2020年度活動報告
■活動総評
2020年度の活動は、新型コロナウィルスの影響により大きな変更を求められました。月例で実施している当事者交流「お話会」は、緊急事態宣言発令中4月及び5月は東京都障害者福祉会館の利用停止に伴い、会の発足後初めて2か月の連続の休会なりました。コロナの終息に先が見えない中で、連絡を寄せてくれた多くの当事者からは、これからの生活や感染リスクなど不安な声が多く寄せられました。当会としては、コロナに対応をした柔軟な取り組みを行うことを心掛けました。例えば、オンラインでの交流機会を創ることの模索や支援団体からの給付を通じたマスクの送付活動、そしてWEB調査の実施などに取り組みました。
他方で、ここ数年取り組んできた精神障害理解啓発プロジェクトとして、「リカバリーカレッジおおた」 「写真展-精神障害当事者会ポルケ」を始動しました。感染症対策を講じながら、オンラインを活用した取り組みを積極行いましたほかには、「おおた障害者理解啓発グループ~ツタエルチカラ」を地域の福祉関係者、家族会のみなさんなどと一緒に発足させ、映画上映会を行うことができました。このようにイベントを通じて精神障害の理解を深める様々なアプローチを当事者が主体となり、関係者の協働・連携を通じて推進しました。
ほかには、「2019年台風19号被害と障害のある人の防災調査」事業を行い、実行委員会を形成し、熊本地震・水害を経験した障害当事者を招いての学習会の実施や各種の机上調査、アンケート調査を行い来る2021年7月の報告会に向けて諸事の準備を進めました。また、これまでの活動の評価をいただき、講演活動や寄稿などの発信の機会もこれまで以上に多くいただきました。
精神障害当事者会ポルケは2016年以降、年度単位では発展的な取り組みができた1年だったように思います。多くの関係者・団体の皆様との連携・協働、助成団体からのサポートがあってこそ実現しました。この場をお借りして御礼申し上げます。
■当事者交流会「お話会」の実施…パルシステム東京市民活動助成基金助成事業
お話会は従来同様、東京都内にて毎月1回開催しています。対象を当事者に限定した交流企画です。新型コロナで4月5月が中止となりましたが6月以降は毎回実施することができました。全て東京都障害者福祉会館で実施ししました。
2021年1月開催で50回目の節目を迎え、ここまでホームページで公開してきた報告レポートをまとめたものに加え、有識者よりいただいたコメントを掲載した『精神障害当事者による当事者交流の場づくりの歩み』を発刊しました。
第41回 4月19日(日)…緊急事態宣言中の利用施設閉鎖により中止
第42回 5月17日(日)…緊急事態宣言中の利用施設閉鎖により中止
第43回 6月28日(日)…12名
第44回 7月19日(日)…14名
第45回 8月30日(日)…15名
第46回 9月27日(日)…15名
第47回 10月31日(土)…14名
第48回 11月29日(日)…12名
第49回 12月27日(日)…10名
第50回 2021年1月31日(日)…10名
第51回 2021年2月11日(木・祝)…8名
第52回 2021年3月28日(日)…15名
■新型コロナウィルス状況下での活動
- 東京都、大田区への緊急要望:「特別定額給付金が精神障害のある人のもとにも確実に届くようにしてください」(2020年4月26日)
- マスクをお話会メンバーへ送付(2020年5月15日)
マスクや消毒用ウエットティッシュ等をAAR JAPAN[難民を助ける会]様よりご支援いただき、当会のお話会メンバーの希望者、精神科病院、福祉事業者等へ郵送いたしました。 - 精神障害がある人の新型コロナウイルスの影響後の生活に関するアンケート調査実施
緊急事態宣言発令中の4月23日から5月7日にかけて、精神障害の当事者を対象とするWEBアンケート調査を実施。全国37都道府県から371件の回答が寄せられました。
→ホームページ上で調査結果を公開(2020年6月23日)
→福祉新聞に掲載(2020年8月24日)
- 国連UNITARと東京大学・金沢大学長崎大学等が主催するオンラインフォーラム登壇(2020年6月10日)
当会が実施した新型コロナウィルスの影響下における精神障害のあるひとたちへのアンケート調査をもとに、見えてきた課題やこれからの提言について話題提供をしました。
▼こちらのYouTubeからご覧いただけます。
- 精神障害がある人の新型コロナウイルスの影響後の生活に関するアンケート調査 冊子版をリリース(2021年1月28日)
新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン「withコロナ草の根応援助成」(中央共同募金会)及び「ゆめ応援ファンド2020年度特別助成」(東京ボランティア・市民活動センター)のもと作成しました。
- リカバリーカレッジおおた…公益社団法人キリン福祉財団助成事業
主体的に学ぶことでリカバリーを目指す実践として、米国でのRecovery Education等を源流とするとされている学びの場で、世界中で広がりを見せているリカバリーカレッジ。
今年度よりリカバリーカレッジおおたを発足させました。当事者と専門職等が立場を越え学びを共にする機会を充実させ、1年間のテーマとして「精神障害の伝え方(合理的配慮のあり方)」を軸に計5回のイベントを開催致しました。・第1回リカバリーカレッジおおた@オンラインセミナー(2020年7月17日)
リカバリーカレッジを知ろう!/大田区の当事者×支援者の対談
参加人数:100名前後
・第2回リカバリーカレッジおおた/『精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス』発刊記念 (2020年9月25日)
於 入新井集会室+オンラインのハイブリッド形式
参加人数:90名(現地参加+オンライン参加)
・第3回リカバリーカレッジおおた/『新型コロナウイルス』(2020年11月27日)於 大田区消費者生活センター
参加人数:11名
・第4回リカバリーカレッジおおた/WRAPをオンラインで体験してみよう
(2020年12月4日、12月11日、12月18日の全3回シリーズで実施)@オンライン
参加人数:12名
・第5回リカバリーカレッジおおた/障害の合理的配慮を学ぶ(2021年2月13日実施)@オンライン
参加人数:22名
- ギャラリー・ツープラスにて写真展「精神障害当事者会ポルケ」開催(2020年10月25日)
…一般財団法人タチバナ財団助成事業精神障害についての市民理解を進めるアプローチとして、精神障害のリアルをテーマにした写真展を2020年4月より準備を開始し、実施しました。撮影はフォトジャーナリストの柴田大輔さんに担当いただきました。
プレ企画としてEMPOWER Projectが主催の“Defence/Difference” Komaba Film Festival 2020A/W(於 渋谷ヒカリエ・2020年10月24日)で本取り組みを紹介。「写真を通じた多様性理解の試みについて」と題して公開収録を実施しました。 -
DETサポータ大田主催オンライン座談会『精神障害当事者の視点からデザインした「障害の社会モデル研修」について』 曹洞宗人権推進本部の皆さんとの座談会に登壇(2020年10月30日)
- 移動支援従業者養成研修(大田区主催)講師を担当(2020年12月)
- 「障害者理解啓発グループおおた ~ツタエルチカラ~」主催『ツタエル「オキナワへいこう」映画自主上映会&トークイベント』(2021年2月23日実施)於 東京工科大学号館10階階段教室
参加人数:104名2020年8月に障害者理解啓発グループおおた ~ツタエルチカラ~という大田区内の精神障害の当事者団体、家族会、福祉職、行政職、学識経験者など様々な背景をもつメンバーとともにネットワーク組織を立ち上げ、障害者の理解啓発のために映画上映会を企画・開催しました。上映する映画は「オキナワへいこう」というドキュメンタリー映画です。精神科病院に入院する患者が希望する沖縄への旅行を叶えるために、病院関係者や支援者と共に挑戦する姿が描かれています。コロナ禍でもあったため準備を進めるうえで開催が危ぶまれもしましたが無事開催することができました。
当日は本映画の監督である大西暢夫氏をお招きし、トークライブも実施しました。
■2019年台風19号被害と障害のある人の防災調査
これまでに開催したポルケフォーラム2019(於 東京大学駒場キャンパス)を経て、2019年の台風19号での水害被害を契機に、
- 精神障害のある人の地域での防災・減災の在り方について、大田区の防災危機管理課・障害福祉課の担当者の方と意見交換(2020年9月16日)
https://www.facebook.com/1590535061243274/posts/2428097640820341
- 大田区障がい者総合サポートセンター(さぽーとぴあ)書面ヒアリング実施(2020年9月)
- 防災啓発の取り組みの学びとして避難所運営ゲームを体験(2020年11月23日)
- 大田区主催のマイタイムライン講習会を受講・取材(2020年11月)
- Disability-inclusive Disaster Risk Reduction: An Urgent Global Imperative: Report of the United Nations Department of Economic and Social Affairs Public Forum: Taking Action toward a Disability-inclusive Disaster Risk Reduction Framework and its Implementation, United Nations World Conference on Disaster Risk Reduction, Sendai, Japan and the Progress Thereafter」(英語のみ)
「国連世界防災会議(WCDRR)」で開催された国連のパブリック・フォーラムの内容と、 その後の実施をめぐる好事例と教訓等をまとめた資料( 英語のみ) の事例提供等に協力
https://empowerproject.jp/wp-content/uploads/2020/12/2019-WCDRR-Report-and-Thereafter.pdf?fbclid=IwAR3uADOqq4oUb5V2zQ0mxrIxlf_wTBlwlUIH8YreMgdbWALsM5f-81Iz40c - 熊本の被災経験に学ぶ地域防災のこれから ~発達障害当事者団体の取り組みから~(11月23日開催)於 入新井集会室
参加人数:16名
■教育機関での授業協力・講演会講師派遣
・東京大学(3回) 精神看護学 学部生・大学院生、国連とインクルージョン
・東京工科大学(作業療法学)
・リカバリーカレッジあんなか
・長崎大学 ほか
■調査・研究協力
・「精神障がいを抱えながら育児を継続している親の経験」
(依頼者:日本地域看護学会)
・「交通制約者に優しい自動運転バスに係る基礎調査」(依頼者:NTTデータ経営研究所)
・「精神障害当事者家族の経験に関する研究」
(依頼者:東洋大学大学院)
・入院経験者向けの調査(日本弁護士連合会)
・「新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴う生活の変化と、その心理的影響に関するアンケート調査」
(依頼者:京都大学大学院)
・「統合失調症圏の病をもつ人がピアサポート活動をすることの意味」
(依頼者:愛知県立大学大学院)
・「精神科に入院中の方のための権利擁護・調査」
(依頼者:認定NPO法人大阪精神医療人権センター)
・「精神健康と周囲の人々に関する研究」:家族や友人知人との関わりの経験
(依頼者:東京大学大学院)
■出版・寄稿
- 福祉労働167号 特集:津久井やまゆり園事件が社会に残した「宿題」(現代書館)
『植松様へ、精神障害者として伝えたいこと』寄稿 2020年6月発刊 - 障害者をめぐる法律相談ハンドブック(新日本法規出版)
執筆・事例提供等で協力 2020年6月発刊 - 新ノーマライゼーション2020年6月号 (公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会)
連載コーナー「ひと~マイライフ」に寄稿 2020年6月発刊 - 精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス――当事者・家族・支援者のお悩みQ&A(明石書店)2020年8月発刊
横浜ピアスタッフ協会YPS・大阪大学の蔭山正子氏・埼玉大学の横山恵子氏との共著編で発刊 - 隔離・収容政策と優生思想の現在(批評社)に寄稿 2020年12月発刊
- 福祉のまちづくり研究53号(
日本福祉のまちづくり学会)に寄稿 2020年12月発行
- 「ちがい」ってなんだ?障害について知る本(
学研プラス)2021年2月発刊
精神障害について、団体情報掲載等に協力
- 精神障害のある人の権利 Q&A(解放出版社)に寄稿 2021年2月発刊
- 臨床精神薬理 第24巻03号(星和書店)に寄稿 2021年3月発刊
- 月間みんなねっと 2021年3月号(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会)2021年3月発刊
■行政会議参加
・大田区自立支援協議会地域生活部会委員参画
・大田区精神保健福祉地域支援推進会議委員及びコア会議委員参画
■要望・提言等(公開したもの)
- 2021年度大田区予算要望に係る提言(2020年8月)
- 東京都障害者差別解消条例における調整委員会機能等についての提言(2020年8月)
- 東京都政に関する提案(2020年12月)
- 令和2年度第1回東京都障害者差別解消支援地域協議会における 不動産分野に関する相談事案における差別を助長しかねない記述についての削除・対策を求める要望意見書提出(2021年2月10日)
- 東京都事業の公開セミナーにおいて、「精神障害のある人はお断り!」の件
東京都へのあっせん申し立て成立(2020年6月4日)
■その他
- 地方自治を考えるおおた実行委員会主催の「都政学習会2020 ~都議会議員と一緒に考える私たちの東京 今とこれから」(2020年12月20日開催)
大田区選出の都議会議員を招き都議会の動向等々の報告を伺う企画―都政学習会に参画 配信(YouTube)はコチラ。
- TBSラジオ「人権TODAY」にて当会活動が紹介される(5月2日(土)放送)
- NHK「ハートネットTV 『新型コロナ 精神医療と当事者はいま』」(6月3日(水)放送)
- 福祉新聞社に掲載
■加盟団体について
・全国「精神病」者集団
・DPI日本会議
・大田障害者連絡会
・おおた区民活動団体連絡会
■協力プロジェクト
・日本精神科看護協会倫理綱領改訂プロジェクト参画
・統合失調症薬物治療ガイドライン改訂委員会委員
・日本障害フォーラム障害者権利条約パラレルレポート作成特別委員会
・日本障害フォーラム障害者差別解消委員会
・おおたユニバーサル駅伝大会実行委員会参画(名義後援/広報協力)
・こらぼ大森 区民協働レベルアップ講座企画委員
・The Valuable 500に関連した日本財団ワーキンググループ活動への参画
・地方自治を考えるおおた実行委員会
都政学習会2020 ~都議会議員と一緒に考える私たちの東京 今とこれから」(2020年12月20日開催)大田区選出の都議会議員を招き都議会の動向等々の報告を伺う企画―都政学習会に参画
・子育てピアサポートゆらいく
ほか