【ご報告】大田区の障害福祉に係る要望書2019

【ご報告】大田区の障害福祉に係る要望書2019

精神障害当事者会ポルケは、大田障害者連絡会の構成団体として、2019年夏の大田区議会・行政の要望行動に関わりました。
要望内容について、大田障害者連絡会ブログから転載します。

大田障害者連絡会は、障害種別を超えて障害当事者、家族、支援者らで構成される1995年より活動する大田区の障害者団体です。

大田区の障害福祉に係る要望書

日頃より大田区の障害福祉の推進をいただきありがとうございます。大田障害者連絡会は、障害種別を超えて障害当事者、家族、支援者らで構成される障害者団体として1995年より活動しています。この度、秋の予算審議の前に構成団体・会員からの意見要望をとりまとめました。障害福祉施策のさらなる推進のために、今後お取り上げいただきますようお願い申し上げます。

要望項目

(1)   バリアフリー・合理的配慮の推進にむけて

「おおた障がい施策推進プラン」の基本目標1には、「自分らしく暮らせるまち」を掲げています。障害当事者が地域でありのままに暮らすためには、様々な社会的バリアーの解消が求められます。また、昨年施行の東京都差別解消条例は、民間事業者の合理的配慮の提供を法的な義務として規定しています。

これに鑑みて、大田区が後援で行う地域イベントに合理的配慮(例:階段へのスロープ設置、手話通訳の派遣、体調不良者への休憩スペースの確保等)の提供を進めてください。

①    後援の申請書類に「障害の合理的配慮について」を追記してください。

②    区が提供・紹介可能な合理的配慮についてのリストを提示してください。

③    合理的配慮に係る費用の財政的な補助をしてください。

(2)障害の社会モデルの理解啓発推進に向けて

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が定められています。障害の社会モデルの考え方を共有し、全国で人々の心にある障壁の除去に向けた取組(「心のバリアフリー」及び物理的障壁や情報にかかわる障壁の除去に向けた取組(ユニバーサルデザインの街づくり)を進めることが謳われています。

ユニバーサルデザイン社会を実現しようとする人々の意識、心のバリアフリー意識をさらに向上するには、教育の機会が必要です。「障害平等研修(DET)」や「社会モデル研修~精神障害編」など啓発活動を私たちも取り組んでまいりました。大田区の職員研修や学校教育での積極的な採用をお願いします。

(3)成年後見制度の課題把握について

前回のおおた障がい施策推進プランにおいては、本テーマは重点施策として位置づけられ、とりわけ成年後見制度利用促進のみを方策としたことに強く憂慮していました。今期の計画において、重点施策に成年後見制度利用をはずしたことを高く評価します。

他方で、2019年に大田区成年後見制度利用促進計画が定められ、単純に利用者の増加を計画に定めたことは大変遺憾です。そもそも、成年後見制度は障害者権利条約第12条から否定されている代理決定の仕組みです。また制度運用にも大いに課題があり、モニタリング機能の不足、解任ができないなどが挙げられます。当会の会員においても、長らく大変苦節を味わっている者もいます。まずは、区内の利用者からの聞き取り調査等実態把握をお願いします。

(4)災害に備えた安心づくり

1.学校防災活動拠点・福祉避難所のバリアフリー化

災害時を想定した避難場所となる公共施設のバリアフリー点検を定期実施してください。

そこに障害当事者の参画をさせてください。

2.区立施設の避難経路について

車椅子利用者は車椅子に乗ったままの避難誘導が安全配慮として求められます。しかし、大田区障がい者総合サポートセンターや区内の特別養護老人ホームなどでは、旧来の方法で設計されています。実態把握と改善をお願いします。

図:大田区障がい者総合サポートセンター

図:大田福祉工場

※大田区立上池台障害者福祉会館の避難誘導は大田福祉工場と同様のタイプでした。

(5)障害福祉サービスの利用について

障害者総合支援法改正や第5期障害者福祉計画を受け改善が図られたものもあります。ただ、地域学習会で確認されてきた課題の最終解決に至っていないものも多く、更なる改善が求められます。

①入院時の介助保障問題

障害者総合支援法の改正によって、重度の四肢麻痺者(全身性障害)が入院時のヘルパー派遣を許可されましたが、障害程度区分6でコミュニケーション支援を利用している者だけに限定されています。介助サービスを利用する障害者の多くは、入院中も日頃の介助支援を希望しています。運用のあり方を緩和してください。

②重度訪問介護サービス

重度障害者の安心した生活のためにはとても重要な公的サービスです。区内での利用は、少なく、この事業においてもヘルパー不足は深刻です。区の事業として、身体障害・知的障害・精神障害者も含めた重度訪問介護者研修を実施してください。

④    移動支援サービス

障害者団体、事業者双方においてこの間確認されてきたのは、利用ニーズを充足する支援量が、圧倒的に不足している状況です。また、大田区の調査(平成28年度大田区障がい者実態調査報告書)からもその傾向は読み取ることができます。一方で、一昨年の理事者の答弁において、行政は支給決定に対して利用実績が少ないことを根拠にして、支援不足の現認に至っていません。また、支給申請に際して窓口でヒアリングの際に、実質的な利用抑制を行っている状況もあり、区内ニーズの統計数値の正当性を持ち得なくしています。このことに私たちはとても憂慮しています。
昨年度までの区が実施する移動支援養成ヘルパー研修において、精神障害の扱いはありません。当該研修の修了者は、精神障害者への対応も行うことができるので、精神障害のことも学習する内容に改めるようお願いします。

⑤地域移行

病院や施設からの地域生活への復帰をはかる本制度の利用促進はとても大切なことです。今期のおおた障がい施策推進プランにおいては、精神障害者の地域移行目標値がはじめて制定されました。しかしこれは都内への入院者をベースにした根拠数値であり、都外入院者の把握とそれに伴う計画実数の策定までに至っていません。これらを考慮した今後の計画制定を望みます。

⑥ その他

サービス提供の事業者探しは、障害当事者やその家族らが行っています。区が提供する事業者リストは、利用者目線にたてていないものが散見されます。今年度の大田区自立支援協議会のワーキンググループで改定案を策定予定しています。改訂版の現場での反映を後押ししてください。

 

(6)当事者参画の推進について

障害者権利条約第4条(一般的義務)において、すべての政策と計画への障害者の参画が求められています。大田区が設置者となっている「大田区障がい者施策推進会議」「大田区自立支援協議会」及び「大田区障がい者差別解消支援地域協議会」は、とりわけ障害者団体の推薦を受けた委員のさらなる参画が求められます。

また、障害者当事者と家族は、その役割や立場を異にしており、それぞれの参画が検討されてしかるべきと考えます。大田区行政においては、各種報告書において「障害当事者」と「障害者の家族」を「当事者」と定義している節があります。現状、障害当事者の参画は少ないのが現状です。特に、精神障害当事者・知的障害当事者の参画が、いずれも進んでいないので、後押しを働きかけてください。

(7)インクルーシブ教育の体現

障害による分け隔てられることのない教育機会は障害者権利条約25条にも謳われています。今後さらなるインクルージョンを基礎とした大田区の教育環境整備を推進してください。障害児の学校進学と学童の受け入れそれ自体に大きな課題があります。本人と保護者の意向を尊重し希望通りの受け入れを行うことを基軸とし、そのための支援体制を充実させてください。直接的に障害を理由としない場合でも、介助導入などをめぐり、受け入れを拒否しているケースが見当たります。その対処として、行政機構の縦割りを超えて、教育委員会と障害福祉課が連携をとり、民間事業者も交えたケース検討を積極的に実施してください。また、区が設置主体となり、インクルーシブ教育の在り方を検討する会議体を設置してください。



(8)精神障害者の障害者就労について

2018年4月の障害者雇用促進法改正により、精神障害者保健福祉手帳所持者の法定雇用率の算定がされるなどをうけて、今後精神障害者の障害者雇用数が大きく増えることがますます進むことが予想されます。しかし、精神障害者の障害者雇用をめぐっては、定着率が他の障害種別より芳しくないことが懸念材料となっています。また、社会的偏見を恐れるがゆえに、精神障害者保健福祉手帳所持者の取得に躊躇する当事者の数も多くいて、適切な支援をうける機会が担保されにくい状況が続いております。

さらに、障害者雇用の公的窓口となっているハローワークでは、精神障害者に限り専門職の意見書提出をもって、相談登録を受け入れる体制が敷かれています。障害者雇用へのアクセスのハードルは当事者の前向きな気持ちを阻害するだけではなく、就労を巡る相談にもつながることがなく、大きな問題となっています。

これにより、無理をして障害を隠した就労を選択し、結果体調を崩すケースが報告されています。大森ハローワークでの障害者雇用窓口の運用については大いに憂慮します。厚生労働省においては専門職の意見書は、任意との通達をだしているとの回答を得ています。まずは、区内の実態把握をすすめてください。

(9)ケアをする人への支援について

対人支援は感情労働も称されます。いわゆる燃え尽き症候群が起きやすい職種とも言われています。業界の慢性的な支援の担い手不足は深刻です。最終的には、障害者の必要な支援が提供されないという問題に帰結します。このような課題を解消するために、ケアラーケアセンターの創設をお願いします。

また、障害当事者が、親や子どもの家族介護や育児の担い手になる場合も数多くあります。障害があることで、より一層介護や育児疲れは慢性的に起きやすく、とりわけ家族という関係性に収斂されてしまい慢性的にさまざまな課題を抱え込みやすい状況があります。併せて、障害当事者の介護や育児に関してのサービス提供や相談支援体制の構築をすすめてください。

(10)ピアサポート事業の推進

精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム構築事業において、国は重点施策のひとつとしてピアサポート事業の推進がシステム構築では謳われています。一方、この間、大田区に於いてはさぽーとぴあにて、地域生活支援事業としてピアカウンセリング事業を推進してきました。諸般の経過の中で、知的障害者相談支援員や身体障害者支援相談支援員はピアカウンセリング事業の担い手たる正当性を担保してきました。しかし、精神障害者に関してはこの種の担保のなか運用されていません。つきましては、受け入れ体制を充実させるために、精神障害者団体らと協働のもと、ピアサポートの担い手育成の研修の枠組みの設置と運営に関して新たにすすめてください。

 

(11)大田区障害者権利条例(大田区障害者差別解消条例)制定に向けて

大田区障害者権利条例を作る会が地域の関係団体と連携を図りながら、その取り組みを推進してきました。同会として、素案も策定しています。昨年においては東京都差別解消条例が施行しました。東京都の基礎自治体においては、新たな条例制定の動きが加速しています。大田区においても同条例制定にむけて、区議会での審議加速をお願いします。

<昨年度の要望事項から改善が確認できた事項について>

1当事者参画の多様性担保

大田区自立支援協議会では、柔軟な形での参画がワーキンググループ制度を新設することで保障されました。

2. 18歳時の就労継続支援B型での利用

区立の希望する施設以外に併せてもう1箇所の適正チェックが必要な運用がありました。その運用が廃止されたと聞いています。

3.2019年度新設される精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム構築に関して

1)精神障害当事者を参画させてください

当事者委員の参画が決定しました。

2)警察機構の参画を認めないでください

警察機構の参画はありませんでした。

以上

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