【活動報告】NZメディアガイドライン文献調査報告資料翻訳

2021年12月17日発生した大阪北新地ビル火災事件から1年が経過しようとしています。事件は多くの精神障害のある者の生活のひとつとなっている精神科・心療内科で25人もの命が奪われたことに大きな哀しみをもたらしました。被害に合わせた方々に心より哀悼の意を表します。一方で、事件からの経過から報道機関の公表により被疑者とされる者がクリニックの通院者であったことに大きな衝撃をもたらしました。

事件後、精神障害当事者会ポルケが実施する月例開催のお話会で取り上げられたり、関連した相談の事案がいくつか寄せられました。深刻な課題としてあったのが、事件をきっかけにして日頃の通院先で荷物検査が行われるようになったというものでした。まるで自分がなにか犯人と同じような悪いことをすると思われていたと思うと悲しい、やるせないといった声が寄せられました。

そこで、当会では2022年2月にWEBフォームを活用した精神障害のある人を対象にした意識調査を実施しました。そこでは、事件の複雑性についての受け止め、荷物検査の実施状況についての有無、事件に関連した差別や偏見の問題についてなどを設問として用意し、全国1都1道2府18県の精神障害のある人から128件の回答が寄せられました。【結果報告】大阪北新地ビル火災事件以後の経験や考え方についての精神障害のある人への意識調査として、当会ホームページにて公開をしています。

当会ではアンケート結果を踏まえて、これまでも繰り返し行われてきた同様の事件のメディア報道のあり方が大きな社会課題であると再認識をしました。そこでアンケート結果を踏まえて、関係者に協力をいただきながら約1年間にわたってアクションを重ねてきました。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部の山口創生氏より情報提供をいただくなどして、海外の取り組みをリサーチしました。たとえば、イギリス、カナダ、ニュージーランドなどでは精神障害のある人が起こした刑事事件に関わるメディアガイドラインがあることを知りました。その中でも、ニュージーランドでの取り組みは当事者参加が盛んにおこなわれていました。そこで、私たちは発行元のニュージーランドメンタルヘルス財団にご許可をいただき、メディアガイドライン関係資料の翻訳プロジェクトを行いました。本日、ここに公開をさせていただきます。

精神障害に関わる根深い偏見の問題を解決するためには、セクターを越えた多種多様な組織の協力が不可欠です。今後同様の取り組みを精神保健医療福祉の関係団体、メディア関係者等ともに国内でも取り組んでいきたいと思います。末文になりますが、この翻訳プロジェクトでは、日頃から活動を応援いただく以下の関係者に翻訳作業にご尽力をいただきました。心より感謝申し上げます。

■翻訳:伊東香純 学術博士(立命館大学)
日本学術振興会特別研究員PD/中央大学

■監訳:三沢幸子 医学博士(東京大学)
東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 学習記憶プロジェクト客員研究員
女子栄養大学栄養科学研究所 客員研究員

2022年12月15日
一般社団法人精神障害当事者会ポルケ
代表理事 山田悠平

【NZメディアガイドライン文献調査報告資料】こころの健康と精神疾患について報道する際のガイドラインをより良いものに改めていくために(PDF)

 


当地のニュージーランド在住の精神障害者の社会運動の国際的なリーダーであるメアリー・オーヘイガン氏からメッセージをお預かりしましたのでご紹介します。

The media has enormous power in how they convey messages about different groups in society. Often the media reflects the stigma and negative feelings in the community but they need to lead in ensuring that marginalised groups get fair and equitable coverage. The New Zealand media guidelines demonstrate how journalists can give fair and equitable coverage to people who have been diagnosed with mental illness. If every journalist followed these guidelines the profession would be making an important contribution to the elimination of stigma and discrimnation against people with mental illness. They deserve to live in a world includes them and upholds their human rights and the media has a responsibility to help create this world.
                                                          Mary O’Hagan

 

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