【報告】韓国を訪問しました(2019年11月)

韓国インチョンで開催の国際会議に参加する機会に恵まれました。
会議の模様と韓国の当事者団体・家族会との交流をレポートします。


インチョン戦略とSDGsと障害者権利条約のシナジーについて

この国際会議は、北東アジアにおける地域協力の強化を通じて、障害者権利条約、持続可能な開発目標(SDGs)、インチョン戦略の相乗効果を最大化する、というもの。(むずかしい)

ここでいう、北東アジアとは、韓国・中華人民共和国・モンゴル・朝鮮民主主義人民共和国、そして日本というものでした。(事前アナウンスでは、北朝鮮の参加も予定されていたようですが、当日はあいにくご欠席となったようです。)

この企画は、韓国国内の障害者団体が実行委員会として企画を主催したようで、後援には韓国の厚生省・外務省とKOICA(日本で言うJAICAのような組織)が名を連ねていました。

想像以上の規模に、少し圧倒されてしまいました。

 


国際障害同盟(IDA)のメンバーもゲストで来場

世界的な障害者団体組織の国際障害同盟のメンバーもゲスト講演がありました。

▲ IDA事務局長ウラジミールさん

二日目では、障害者権利条約と持続可能な開発目標(SDGs)のテーマに近いところを確認して、SDGsを活用した政策提案をしようという、「Bridge CRPD=SDGs」という勉強会も開催されました。

たとえば、障害者権利条約の各条文にこういう関連付けができます。

・平等・無差別に関する第5条(目標10:不平等の解消)

・女性障害者に関する第6条(目標5:ジェンダー)

・アクセシビリティに関する第9条(目標9:インフラ、目標11:都市と人間の居住地)

・教育に関する第24条(目標4:教育)

・労働・雇用に関する第27条(目標8:経済成長と雇用)

・生活水準・社会保障に関する第28条(目標1:貧困撲滅)、国際協力に関する第32条(全目標)

Bridge CRPD=SDGs

▲ Bridge CRPD=SDGsの主旨説明

ちなみに、この取り組みは、2015年からタイ(バンコク)で勉強会を開始したようです。

とりわけアジア圏の思想文化では、人権の取り組みが政策レベルの動機付けになりにくい背景があり、SDGsのいう「開発」は、そういう意味では政府を動かす力になるということを期待しているとのことです。

あなたの要求を伝えることができるだけではなく、あなたの声が社会を変えるための貢献ができるー

そんな言葉にしびれた思いでした。

一方で、「開発」を通じた成長至上主義そういう枠組み。
これに頼らないと障害がある人の権利を保障するという考え方には、いささか複雑な気持ちではありました。
ただ、こういった考えは、経済格差がある中では富める者の贅沢な悩みに過ぎないような気もします。(むずかしい)

そもそもSDGsってなんだっけ?という方にはこちらをどうぞ!(ピコ太郎!)
https://www.youtube.com/watch?v=H5l9RHeATl0

アジアでまとまる共通プラットフォーム~テーマは災害支援はどうでしょう?

どのような市民活動もそうですが、まとまりをつくるためには、共通の土台が必要です。
私からはそこを考慮して、北東アジア圏での共通項のテーマを模索することを提案。たとえば、災害支援はどうでしょう?私見としてお伝えしました。

障害者権利条約でいうところのでは、危険な状況及び人道上の緊急事態(11条)にあたります。

なんといってもアジアは台風や地震は、とくにおおいエリアです。
経験と課題を共有することで、シナジーが生まれると思っています。(日本の中でもそうですから!)
ポイントとして特に、4つお伝えしました。

① SDGs17統計を意識する
東日本大震災の時の障害がある人の死亡率が3倍。こういう統計をシェアしていくことがまずは大事では?

② 防災・減災対策に障害分野をしっかり入れ込む

③ いざという時の備えは日常のアクセシビリティを向上する
災害対策ということでの財源・人的資源を活用したい!

④ 当事者参画は大事
当事者の経験や思いが社会貢献につながるのが大事。それを共有化することも大事にしたい。
なお、一昨年には、PFA(心理的応急処置)についての資料づくりに、当事者として関らせていただきました。

 

今回の会議は、通訳には日頃かある親交ある東京大学准教授の井筒節さんにご尽力あってこそでした。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!!

当事者団体・家族会との交流も

訪問中には、韓国で活動する当事者団体の関係者や家族会の方とも交流の機会がありました。

オモニ 韓国家族会
▲ オモニ(お母さん)が増えました

▲オーヤンさん(右)とは2年ぶりぐらいに再会。
元検察官の弁護士で、人権活動に尽力をされている。
医療保護入院の違憲判決を獲得したエピドートも詳しく伺いました。
(ここでは、一旦割愛を。。下記ご参照ください)

「強制入院の仕組みは憲法不合致」 韓国で画期的判断

まとめ

秋に訪問したジュネーブに続けた海外渡航となりました。
日頃と違う環境に身を置いて、今までのこと、これからのことをいつもと違うメンバーと語ることで、いろいろ血肉となることがありました。
こういうことは、なかなか小難しい話ですが、自分の中で活用のイメージを仲間にも伝えていきたいと思います。(山田)


■参考資料
国際的障害者組織とSDGs―国際障害同盟の取り組み(長瀬修)「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年6月号

↓シェアをお願いします↓

コメントを残す