【メディア掲載】障害者へのサービス提供や支援に関する基本指針見直しについて(朝日新聞)

朝日新聞社の取材協力をしました。 「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」改正に際しての精神科病院からの地域移行の目標値等について所見を述べました。(山田)


 

▼障害者の施設入所 2026年度までに5%以上削減 政府が目標決定:朝日新聞デジタル

 施設や病院で過ごしている障害者数について、厚生労働省は27日、2026年度末までに5%以上削減するという目標を決めた。地域での生活に移ってもらい、精神科で長期入院する患者も減らす。ただ、足元では重度や高齢の入所者が増えており、どこまで進められるかは見通せない。
 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で示した。国は3年に1度、障害者へのサービス提供や支援に関する基本指針を見直している。これに基づいて都道府県や市町村が障害福祉計画を立てる。
 今回の基本指針の期間は24~26年度。国連の委員会が昨年9月、日本では障害者の地域移行が進んでいないとし、精神科病院での無期限の入院禁止や地域生活への移行を目指す法的枠組みづくりなどを勧告したことを踏まえ、検討された。
 施設入所者は22年度(推計)に約12万5千人。今回の目標では22年度末時点と比べて26年度末時点で5%以上削減する。精神病床での入院は、1年以上の長期入院患者数を20年度時点の約17万1千人から、26年度に約13万8千人に減らすことを見込んで、地域の基盤を整備する。
 施設の入所者数は11年度の約13万7千人から減少傾向が続くが、重度の入所者の増加や高齢化が進んでいる。
 手厚い支援が必要な重度障害者は、13年3月時点の約5万人が、22年3月時点では約6万9千人に。65歳以上の高齢者は、同時期の比較で約2万3千人が約3万1千人に増えた。
 重度や高齢の障害者は、医療的ケアが必要な人も多く、地域で生活できる環境が整っていないところもある。基本指針では重度の障害がある人たちのニーズを把握し、地域生活の支援を充実していくことが盛り込まれた。
 こうした事情も背景に地域への移行者数は減少傾向にある。09~12年度は毎年5千人前後だったが、18~21年度は1500人前後。この水準のままだと、21~23年度の移行者の割合は4・1%にとどまる見込み。現行の指針の目標の6%以上も達成できなくなる。

長期入院が多いとの状況、認識を

 「精神障害当事者会ポルケ」の山田悠平・代表理事(38)は「新たな指針は、国連の委員会から指摘されたことが反映されているとは思えない」と訴える。
 精神病床での1年以内の退院率の目標は91%と設定されたが、「これでは10人に1人が長期入院になってしまう。国際的にみると長期入院が多いと指摘された状況を認識してほしい」。
 その上で「退院しても再び病院に戻ってしまう要因分析や足りない支援の調査などをし、対策をしていくことが求められる」と話す。(石川友恵)

【地域移行とは】
施設入所や病院での長期入院
→地域で障害福祉サービスを利用しながら自立して暮らす
【基本指針で示された目標値】
(2022年度末時点と比べて)
・26年度末までに施設入所者の5%以上を削減する
・26年度末までに施設入所者の6%以上が地域生活に移行

▼参考資料:社会保障審議会障害者部会(第135回)

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