【活動報告】第98回お話会レポート(休み方と気持ちの上げ方、リスクとチャレンジなど)

4月13日、第98回お話会が東京都障害者福祉会館にて行われました。寒暖差がようやく落ち着き、初夏の陽気が感じられる日も出てきました。先の4月5日に行われたお花見会の時には満開だった桜の木にも、青々とした若葉が目立ち始めました。
今回は、初参加の方3名を含む13名のご参加がありました。新しい季節に新しい仲間との出会いも嬉しく思います。

 

◇休み方と気持ちの上げ方

お話会では、体調に関する工夫についてしばしば話題に上がります。今回は「休むための工夫」と、反対に「気持ちを上げたいときの方法」についてフォーカスし、皆で話し合いました。

心身を休める方法について、眠る前に行っていることがシェアされました。「布団に入ってから、ユーチューブなどで、アルファ波の音を流すと穏やかな気持ちになる。眠れない時は、『ゆっくり解説』のシリーズを聞くと、単調な声なので眠気を誘われる」。

身体をほぐすと良く眠れるという方もいました。「寝る前のストレッチを、強迫的にならない程度にルーティン化している。身体を伸ばすと寝つきが良い気がする」「ストレッチポールを買って、寝る前に足などをコロコロとほぐしている。リンパが流れる感じがして心地よい」。

また、悩み事などが頭から離れない時にどうするかについてもシェアされました。「嫌なことを頭から追い出すイメージの練習をしている。黒板消しで嫌な言葉を消したり、丸めて捨てたりするイメージを何度も工夫していたら、段々すんなりと言葉を追い出せるようになってきた」。
ひとつのことを思い詰めてしまって、頭の中が占められてしまう感じに苦しむことが私たちには起こりやすいと思います。その対策として、書き出してみるという方法が効果的だったという経験が複数の方からあげられました。「紙に書いて発散すると、嫌だと思っていたことも、必ずしも悪いものばかりではなかったなと気づくこともある」「一日に何度もメモをしている。心が軽くなるし、自分ができたことや試したことがそこに残るのもプラスに働く」。スマートフォンなどを見る時間が増えていますが、敢えて、紙にペンで書くという手を動かす作業も取り入れてみると良いかもしれないと思いました。

「リラックスする方法は色々あるが、反対に、気持ちを上げたいとき、やる気を出したいときの方法はなかなか見当たらないように感じている」というお話がありました。このお話に応じて、「ある支援職の人が、『やる気スイッチというものはなくて、やっているうちに上がるもの』と言われていたが、はじめの一歩が踏み出せないのに…と思ってしまった」というエピソードも出され、皆うなずきながら聞き、工夫を考えました。

まず、身体を動かすことからスタートするという方が数名いらっしゃいました。「体操のプログラムに参加すると、皆に合わせて自然と動ける」「何かを頑張るための練習だと思って、家で筋トレをしている」「まず、身近なところの掃除をして手を動かす」。また、「アクティブな音楽をかけてみる」「興味のあるニュースを調べてみる」など、適度な刺激を取り入れる方法も共有されました。

それから、飲食物の工夫をしている方もいました。「長い会議の前にはエナジードリンクを飲む」「コーヒーのカフェインや苦さで多少は上がる感じがする」「梅干しのお菓子でクエン酸を摂る」「甘いものを飲むとだるさが出てくることが多いので、控えている」。

私たちにはどうしても体も心も動かせない時がありますが、その時は自分を許してしっかり休むことがまず大切だと、皆の経験のお話から改めて感じました。また、少し動けそうなときには、仲間の経験も参考にしてできそうなことを取り入れてみると、自分のしたいことや楽しいことができる時間を少しずつでも増やしていけるのではないかと希望を持てました。

 

◇リスクとチャレンジ

「自分が精神障害者であることを知らない人たちの中で、バランスをとっている感覚がある。いつも薄い氷の上を歩いているよう。楽観的でいるようにしているが、いつか踏み抜いて症状が出て…という想像をしてしまうこともある。「普通」の人にもそれぞれに苦労があると思うが、精神疾患の重みを感じる。他者と共有されない暗闇のようなものが、死ぬまで続くのだろうかと思う」。

私たちの症状には波があることが多く、症状に加えて「また悪化するのではないか、そうしたらどうなるだろうか」という不安をも常に抱えてしまうこともあります。「主治医から、症状の悪化を繰り返すと脳にも影響するから、悪化しないように気を付けた方が良いと言われて、余計に考えてしまうところもある」。

このことについて、共感の気持ちとともに、自分を制限することのつらさについても触れられました。「また悪くならないようにと気を付けることを優先すると、どうしてもチャレンジしたいときに足踏みしてしまう感じもある。再発のリスクというのはあるのだろうが、リスクを減らすためにというのは、時に自分らしい生き方と矛盾すると思うと難しい」。また、「時々転ばないと慣れていかないところもある。転ばないのではなくて、転ぶときにうまく転んでダメージを受け過ぎないようにというのを体感していく。完璧を目指さないのが大事だと思っている」という言葉もありました。

体調の波も繰り返しながら、小さな波でやり過ごせるようになっていく感覚をつかんでいくのも私たちには大切なことだと、今回のテーマから、自分自身として経験することの大切さについて確かめられたのではないかと思います。

 

◇おわりに

お話会の最後には、それぞれから一言ずつ感想をシェアしています。今回は、「自分の内面を人に話すことがなかったので、経験としてよかったです」「皆で話をして、ありのままでいいと思えるようになったらいいなと思いました」「一歩踏み出すときの参考にしたいと思いました」などの感想が出されました。

次回のお話会の時には、もう暑いぐらいになっているかもしれません。季節の一つ一つを仲間とともに進んでいることを、お話会への参加で確かめられます。皆様のご参加を今後もお待ちしています。(相良)

 

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