条)

                       課題リスト第20項に対する回答

92.障害者の  日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、日本 政府は様々な事業を実施している。詳細については、附属書1を参照。

  1. 社会福祉用具の研究、開発及び普及の促進に関する法律第7条に基づき、福祉用具の開発を行う企業に対して助成を行い、研究、開発及び普及に必要な情報を収集、分析し、提供していること。

                   表現と意見の自由、情報へのアクセス(21条)

                       論点整理21項(a)に対する回答

  1. 障害者基本法では、すべての障害者に対し、可能な限り、言語(手話を含む) その他のコミュニケーション手段に関する選択の機会を確保し、情報へのアクセス又は利用の 方法に関する選択の幅を広げることが求められている(障害者基本法第 3 条)。
  2. また、2018年に施行された「すべての人が参加する社会の実現のための施策を総合的かつ一体的に推進するための措置に関する法律」では、政府及び地方公共団体は、インクルーシブ社会の実現のための施策を策定・実施するに当たり、障害者や高齢者等が言語(手話を含む)その他のコミュニケーション手段を確保し、情報を利用できるよう特に留意することとされている(すべての人が参加する社会の実現のための施策に関する法律8条)。

                       論点整理21(b)項への回答

  1. 首相官邸ホームページでは、「首相官邸ウェブアクセシビリティ方針」を定め、緊急情報の発信を含む主要コンテンツについて、日本工業規格JIS X 8341-3:2016 “高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部-ウェブコンテンツ “にレベルAAを維持することを目指して運用されています。ウェブサイトでは、文字や画像に加え、一部動画コンテンツも掲載し、手話通訳付きの官房長官記者会見の動画など、政府の情報発信の役割を果たすことを目的としています。
  2. 厚生労働省は、 “音声合成・文字拡大サービス “を開始し、”デジタル点字ファイル “を提供しています。
  3. 従来は印刷物で提出する必要があった選挙公報を電子データで提出できるようにし、音声合成ソフトに対応したフォーマットで公開できるようにした。また、参議院議員選挙の政見放送やスタジオ収録において、手話通訳や字幕を提供できるようになりました。2019年4月の統一地方選挙では、点字版と音声版による詳細な選挙情報を提供し、視覚障がい者の投票環境の整備を図りました。

                       論点整理21(c)項への回答

  1. GOJは、字幕・解説・手話の制作費を補助することで、放送局の取り組みを促進している。 2019年度は、字幕番組47,302本、解説番組3,984本、手話番組1,547本を制作した放送局122社に補助金を交付している。

                       論点整理21(d)項への回答

  1. 2004年、国内外の既存のガイドラインを参考に、日本語特有の事項を考慮し、国内規格JIS X8341-3(高齢者・障害者向けガイドライン;情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス;第3部:ウェブコンテンツ)が策定された。 その後、2016年3月に、W3C勧告 “WCAG 2.0” に基づく国際規格 ISO/IEC 40500: 2012 に準拠するよう、対応するJISが改訂されました。
  2. 日本政府は、これらの基準への準拠を促進するため、公共機関のウェブサイトが高齢者や障害者を含む誰もがスムーズに利用できるようにするためのガイドライン(「みんなの公共サイト運用ガイドライン」)を策定し、公共機関のウェブアクセシビリティ向上への取り組みを支援している。

                   プライバシーの尊重(22条)

                       論点整理22項への回答

  1. 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)については、マイナンバー及びマイナンバーに係る個人情報の安全かつ障害者を含む適切な取扱いを確保するため、行政手続における 特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)が制定された。また、「個人情報の保護に関する法律」では、障がい者を含む個人情報の適正な取り扱いを求めています。

                   家庭と家族の尊重(第23条)

                       論点整理23項(a)に対する回答

  1. 民法770条1項4号は、夫婦の一方が回復の見込みのない重い精神病にかかり、その者が夫婦間の協力義務を果たせない場合、他方配偶者の意思に反して婚姻を継続することは相当でないとの考えに基づくものである。
  2. ただし、第770条第2項は、第770条第1項に該当する事由があっても、一切の事情を考慮して婚姻を継続することが相当であると認められるときは、離婚の申立てを棄却することができると定めています。
  3. したがって、当該規定は婚姻当事者双方の利益を考慮したものであり、障害者を差別するものであると主張することは全く不当である。

106.いずれにしても、      民法等の規定は、社会情勢の変化を踏まえて、必要に応じて見直す必要があると日本政府は考えています。

                       論点整理23項(b)への回答

  1. 日本政府は、障害者、障害児の保護者又は障害者を介護する者からの相談に応じ、必要 な情報の提供及び助言を行っている。児童相談所においては、相談・援助活動を行う際には、常に児童の最善の利益を考 慮しなければならず、相談への対応や通報を受けた際には、児童及びその家族の状況に配慮し た援助を行うこととしている。
  2. その他、特別児童扶養手当法に基づき、日本政府は特別児童扶養手当と障害児福祉手当を支給しています。

                   教育(第24条)

                       論点整理24項(a)に対する回答

  1. 個人の教育的ニーズに最も適切に対応するため、日本政府は、 多様な学習の場(例:通常の学級、通常の学校のリソースルームにおける特別支援サービス、主に週1~2時間 通常学校の特別支援学級、特別支援学校)を提供し、各カリキュラム間の継続性を確保する。また、障害のある子どもとない子どもが同じ教室で学ぶ「共同活動・共同学習」( )の推進を目指し、学習指導要領の改訂を行うなど、様々な施策を実施している。さらに、障害のある児童の通常学級への在籍を支援し、障害のある児童が学習の場として通常学級を 選択する権利を保障するため、以下のような立法上、政治上、財政上の措置を行っている。
  2. 立法措置に関して、日本政府は以下を含む様々な措置を講じている。

           (a)基準を満たした 障害児は原則として特別支援学校に入学させるという従来の学校選択の枠組みを廃止し、子どもや保護者の意見をできるだけ尊重するよう、地方教育委員会に新たな枠組みを設けること。

           (b)学習指導要領の改訂により、          特別支援学校と幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教育課程との連続性を重視すること。

           (c)       特別支援教育補助員や医療的ケアを行う看護師などの専門スタッフの配置を促進するための学校教育法施行規則の改正。

           (d)       普通科高校のリソースルームに特別支援サービスを設置する。

           (e)       アクセシビリティ基準に適合しなければならない建築物に、公立の小中学校施設を追加すること。

           (f)       医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍する学校を支援するために必要な措置を国及び地方公共団体がとることを義務付けること。

  1. 政治的措置に関しては、GOJは以下のような様々な措置を講じている。

           (a)       各自治体における共同活動・学習の好事例を示した「共同活動・学習ガイドライン」の改訂。

           (b)       学校の授業で使える「バリアフリーマインドセット」テキストの作成・発行。

           (c)       教員を目指すすべての学生が特別支援教育について学ぶ機会を得られるよう、高等教育における教職課程を改革すること。

           (d)       教員に様々な研修の機会を提供すること。

  1. 財政的措置に関して、日本政府は、特別支援教育に携わる教員や専門スタッフの数を増やすために、以下を含む様々な措置を講じている。

           (a)       特別支援教育アシスタントや医療的ケアを           行う看護師などの専門スタッフへの助成を拡大する。

           (b)       各都道府県の普通学校のリソースルームで特別支援業務を行う小中学校の教員の標準化・増員。

           (c)       普通校のリソースルームで特別支援サービスを行う高校教師のための資金を拡大する。

                       論点整理24項(b)への回答

  1. 個人支援に関しては、GOJは以下のような様々な施策を講じている。

           (a)       学習指導要領を改訂し、普通学校のリソースルームで特別支援サービスを受けている子どもたちの「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の作成を各学校に義務づける。

           (b)       通常学級で障害のある児童に様々な支援を行う特別支援教育補助員などの専門職員の配置を促進する。

           (c)       障害児のための入出力補助装置、障害児のための情報通信技術の利用に関する調査・研究への財政支援

           (d)2021年に           「障害児教育支援ガイドライン」を改訂し、障害の種類に応じた適切な教育方法を地方教育委員会や学校に周知する。

  1. 合理的配慮に関して、日本政府は、以下のような様々な措置を講じている。

           (a)       2021年の障害者差別解消法の改正により、私立学校にも合理的配慮の義務を拡大すること。

           (b)       国立特別支援教育総合研究所のホームページで、合理的配慮の事例や優良事例を提供すること。

           (c)       学校関係者を対象とした合理的配慮を促進するためのセミナーの開催。

  1. トレーニングに関して、GOJは以下のような様々な措置を講じている。

           (a)       国立特別支援教育総合研究所、日本学生支援機構、各都道府県が提供する研修の機会を提供すること。

           (b)       教員を目指すすべての学生が特別支援教育について学ぶ機会を得られるよう、高等教育における教職課程を改革する。

                       論点整理24項(c)に対する回答

  1. 該当するデータはありません。

                   健康(第25条)

                       論点整理25(a)項への回答

  1. 精神障害者の保健・医療・福祉に取り組むすべての関係者が目指すべき方向として、2014年3月、厚生労働省は「精神障害者に対する良質かつ適切な医療の確保に関する指針」(平成26年厚労省通達第65号)を策定した。指針では、入院精神医療から地域生活を支える精神医療への転換を図るため、地域生活を支えるために必要な保健医療サービス及び福祉サービスの提供を確保するための体制を整備することとしている。
  2. また、難病患者の治療・生活環境の改善を図るため、難病相談・支援センター、すなわち難病患者の相談・支援を行う施設の設置が進められている。2021年1月現在、各都道府県・指定都市に1か所程度設置されています。

                       論点整理25(b)項への回答

  1. 我が国では、障害者を含む必要な医療サービスは健康保険制度でカバーされている。また、身体的・精神的障害の状態を緩和し、自立した生活又は社会生活を営むために 必要な医療費を一定の所得区分に応じて支給することにより、           障害者の医療費負担を軽減するための措置(自立支援医療費)がとられている。
  2. また、身体障害者福祉法第15条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者及び都道府県知事又は指定都市の長が交付する療育手帳の交付を受けている者は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律第4条に規定する障害者・障害児に含まれる。支援の必要度に応じて、同法第6条に規定する自立支援給付の支給を受けることができる。
  3. また、難病対策推進の一環として、2019年7月までに医療費助成の対象疾病を56から333に拡大しました。

                       論点整理25(c)項への回答

  1. 学校教育における性に関する指導については、障害児、知的・精神障害児を含む各学校において、学習指導要領に基づき、個々の生徒の発達段階、障害、経験等に応じた適切な指導を実施している。
  2. 障がい者を含め、以下のような対策がとられている。

–  性と健康サポートセンターを通じて、思春期から更年期までの女性のためのカウンセリングとサポートを提供すること。

–  医師、助産師、保健師などの専門家による学校での健康教育・講演会の推進

                   ハビリテーションとリハビリテーション(第26条)

                       論点整理26項への回答

  1. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第76条に基づき、補装具(障害者の身体機能を補完又は代替し、長期間継続して使用する補助具)の購入に必要な経費を支給している。また、第77条第6号により、日常生活を容易にするための日常生活用具を日常生活用具給付事業により給付している。
  2. 補装具の支払制度における最新の支払状況(2018年度)は以下のとおりです。

           購入したもの162,396件の応募、160,087件の受賞(98.6)

           修理:114,045件、113,499件(99.5%)

           借入金応募8件、受賞8件 (100.0%)

  1. 公共職業安定所では、2019年度に103,163件の支援を行い、就職を実現しました。このうち、身体障害者は25,484人(全体の24.7%)、知的障害者は21,899人(21.2%)、精神障害者は49,612人(48.1%)、その他の障害者は6,168人(6.0%)であった。
  2. 同年の地域障害者 職業センターの利用者は30,925人で、内訳は身体障害者1,185人(3.8%)、知的障害者7,783人(25.2%)、そして精神障害者11,686人(37.8%)となっている。
  3. 2019年に障害者 就業・生活支援センターで       支援を受けた人は197,631人で、内訳は身体障害者22,615人(11.4%)、知的障害者91,911人(46.5%)、精神障害者73,250人(37.0%)、その他の障害者9,775人(4.9%)となっています。性別、年齢別の内訳は不明。

                   仕事と雇用(第27条)

                       論点整理27項(a)への回答

  1. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、求職支援事業、就労継続支援事業、就労継続支援事業が実施されてきた。雇用関係の障害福祉サービスから一般就労に移行する障害者は、11.5倍(2003年度1,288人→2017年度14,845人)に増加している。
  2. また、知的障害者、精神障害者等の障害者がその有する能力及び希望に応じ て一般職業に就くことを容易にするための法律に基づき、公共職業安定所において障害者 の特性に応じたきめ細かい職業紹介、障害者職業センターにおいて           職業評価及び職業準備 訓練、障害者就業・生活支援センターにおいて総合相談及び職業・生活支援を行っている。

                       論点整理27項(b)への回答

  1. 雇用分野における障害者差別の禁止と合理的配慮の提供義務については、2013年の障害者雇用促進法の改正で既に対応済み。
  2. 2018年5月、一部の国の機関や地方公共団体において、法令で定められた雇用率を満たしていないことが判明したため、日本政府は実態と原因を検証し、「公務分野における障害者雇用に関する基本方針」を採択しました。その結果、公務における障がい者雇用率が向上しました(2019年6月1日現在)。
  3. また、地方公共団体における障害者の募集・採用において、合理的配慮により職務を遂行できる者の募集・採用を制限することは、障害者雇用円滑化法の趣旨に反すると考えられます。このような観点から、2018年12月28日、総務省は           、厚生労働省と連携し、地方公共団体に対して、公正な募集・採用選考を実施するよう要請しました。
  4. また、総務省は 2019年9月、自治体の障害者雇用の取り組み状況に関する調査結果を自治体に提供する一方、合理的配慮指針で求められている「問い合わせへの対応や適切な措置に必要な体制の整備」など雇用行政に必要な措置を速やかに行うよう勧告しています。
  5. また、2019年度からは、雇用する障害者の障害特性を考慮し、円滑な業務遂行に必要な施設・設備の設置・維持に要する費用として地方交付税交付金が支給されます。

                       論点整理27項(c)への回答

  1. 厚生労働省は、事業主向けに「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」を策定した。           厚生労働省は、合理的配慮に関する事例集を障害の種類別に作成し、事業主と共有した。

                   十分な生活水準と社会的保護(第28条)

                       論点整理28項(a)への回答

  1. 公営住宅法、地方住宅供給公社法、その他の法律により、公営住宅入居者の募集、資格、選考に関する公正な手続きや要件が定められています。
  2. また、民間賃貸住宅の分野では、過去20年間に増加した空き家を活用した「住宅セーフティネット制度」が新たに創設されました。この制度には、障がい者など住宅を必要とする人の利用を拒まない賃貸住宅登録制度があります。この制度は、住宅リフォームの支援、入居者の負担軽減、住宅支援協議会等が行う             住宅支援活動への支援など、民間賃貸住宅の円滑な賃貸化を図ることを目的としています。
  3. このほか、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律では、共同住宅の建設に際しては、建築物移動等円滑化基準に適合するよう必要な措置を講ずるよう努めることが規定されている。

                       論点整理28項(b)への回答

140.生活保護法による      保護は、障害者を含むすべての国民に対して、非差別的かつ平等に提供される。生活扶助の一環として、障害のある生活保護受給者には、障害者手当が追加で支給される。

           また、障害年金は、国民年金法第1条及び厚生年金保険法第1条により、本人の日常生活及び労働能力の著しい制限等に着目し、現役時代に障害が生じた場合の稼得能力の喪失に対する所得保障を目的とするものであり、障害年金の受給権者が働いて収入を得る場合であっても、原則として障害年金の支給を停止又は減額されることはない。  障害年金受給者が働いて収入を得ている場合でも、原則として障害年金の支給停止や減額は行われません。

  1. また、2019年10月1日より、「障害年金受給者支援給付金」が創設されました。これは、所得が一定基準以下の障害基礎年金受給者に支給される、日常生活を支えるための給付金です。この手当は、障がいのある方が申請しやすいように、申請者の氏名のみで申請できるようにしたり、代理申請の利用を認めるなど、手続きの簡素化が図られています。

143.また、政府は、          特別児童扶養手当法に基づき、世帯員のうち20歳以上の重度障害 者及び日常生活において特別な配慮を必要とする者に対し、月額で手当を支給している。         また、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、 一定の所得区分に応じ、身体的及び精神的障害の状態を軽減し、自立した日常生活及び社会 生活を営むために必要な医療費(自立支援医療費)を支給し、障害者の医療費負担を軽減する措置を講 じてきたところである。

                       論点整理28(c)項への回答

144.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律で定められた地域生活支援(グループホーム)、自立生活支援、地域移行支援、地域定着支援など、                 さまざまな支援サービスが提供される。

  1. 精神障害者の施設退所後の社会保障については、精神疾患の継続的治療(精神通院医療)を自立支援医療として位置づけ、医療費の一部または全部を公費で負担し、障害者の治療・リハビリテーションの充実を図っている。
  2. また、精神障害者が退院して地域で生活する際には、精神科外来、デイケア、訪問介護などの医療サービスを受けることができる。また、障害者の地域生活をさらに支援するため、日本政府は、アウトリーチ支援や精神科救急医療体制の整備に取り組んでいる。
  3. さらに、障害者の治療、福祉・介護、住居、社会参加(就労)、地域共助、教育を総合的に保護する「精神障害者地域包括ケアシステム」の構築を推進するため、ピアサポーターの養成や地方自治体によるアウトリーチ支援などを推進しています。

                   政治的および公的な生活への参加(第29条)

                       論点整理29項への回答

  1. 公職選挙法第9条及び第10条において、選挙権及び被選挙権は、性別及び障がいの有無による区別なく保障されています。

149.            障害者の投票権の行使及びその機会の確保に関する措置については、報告書 第187パラグラフで述べたとおり、各種の投票制度が設けられている(これらの制度の 運用のためにとられた措置の詳細については、附属書1参照)。

  1. また、各自治体では、国政選挙に要する費用として国から交付される財政措置により、投票所への車椅子や投票台の設置、投票所までの通路の段差解消を推進しています。
  2. 選挙関連情報の提供については、日本が提出した第1回報告書のパラグラフ187で述べたとおり、国政選挙及び都道府県知事選挙において政見放送が可能である。2018年の法改正により、候補者の選択に基づき、政見放送が認められるすべての選挙について、少なくとも手話通訳又は字幕のいずれかを提供することができるようになった。
  3. 国政選挙では、すべての都道府県が選挙公報の全文を点字版と音声版で作成し、配布しています。また、候補者には音声読み上げソフトに対応したテキストデータの提出を求め、提出されたテキストデータは各都道府県の選挙管理委員会のホームページに掲載されている。
  4. また、参議院では、障がいのある議員に対して、介護者の同伴を認め、介護者が議員本人に代わって投票できるようにするなど、表現権、投票権に配慮した措置をとっている。現行制度では、重度の障がいを持つ人は、通勤や就労中に福祉サービスの給付を受けることができません。しかし、参議院では国会議員としての活動中の経費を一時的に負担することになっています。

                   文化的生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加(第30条)

                       論点整理第30項(a)に対する回答

  1. 学校に通う障がい児を含む障がい者のスポーツ参加・観戦のバリアに関する調査を実施し、障がい者が身近な場所でスポーツに参加できる環境を整備するプロジェクトを実施しています。
  2. 特別支援学校における体育・スポーツクラブ活動の強化、特別支援学校を拠点とした地域障がい者スポーツクラブの設立を支援しています。
  3. 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとなった国立競技場は、「世界最高のユニバーサルデザイン」を基本理念の一つとして開発されました。スタジアムのさまざまな利用者のニーズを把握するため、高齢者や障害者団体などが参加するユニバーサルデザインワークショップが開催されました。関係者の声に耳を傾け、障がいや年齢、性別、国籍を問わず、さまざまな利用者に配慮することで、 多くの人が快適に競技を観戦できる環境を実現しました。詳細は別紙1にて。
  4. 文化面では、2018年6月に施行された「障害者の文化芸術活動に関する法律」に基づき、2019年3月に「障害者の文化芸術活動の振興に関する基本計画」が策定されました。これに関連して、GOJは、障害者の文化芸術活動の充実を支援することを目的とした様々な取り組みを実施しています。
  5. 日本の国立博物館・美術館では、障害者手帳をお持ちの方は無料で入場でき、全国の劇場、博物館、美術館では、車いす対応トイレやエレベーターの設置など、バリアフリーの環境づくりに取り組んでいます。

159.アクセシビリティ法である “高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 “について、上記課題リスト第8項(a)の回答を            参照。

                       争点リスト第30項(b)に対する回答

  1. 盲人、視覚障害者又はその他の活字障害者の出版物へのアクセスを容易にするマラケシュ条約が2019年1月1日に日本国内で発効しました。国内では、マラケシュ条約に加盟するために必要な措置を盛り込んだ「著作権法の一部を改正する法律」が2018年5月25日に公布されました。マラケシュ条約に係る改正は、同条約と同様に2019年1月1日に発効されました。
  2. 改正法では、複製、譲渡、自動公衆送信などの著作権制限の対象となる行為に、新たに電子メール送信を追加した。これにより、例えば、本を持つことができない身体障がい者や、様々な障がいにより本を読むことが困難な人のために作成・提供された転写データを、権利者の許諾を得ることなく電子メールで送信することが可能となった。
  3. 2019年6月に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書アクセシビリティ法」)第13条では、マラケシュ条約の枠組みを踏まえ、政府は、相談体制の整備のための努力、視覚障害者等が利用しやすく、外国からインターネットを通じて十分にかつ円滑に送信できる電子図書等の取得を含む環境整備のために必要な措置が規定されている。 同法に基づき、2020年7月に「視覚障害者の読書環境の整備を一層推進するための基本計画」が策定されました。政府は、障害の有無にかかわらず、すべての国民が読書を通じて文字・活字文化の恵みを等しく享受できる社会を実現するため、視覚障害者の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進する。
  4. 特定の義務(第31条~第33条)

                   統計とデータ収集(第31条)

                       論点整理31項への回答

  1. 2018年度から始まった「第3次公的統計の整備に関する基本計画」において、日本政府は障害者統計の充実を目標に掲げている。 具体的な取り組みとして、内閣府、総務省、厚生労働省が連携し、障害のある人とない人の比較を可能にするための統計の整備を行った。その際、障害者データの把握という問題の本質について、「障害者統計に関するワシントングループ」のショートセットクエスチョンで提案された     質問を盛り込みました。総務省は、2021年に「時間の使い方と余暇活動に関する調査」を実施し、障害の有無による日常業務に費やす時間の違いを明らかにする準備を進めています。また、厚生労働省は、2022年に実施する「生活実態総合調査」に、障害者統計の改善につながる設問を追加することを検討している。
  2. 文部科学省は、障害児の特別支援教育の充実を図るため、地域や学校における支援体制の状況について調査を行い、その結果を地方教育委員会に通知するとともに、インターネットを通じて関連情報を発信している。
  3. 厚生労働省では、在宅の障害児・者の生活実態やニーズを把握するため、5年ごとに「生活困窮度調査」を実施し、その結果をホームページで公表しています。
  4. 毎年、法定雇用率に基づき1人以上の障害者を雇用することが義務づけられている企業からの報告に基づき、企業の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用数を把握し、公表している。また、従業員5人以上の事業所については、5年ごとに雇用している障害者の性別や賃金について調査を行い、その結果を公表している。
  5. また、厚生労働省は、公共職業安定所における障害者の雇用状況を把握し、障害の種類や程度別に毎年報告書を公表しています。

                   国際協力(第32条)

                       論点整理32項(a)への回答

  1. 2015年、国際協力機構(JICA)は「障害と開発」と題するテーマ別ガイドラインを策定し、障害分野での方針を示した。 このガイドラインでは、JICAの方針として、障害者権利条約に基づき、障害に特化して取り組むこと、JICA事業において障害を主流とすることが示されている。
  2. JICAは、「環境社会配慮指針」において、プロジェクトにおいて障害者の権利に配慮するよう定めている。 (詳細は別紙1)。
  3. 個別案件審査を行う場合、障害者への配慮を記録に記載しなければならない。 この規定に基づき、JICAでは、円借款案件や海外投融資案件において、障害者が受益者として排除されないことをケースレビュー時に確認しています。COVID-19危機対応緊急支援融資を含む2020年度の23件のプロジェクト計画に、障害者主流化の取り組みが盛り込まれています。

171.例えば、     インドのデリーメトロ建設(プロジェクト名:Delhi Mass Rapid Transport System Project)では、調査計画段階で障害者団体が関与しています。

                       論点整理32項(b)への回答

  1. 日本政府は、国際協力を行う際には、対象国の実情や要望を十分に理解し、対象国の文化を尊重した柔軟な対応と、障害者を含む現地の様々なニーズへのきめ細かい対応の双方が重要であると考えています。
  2. 具体的な取り組みとしては

           (a)       障害者団体の相談に応じる。

           (b)       様々なプロジェクトに障害者が参加できるようにするためのガイドラインを制定すること。

           (c)       市民参加型協力事業への障害者が主宰・運営するグループの参加促進。              (詳細は別紙1)

  1. 市民参加型協力事業は、NGO、大学、自治体などが提案・実施するものである。障がい者団体と協議の上、2021年度時点で事業予算の上限を超える合理的配慮のための追加予算を適用できるように制度を整備した。

                   国内での実施と監視(第33条)

                       論点整理33項への回答

  1. 条約の実施状況は、障害者政策委員会により監視されている。同委員会は、障害者政策の基礎となる障害者基本計画の実施が、条約の目的及び趣旨に沿うものであるか否かを監視している。また、委員会は、障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に、又は内閣総理大臣を通じて関係大臣に勧告することができる。(委員会の成果に関する詳細は、附属書1に記載されている。)
  2. 障害者政策委員会の委員は内閣総理大臣が任命し、人的・技術的資源の強化及び障害者の参加拡大を図るため、第4回委員会(2019~2021年)において、精神障害者及び学識経験者等4名の専門委員を追加した。さらに、第5次委員会委員の任命(2021~2023年)において、障害者、学識経験者など3名の委員が追加された。委員会には、障害者やその家族を代表する団体の委員が多く含まれており、障害者を代表する団体の意見が反映されていることを意味しています。

                       論点整理34項への回答

  1. 日本政府は、既に行われた議論を踏まえ、人権救済制度の適切な形態について引き続き検討を行う。

                **  本書の付録は、当委員会のウェブページで閲覧することができます。

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